帰り道
「それにしてもよかったね~契、SHR間に合って!」
帰り道、るなが笑いながら言った。
三人はクラスが一緒だ。
では何故帰り道でこの話になるのかというと、学校ではまったくと言っていいほど
三人で話さないからだ。
るなはクラスの女子の中心的存在。委員会や当番にも積極的に入っていて、行事があ
ると大活躍する。
つまり、何をしても目立つような女子高校生。
契はスポーツ少年で、よく同じ部活の男子と固まって騒いでいる。
部活でも副部長をするほどの活躍を見せている。
そして当然女子にモテる。
言ってみれば、運動が生きがいの人気男子高校生だ。
そして琉依は物静かで、特別用が無い限り(トイレや移動教室等)席から立ち上がら
ない。
本を読んでいたり、勉強していたり、ただぼぅっと外を見ているだけの時もある。
ただ、面倒見がとてもいいので皆にとって憧れの存在だった。
ほとんど共通点のなさそうなこの三人がともに行動しているのは偶然の出来事からだ
った。
そんな三人は、いつも通り部活が終わってから一緒に帰っていた。
琉依は無所属だが、るなはテニス部、契はサッカー部に所属している。
琉依は二人の部活が終わるまでいつも一人教室で待っていた。
「ほんと。これからは遅くならないように注意しなくちゃね?」
琉依が契の方を見て笑いながら言った。
契は脹れてなにも言わない。
「もー契可愛い」
そう言って、るなは契に抱きついた。