後悔
辿り着いたのは、二人にとって辛い思い出しかない場所だった。
「私たち、ここで琉依に救われたんだよね」
呟くようにるなが言う。
契は何も言わなかった。
あの後色々あったが、難しいことは何もわからない。
ただ、あの時の運転手は裁判で刑が言い渡され、刑務所に入った。
二人からすればとても軽い刑…。
でも、きっと彼女はこれ以上の刑は望まない。
とても優しい人だから。
そして事故があったこの場所は舗装され、まるで何もなかったかのようになってしま
った。
るなは目に涙を浮かべながら言う。
「琉依が私たちのことを押し退けてくれていなかったら……死んでいたのは私たちの
方で…。生きていたのは琉依の方だったのにね…」
契は微かに溜め息をつくと口を開いた。
「俺さ…。あの時、琉依にひどいこと言っちまったんだ…。何なんだよ、答えろよっ
て…なんで俺たちを押しのけたのかわからなくて…ふざけるのもほどほどにしろよっ
て…俺たちを助けるためにしてくれたのに。俺は…」
るなはそっとケイの肩に手を置く。
「琉依は……きっとわかってたよ。だって、あの琉依だもの。
あの……頭のいい琉依だもの」
契は涙を抑え込んでうなずくしかできなかった。
どのくらいの時間が経っただろう。
どのくらいそこに立っていただろう。
「そろそろ、行こっか……」
るなが言う。
しかし、その声は名残惜しそうだ。
契も名残惜しさを押さえながら小さくうなずいた。
二人はうつむいたままじっと見つめていた場所に背を向けた。
だが、顔をあげた瞬間、二人は息を飲んだ。




