過去6
琉依は小さく首を振りながら笑った。
「嘘だった。二人の手術は失敗。失敗っていうか…元からダメだったみたい…。二人
とも…穏やかな笑みを浮かべて…」
その瞬間琉依は声を詰まらせた。
小さな嗚咽が聞こえる。
「だから…引っ越してきたの?」
るなが優しく訊いた。
琉依は小さくうなずいた。
「みんな、心配してくれた。優しくしてくれた。大丈夫?って言ってくれた。
でもね…大丈夫じゃないの。
寂しくて、悲しくて…それに、みんな私のこと可哀想だって言うの。
可哀想とか…そんなこと思ってほしくなかった…。
みんなには、普通に接してほしかった。きっとこんなの、我が儘なんだけど…。
だから私、誰もこのことを知らないところに行きたかったの…。
みんなに気を使われなくて、迷惑かけないとこに…」
彼女は泣いた。
声を殺して泣いた。
スッと琉依の頭に契の手がおかれる。
「泣いていいよ」
契は小さく言った。
「悲しくて、苦しくて…そんな気持ち押さえて今まで過ごしてきたんだよな。
だったら、もう泣いていいよ。頑張ってきたんだよな。いっぱい無理もしてきて、
一人で抱え込んできたんだよな。じゃあ、褒めてやるよ。よく頑張ったな、琉依」
琉依は一瞬目を見開く。
そして声をあげて泣き出した。
子どものように泣きじゃくる琉依をるなはそっと抱き締めた。
契は優しく頭を撫でた。
「頑張ったね、頑張ったね」
そう繰り返し、繰り返し呟きながら。




