Ⅶ 教育相談。
「はい、今日から坂井先生はいませんが、今まで通りの生活をすること!。」
朝、スーツ姿の伊東先生が教卓に手をかけ、にやにやしながら言った。
今日から、いないんだ。これからは、誰にも頼れない。
「で、さっそくなんだけど、今日から、教育相談が始まります。今から、名前呼ぶ人は放課後残ってくださいね。」
なんで、教育相談一週間早くしないの?。心の中で呟く。
坂井先生のほうが話しやすいのに。
「出席番号1番、11番、22番。」
出席番号か。11番って、私も入ってるのね…。名前で呼んでほしい。
放課後、子供たち迎えに行かなきゃならないのに。
でも、一番最初にしてもらえれば平気かな。
「ま、順番は1番、22番、11番っていう順番で。」
放課後になって私が一番最後に教育相談安というのを知った。
「先生。私、放課後は用が…。」
先生に言ってみた。
「だけど、1番の子も22番の子も、大会前だから・・・。早くおわしてほしいって…。」
「だけど・・・。私、用が・・・。」
大会前だからって、子供のお迎えとどっちが大事なのよ?!。
「なるべく早く終わらせるから。」
って、先生は、言ったのに。どこが早いんだよ・・・。もう、軽く二時間待ってるんだけど。
六時すぎてるよ。どんなに急いでも、保育園まで30分はかかるのに。
保育園、七時までしか開けてくれない・・・。
でも、教育相談中だから…。中に入れないし。
かえっちゃまずいと思うんだけど・・・。でも、迎えに行かなかったら、あの子たち・・・。
迷っていると、
「次、遅くなってごめんねー。11番の月影さん。」
先生と、私の前にやっていた人が出てきた。
「あの、私もう帰らないと…。」
「そんな大事なようなの?。ごめんね、先生気付かなくて…。」
「だいじょぶです。さようなら。」
私は、階段を飛び降りるような勢いで、駆け下りた。
「月影です。お迎えに来ました。」
保育園につくと、七時チョイ回ったところだった。