Ⅳ イトウ先生。
「みんな、静かにしなさい。」
坂井先生が教室に入ってきて、声を張り上げた。
「みんなもう知ってるかもしれないが、副担任・・・いや二週間後には担任になるな。その先生からこのクラスに挨拶があるそうだ。」
坂井先生は教室のドアを開け、
「イトウ先生、どうぞ。」
といった。
新しい先生は、イトウというのか。
「はい。」
廊下からどんな風にたとえたらいいのだろうか。男らしい声がした。
イトウはすらっとした足、身長。紺色のスーツに身を包んでいる。
顔立ちもよく、見た目では文句なしのかっこよさだ。
私も思わず見とれてしまった。
「みなさんこんにちは。副担任をやらせていただく、イトウ ショウタです。」
と言いながら、黒板に“伊東 祥太”と書いた。
「イトウのトウは東っていう字です。担当科目は数学です。サッカー部を指導する予定です。よろしくお願いします。」
伊東先生は二コリとはにかんだ。
「せんせー、彼女いるの?。」
「せんせー、年は?。」
「好きなタイプは?。」
クラスの女子がぎゃあぎゃあ騒ぎ出す。
「ほら、静かにしなさい。伊東先生も困っているぞ。」
坂井先生が手をパンパンと鳴らした。
「いや、大丈夫ですよ。俺、彼女いません。年は、23才で好きなタイプは・・・そうだなあ。優しくて家庭的な子かな☆。」
相変わらずのニコニコ顔で先生は言った。
「私、家庭的になろうっと。」
「おまえ、無理だろ。キャベツとレタス見分けらんないくせに。」
「ひどっ、もう分かるもんねえ。」
また。男女仲良く何やってんだか。カレカノっていいよねえ。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます。
次回もお楽しみに。