ⅩⅦ ありがとうの写真と、幸せな生活。
「初めて会った時は、気付かなかったわ。そうかな、とは思っていたけれど。でも、祥太が私のことに気付いて、ここに来たのは、この子が生まれる前の日よ。そして、あなたのことを話していったわ。」
私のこと・・・?。
「それで、これをあなたにって。呼んだのは、ほとんどこのためなの。」
そういって先生は茶色の封筒差し出した。
中には、写真が入っていた。
先生と見に行った、あの場所だった。
裏にすると、「ありがとう。」とたった一言書かれた紙が入っていた。
ありがとう、ってどういう意味?。
家に帰ってさっそく、写真を机のすぐ目につくところに立てかけた。
…先生…。
どういう思いでありがとうって 書いたの?。
私とは、もう二度と会わないつもりでそう書いたの?。
先生に会ったら話したいこと、たくさんある。
どこに行っちゃったの?。
会いたいよ。
ねえ・・・。
「一花。」
部屋のすぐ外で、パパの声がした。
「何。」
慌てて、写真をかくす。
「ママが来てる。出てきな。」
ママ・・・?。
リビングには、懐かしいママの顔があった。
涼香と紗夜も。
「一花。今まで、ごめんなさい。私たち、反省したの。一花、他の子は受験、受験、って騒いでいるのに、ろくに塾にも行かせないで、いえのことばっかりやらせたり…。八つ当たりして。もう、そんなこと絶対にしない。」
ママは最後に会ったあの時までとは別人のようだった。
「一花が紗夜たちと出て行った日、私たち、すごく反省した。実家に帰って自分が子供の時何してもらったか、考えてきた。」
「だから、家族五人で一花が小さかった時みたいに暮らそう。」
パパのやさしい声。何年ぶりだろう。
「一花、朝よ。」
ママの声で目が覚めて、制服に着替えてリビングに行くとママが、ご飯を並べていて、紗夜や涼香がパジャマ姿でのそのそと起きてくる。パパは、新聞を読みながら、朝のコーヒーを飲んでいる。
みんなで朝ご飯を食べたら、同じ時間に玄関の前の道でみんな別れる。
帰ってきたら、ママがおいしい夜ごはんを作ってる。
幸せな毎日。
これが、普通の家庭だろ、と友達は言うがわたしには幸せすぎた。
でも、幸せなことはこれだけではなかった。
読んでいただいてありがとうございます。
次回もお楽しみに。




