Ⅹ 気付いたら、好きになってた。
前回のお話。
歩き疲れていた紗夜は私におんぶされて寝ていた。
どこに向かったら、助けてくれる?。この苦しみから、抜け出せる?。
疑問を抱き、私は、ただ黙々と道を道なりに歩いた。
そんなことを考えているときだった。先生が、私の目の前に現れたのだった。
「すみません、先生。先生の家なんか、お邪魔させてもらって・・・。」
「大丈夫だけど、何があったの?。」
先生は、私をちゃぶ台の前に座らせると言った。
「・・・言いたくないなら無理に言わなくてもいい。けれど、こんな夜遅くに子供だけで出歩いたら、危ないよ?。」
先生は、優しく注意した。
解決してくれない人には、話したって意味がない。そう思っていたけど、なんか、安心したっていうか、なんていうか・・・。
今までの、いきさつを話した。
先生は、泣きじゃくりながらのとぎれとぎれの私の話にしっかりと耳を傾けて聞いてくれた。
久しぶりに泣いた気がする。
先生に話すと、なぜか心が軽くなった。
フッと先生の大きな手が、私の頭にあった。ドキ、ドキ。さっきまで悲しくて興奮していた胸の音とは、違う。
どうしよう・・・。先生のこと、好きになっちゃうよ。お願いだから、手を離して…。
「昨日、俺が月影さんのお宅に行かなければ・・・。ごめん。君には、迷惑をかけっぱなしだ。だから、あの子も・・・。」
「あの子って・・・、誰ですか?。」
「・・・。」
「私は、きちんと話しました。」
先生の目をまっすぐ見て言った。
「・・・俺の大事な人。この世界で初めて愛した人…。」
愛した…。
「その人今は…?。」
聞いてはいけないと分かっている。でも、口が勝手にしゃべり出してしまうの。
・・・先生は、首を横に振った。
皿が割れる音で私は、目が覚めた。
ここどこ?。・・・そうだった。先生の家に泊めてもらったんだった。
「月影さん、ごめんね、起しちゃった?。」
昨日の話がなかったかのように先生は笑顔だった。
「いえ。こんなに遅くまで寝ていたことないので・・・。っていうか、先生何しているんですか?。」
料理しているようには到底見えない。
「朝ご飯作ろうと思って…。」
・・・。袖まくりをする。
「私が作ります。先生は、あっちでテレビでも見ててください。」
「そんな、悪いよ。」
「泊めてもらったお礼です。」
私は、髪を一つにまとめて言った。
「・・・じゃあお言葉に甘えて。」
先生は、子供のような無邪気な顔で笑った。
私たちがほほ笑み合っていると、涼香の泣き声が聞こえた。
「俺が、見てるよ。」
先生は、涼香の寝ている部屋にいった。
「いただきます!。」
先生と私と紗夜でちゃぶ台を囲む。
紗夜、最初は知らない人でビックリしていたみたいだけど、なれたみたい・・・。
膝には涼香がいる。作りたてのミルクを飲んでいた。
「うまっ。」
先生は、一口食べるとそう言ってくれた。
「ホントですか?。」
「うん。シェフになれるよ。」
先生は笑顔で言った。
私も思わず笑顔になる。
どうしよう、好き・・・。先生が…。
読んでいただいてありがとうございます。
次回もお楽しみに…。




