第七十話酢酸納豆
俺は現在、激しい戦いによって破損して飛び散った金属を納豆糸によって早急に集めて、どんどんヤッチに触らせて合体させて俺達の技の形にしていく。
その形は俺達を囲むようにし練り上げていきただの金属では無く鉄線のようにする。
本来ならヤッチの『螺旋菌滅鎖』ではこんな細かい変化は出来ないらしいが、俺が納豆糸を使って補助することによってなんとか形にする。
俺の納豆糸を使って編み上げられるものはまるで巨大な鎧のような形になって俺達を似非SAMURAIから飛んでくる弾丸から守る。
それをしばらくして、俺達に襲って来た奴らがつく頃にはその技は完成する。
『何だアレ!?あんなのやってくるって情報はなかったはずだが!』
『ついに正体を現したな。貴殿は刀を持つものではなくただ単に暴れるだけの鬼だったんでござるね』
死神狩り二人が動揺する今の俺とヤッチの状況は一言で表すとしたら、『螺旋菌滅鎖』版『ナットマン』といった所か。
「ただの納豆さん。これってこのままの状態で動く感じですかね。俺も動いたほうがいい感じのものですか?」
「ああ、もちろんだ。俺とヤッチの仲だったら余裕だろ?」
そう答えると、ヤッチが少し頼もしそうな空気感を出して、
「もちろんですね!」
といい、俺を急かすように『螺旋菌滅鎖』版『ナットマン』、略して『螺旋マン』を動かして来たので俺もその意思に沿うように、死神狩りに対して突撃する。
似非SAMURAIと残りの死神狩りに向かって、拳を振り上げてただひたすらに叩きつける。
叩きつけた拳は残りの死神狩りに当たったが、似非SAMURAIに避けられてしまった。
『うお!これはでかいな。しばらく動けそうないな。死神狩りNo.2俺はしばら動けそうにないということであとは頼む。俺は最後の仕掛けにかかる』
うん?どうして俺達に丸聞こえな状態で大事な指示を飛ばした?単純に彼奴がそこまで考えていないのなら全く持って問題ないんだが、そうでなければ面倒なことになりそうだな。
俺は『了解したでござる!』と、何やら納得したらしい似非SAMURAIを見て、「ヤッチ、これからは俺が攻撃に注力するから、彼奴等がなにか工作していないか見張って、なにかあったら伝えてくれ」
「了解しました!それではただの納豆さんが頑張れるように、精一杯頑張らせていただきますね」
そういって、ヤッチは俺に操作を司る納豆糸を渡す。俺はヤッチによって『螺旋菌滅鎖』を動かして操縦していたところへ納豆糸を伸ばして、全ての部分の操縦権を得てから、一旦似非SAMURAIに狙いをつける。
『それが貴殿のKATANAでござるか。しかし某のものも天下を統べるものと言っても過言でないもので候』
何言っているんだこいつ。相変わらずSAMURAI並びに日本文化の認識が適当なやつだな。
俺はそう思いつつも、拳を振り上げて似非SAMURAIのノルトラによって湧いてきた嚢虫を蹴散らしつつ、攻防を続ける。
今回の『螺旋マン』は大部分を能力を使う際に代償がほとんどないヤッチ製なので、継戦能力があるため、俺はいつものように、強引に勝利へ最短ルートでたどり着くと言ったことをせずに慎重に戦っている。
『もしかしてそれだけで終わりといわけではござらぬのよね?その程度で終わってしまっていたらこれからの勝負ではついてこれないでござるよ。納豆最強なんて聞いて呆れるでござる』
といって、似非SAMURAIは嚢虫をKATANAにまとわせながら、もう飽きたとでもいいたげな表情で、こちらを一刀両断しようというのか、踏み込む。
この似非SAMURAI、今、納豆を侮辱したな………………?良い度胸だ。今から一分も立たない内に倒してやるよ。
納豆を侮辱した似非SAMURAIを抹殺すべく、俺は『螺旋マン』の装甲を再び納豆糸で覆って『真芽毘汐士』の形態にしようとすると、
「ただの納豆さん、彼奴等の狙っていることが分かりました。多分あの日本を履き違えている系SAMURAIは捨て身覚悟でただの納豆さんを消耗させようとしています。現にさっきもう一人の死神狩りが誰かにこの状況を伝えるかのような動きをしていました。ここは冷静になったほうが得策かと思いますね。ということで彼奴等の企みがわかった今、戦うべきが分かりました。ここの操縦は俺に任せてくだせえ。ただの納豆さんは消耗しないように最低限の操作だけして休んでいてください」
と、ヤッチがキモオタ特有の早口でまくし立てて来た。
は!!いけないいけない。確かにあいつは納豆を侮辱した異端者だが、あいつを裁くのは今ではない。
「すまない。少し負け犬の遠吠えに感情的になってしまった。そこまで言うなら俺は休んでおく、それにしてもここまで言ったのは初めてだな。それと、ヤッチがやるなら百戦錬磨古今東西敵無しの実力を期待してもいいんだな?」
「あはは、流石にそこまでには届かないとは思いますけど、その期待に劣らないくらいには頑張らせていただきますよ」
そういったヤッチを見て、俺は『螺旋マン』の操縦権を全てヤッチに移行して休憩するために少し息を抜く。
操縦権が渡されたヤッチは、肩慣らしに素早く動かして先程までとの操作の違いを確かめながら、満足した為、飛び上がらせて似非SAMURAIにキックをお見舞いする。
似非SAMURAIはガードしようとするが、そんなことはヤッチもわかっているらしく、『螺旋菌滅鎖』を動かして、似非KATANAを振り落とさせて、攻撃対象の意識が自分以外に行っている内に、再度飛び上がって蹴りを入れた後殴った。
そのついでに、そこら辺を這ってこちら側に攻撃しようとしてきた嚢虫も、足技で蹴散らす。
これによって、先程までよりも似非SAMURAIの動きに淀みが生じる。
『これが納豆マンの本気というやつでござるか………………流石に他の死神刈りを屠っているだけはあるでござるね』
俺は今一切手を出していないが、まあ、なにかうまい感じに勘違いしてくれているらしいし、放置でいいな。
そんなしょうもないことを考えながら納豆を優雅に食べていると、ヤッチと似非SAMURAIの攻防が苛烈さを増してくる。
「ただの納豆さん!このままやっても時間を無駄に食ってしまうだけなので決めさせてもらいますから、揺れに注意してください!いえ、ここから先は軽いほうがいいのでただの納豆さんは降りてください!」
そう言って、ヤッチは俺を出してから、『螺旋マン』体を変形させて言って弓矢の形にして、俺の納豆糸を上手く使って、弓を作って自らを発射させた。
射出されたヤッチは『ナットマン』の防御性能を引き継いだ『螺旋マン』なので、湧き出た嚢虫を一切恐れずに、轢き殺して似非SAMURAIのもとに突っ込む。
『こんなところで退場などありえぬ!』
といって、いつものように似非KATANAを使って防御しているが、流石にヤッチの攻撃のほうが強く、ジリジリと刀は後ろの方に押し込まれていく。
似非SAMURAIは最後の一撃と言わんばかりに力を使って刀を前に押し出そうと、全身の力を込めたが、
「残念でしたね。このマシーン俺とただの納豆さんとの合同作なんです。こんなところで敗れるものではありません!」
そう言って、ヤッチの方も力を入れ始める。
二人は攻防の形となったが、その勝負の勝敗はこの形になる前から決まっていたのだ。
似非SAMURAIが押し負ける。
「ただの納豆さん、やりましたよ。では他のみんなを探しに行きましょうか」
攻撃をもろに食らってしまった似非SAMURAIは倒れた。




