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第六十九話倒したと思ったやつが蘇った

 殴りかかった俺の拳を一度は倒れていたはずの似非SAMURAIが受け止める。


 あのときに納豆を食わせ忘れたのがかなり裏目に出たな。ここで戦闘することは造作もないことだが、あまりに激しい戦闘をしてしまえばこの船に傷が入ってしまって、沈没なんてなってしまったら目も当てられない。


 ここは、最小限の力であの二人に納豆の素晴らしさを伝えなければならないが、どうしたものか。


 そう思いながら俺は『納刀(なっとう)』を作って、その刃を似非SAMURAIに向けた。


『………………NL、こういった場合回収する被検体()に傷をつけたら駄目ですか?良かったらどれくらいの基準か言ってください』


 俺は死神狩りに聞こえないように、常に盗聴されている翻訳機に話しかける。


『いい質問だ。この場合、君たちの方が被験体としての価値が高いから君たちの安全が優先されたりするけど、個人的な感想としては骨折くらいまでなら許容範囲内だね。くれぐれもその切れ味のいい特殊タンパク質の塊で彼らのタンパク質を過度に切り裂かないことを心から祈っておくよ』


『分かりました。四肢切断以上のことしなかったらいいんですよね?』


 俺の言葉を聞いたNLはなにか諦めの様な音声を出しながら。

 

『まあ、不本意ではあるけど、それでも構わない』


 と答える。俺はその声を待ってましたと言わんばかりに、

 

『了解しました』


 と言って、俺は眼の前にいる似非SAMURAIに『納刀(なっとう)』の刃を向ける。


『これから先は文字通りの真剣勝負だ。お前をやってしまう可能性も無きにしもあらずだが、まぁ、今の俺の状態よりは痛くないと思うから耐えてくれ』


『戯言を。そちらこそ、一度蘇った拙者を下すのは殆不可能と覚悟しておくがいいでござる』


 そう言って、勇気なのか蛮勇なのかわからないが納豆相手に啖呵を切った似非SAMURAIはこちらに刃を向けてくる。


 この場は典型的な真剣勝負の様相を呈していたが、そこに茶々を入れる存在もいた。


『おいおい、もともとは俺とお前のバトルなんだ。忘れてくれちゃあ困るってもんだぜ』


 全くもって構ってちゃんなやつだな。しかし、さっきは納豆のパワーに成す術なくやられていたやつに何ができるっていうんだ?


 俺は妙に威勢の良すぎる第一の死神狩りを何かあるのではないかと警戒しながら、構えていると、何を思ったのかは皆目見当もつかないが喋りだした。


『ふ、さすがに俺の空気感に気づけないほどの奴ではなかったが、いいだろう。俺のノルトラの真価を今から見せてやるよ!』


 といっている横から武士道精神はどうしたと言いたくななるくらいの勢いで、刀を突き刺しに踏み込んでくる。


『これだから似非SAMURAIは困る!』


 俺はそう言いながら、先ほどと同じように『納刀(なっとう)』を使って防ぐ。


 しかし、それは先ほどまでよりも容易いものではなく、どちらかといえばギリギリで止まったかのうような力の伝わり方で止まったのだ。


 全くもって蘇るほど強くなる系の敵か?それともさっきまでは力を抜いていたのか?それとも代償で俺が鈍っているだけか?いや、そんなはずはないさっきの戦闘から1時間も経過していないんだ。今まで通りならそんなことはない。


 だったら時間経過、又は倒してしまうような状況に陥れさた場合、身体能力が強化されると言ったものだろう。まあ、そんなド級の能力者バトルみたいなノルトラがあることに若干の違和感は覚えるが。


 俺はそんなことを考えながら、先程よりも集中して似非SAMURAIの攻撃を回避していく。

 

『小賢しいでござるね。先程の戦いで貴殿がSAMURAIの類に有らないといったことはわかってはいたが、同じ刀を持つもの同士。正々堂々と勝負を執り行いたい。貴殿が臆病者でなければ、拙者の様な(つわもの)には己が持っている技で打ち込んでいるはずでござる』


 正々堂々?そもそも2対一を仕掛けている奴らがよくそんなことをのうのうと言えたものである。それにしても、なんとも戦っている最中にお喋りが多い似非SAMURAIだ。もしかして、目的は納豆の力に返り討ちにされることではないのか?

 

 俺は少し考えるために、代償は大きくなってしまうが『納刀(なっとう)』をもう5本ほど出して、今までに作ったものと合わせて死神狩り二人を薙ぎ払ってバックジャンプで少し離れた位置に移動する。


 薙ぎ払ったことによって、かなり遠くに飛ばされた死神狩り二人はある種勇敢とも言えるくらいの勢いでこちらに近づいてきている。しかし、それでもまだまだ考える余裕はある。また、仮に近づいてくることがあってもトラップを仕掛けておく。

 

 そうしていると、あまりにハイスピードバトルに、移動に使えるノルトラを持っておらず、先程までついてこれなかったヤッチが俺が止まったことにより合流した。


「さっきまで一緒に戦っていたアルマの姿が見えないがどうした」


「今の状況は俺とアルマちゃんがあいつと応戦していた時と対応があまりにも違いすぎたので、なにかあるなと思い、他の人のところに向かってもらいました」


「流石だ、ヤッチ。この状況でその判断を下してくれたおかげで考えないといけないことが減った。それで、この状況で俺の近くに来たってことは、ヤッチはクヌムのところへ行かずに加勢するってことでいいのか?」


「ええ、流石にここの所戦闘続きで疲れてきているんじゃないかと思いまして。それに友情的にもここではい、サヨナラは少し無情な行動に思えまして」

 

「じゃあ、前に少しやってみたいと思ったことをやってアイツラを倒すとするか」


「やってみたいこととは?」


「『螺旋菌滅鎖(らせんきんめつじょう)』がヤッチのノルトラなんだよな?」


「まあ、そうですね。ざっくり言えば触れた金属を特殊な状態にしてくっつけると言ったものですね。変に認識に差異があったら面倒なことになってしまいますから言っておきましたが」


「そうだな。ありがとう、これで俺がしたいことが確実にできるってことがわかった。見せつけてやろうぜ、彼奴等に納豆の協調性の高さを!」


「そうですね。俺もさっき彼奴等に酢酸菌の良さをわかってもらえなかったみたいですし、ここは協力して末端神経まで凄さを伝えなければいけませんね」


 俺はそう言って俺の作戦に同意してくれたヤッチに、作戦の概要を伝えて準備に入った。

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