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第六十二話暇という病は下手なノルトラより恐ろしいものだ

現在俺達はミラが持ってきた車に乗って、砂漠を横断している。


 運転は特例によって懐疑的になる心が収められないとはいえ、一時的な無免許運転が許可された為、なにかとても運転したそうにしていたクヌムにまかせて、快適なひと時を過ごしていたのだが…………。


「暇だ」


「そうですね〜。こんな砂漠のど真ん中で電波が飛んでいないからスマホが使えないと、こうも現代人は暇になってしまうものなのか考えてしまいましたよ」


 そう、暇なのだ。


「それを考えていれば多少の暇は解決するのではないかね?八葉くん」


「これが不思議なことに10分くらいするとですね〜。めっちゃ飽きるんですよ。所詮は答えがない、あったところだから何だよって言いたくなる議題ですからね〜。くぅ〜!辛いです」


「そうか、暇なのか。確かにこんなところじゃ電波は圏外だからな」


「ただの納豆さんなにか暇を潰せそうないいものない?」


「そうだなー、ならヤッチもやってみるか?納豆の粒合わせ」


「なにそれ貝合わせくらい面白そう。でもこんな時にそれしたら、余計に暇に感じて病みそうだからいいわ」


「そうか、確かにこんなになにもないところで比較的低刺激なことしても余計に気がおかしくなるだけか」


 と、俺がそういえばという感じで言うと、ヤッチが信じられないものを見る顔つきで見てきた。


 そこまで俺が納豆関連の事項を否定したことが珍しいのか?


「糸縁、八葉くんそこまで言うのであれば船での移動に変えるように打診して見てはどうかね?エジプトはナイル川によって繁栄した文明だ。水路なら現代でも多種多様なものがでているから便利だ」


「よく知っているなアルマ、もしかしてここに来る前にスマホで調べていたのか?」


「スマホ?何だねそれは」


 えっ、別に連絡先聞くような空気にもなってないから分からなかったが、アルマってスマホ持っていなかったのかよ。

 

「現代社会において、スマホを持っていない?アルマちゃんってもしかして、低学年の年齢だったりするの?」


「その質問は少々失礼だね。そもそもレディーに年齢を聞くのはナンセンスだ、と言っても私はまだ誕生日を迎えて心の隅で落胆するような年ではないからいいが。それにスマホというものは、私の今までの人生にそこまで必要なものでもなかったんだよ」


「それで年齢は?」


「なんでそこまでこんな小娘の年齢が気になっているんだ!」


 と、アルマが仮面越しなのであんまり分からないが、おそらくドン引きして叫んだ。


「仕方ない、アルマ。ヤッチはノルトラと同時に暇と言う、恐ろしい病に侵されてしまったんだ。だから少しでも暇を潰せそうな興味があるものがあるとああなるんだ。だから、優しい目で見てやってくれ」


「ああ、そうだね。俺は暇という病に侵されているから、一度気になったことはどんな些細なことでも少年探偵の様に追いかけてしまうのだ!」


「糸縁からの援護で更に面倒なことになった!しかたない。私は12歳だ。これで満足したかね?因みにだが、私はこう見えてもリセという日本人の感覚からすれば、高校のようなところで出るような問題の試験をパスして義務教育を終了させてここにいる。あまり、私を子供と言って舐めないでほしい」


「そうなんですか、12歳ですか。危ないですね〜ここが日本だったら、俺とただの納豆さんは警察と一緒にお話しなくていけなくなっていたところです」


「俺はさっさと逃げるから問題ないな」


 そんなことをして話していると、並走していた車からミラが反り返るような姿勢で窓からでてきて、こちらを見ていることに気がついた。


 ホラー映画かな?


 とか意味のないことを考えていると、なにかを伝えたいのか口をパクパクしていることに気づいて窓を開けた。

 

「ミラさん、もしかして今お酒飲んでます?ダメですよいくら砂漠で人がいないからと言っても飲酒運転は事故のものとです。一応安全な様にはしていますが、そっちには賢花も乗っているんですよ?」


「あーあー、結構図星ついてくるね。納豆ボーイはたしかに今、私は本体で飲酒できないストレスのせいで飲酒している。運転に関しては他の分裂体にやらさせているからどうでもいいとして、もうそろそろこの車休憩にも飽き飽きしてきたんじゃない?」


 なにかすごく嫌な予感がするが、立場が上の人間には基本逆らえないのが社会の基本ルールだからな。ここはこれからの自らの運命を甘んじて受け入れるとしよう。

 

「……はい、確かに少しお時間が大いに余ってしまうと、思っていたところではありますが、一体どういった御用なのでしょうか?」


「単純よ。もうすぐこの車は砂漠を抜けてエジプトの港につくわ。そこで、私達はこんな電波が届かないところよりも、電波ガンガンで現代文明の息吹が直に感じられる船に乗り換える」


「しかし、そのようなことをした場合、前回と同じ様に襲撃されるリスクがありますが、そこは大丈夫なんですか?」


「そこに関しては問題ないわ。今回は研究対象を無事に避難させるミッションがあるからね。私の毎日神経を痛めながら貯めておいた分裂体を動員して、周りを監視して援軍が来られないようにする。流石に連中だって、自らの命の保証もないのに向かってくる特攻隊精神のある奴はいないでしょう」


 なにか、『私が作った完全兵器はどんな怪物にだって、負けないに勝るとも劣らない!』くらいの死亡フラグ立ててね?

 

 しかし、それに異を唱えたところでこの車の中で暇な時間が続くだけだ。更に、この状態でもどこから敵が仕掛けてくるのかわかったものではない感じではある。それならいっそ広い部屋で休める船のほうが良いか?というか、それしか無いか。

 

「そうですか、では船で向かいましょうか」


 その後、民主主義的多数決が行われたが、ミラの分裂体の数を除いた5人中の5人が賛成に回るということになった。


 やはり、みんなどうしようもなくなってしまうくらいには暇だったようだ。


 俺達は数時間の車での移動に耐えて、船へと乗り換えた。

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