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第五十一話休みなので観光

 クレカ、GETだぜ!した俺たちは適当にホテルを予約して、一段落した後どこで時間を潰すか思案していた。


「賢花、ここの近くで行きたいとことかあったりするか?」


「うーん、エジプトってギザの大ピラミッドを見に行こうって、父さんや母さんに連れられたときしか、来たことないから正直何があるのかもわからないんだよね。私じゃくて他の人の意見を聞いたほうが良いんじゃないかな?」


「そうか、それならこの中に行きたいとこがある人っている?」


 そう聞くと、後方理解者のような顔をしているヤッチは腕を組んで堂々と置物になり、アルマはなにか考えているような面持ちで何も反応しなかった。


「そうか、なら無難に考古学博物館に行くことが、決定になるけど良いか?」


「せっかく、歴史的ロマンの国に来たんだし、そういうとこに行っておいた方がいいとミイラも思います」


 少しふざけた口調でヤッチが同意すると、考えすぎてこの世から離れてしまっていたアルマが戻ってきた。


「すまない、少し気がかりなことがあって考え事をしてしまっていた。しかし、なにか重要なことが隠れている気がするから、もう少し…………三分間ほどは、思考をする猶予をもらうことを許してくれたまえ」


「別にいいぞ、バルス」

 

「私の名前は既に教えてるんだけど、なんでバルス?だれ?」


 俺の渾身の入れ込みバルスに、驚いたアルマはなにか素みたいな話し口調になった

 

「アルマちゃん、この世には別に、知らなくてもいいことが星の数くらいいっぱいあるんだよ」


「そうなのか、では私は少々思考をさせてもらおう」


 そんなこんなで、三分間をアルマの為に待って差し上げた。


「…………今少しだけだが、自分でも納得できる答えを出せた。ありがとう、糸縁」


「そんなに何を考えていたんだ?今日の晩御飯か」


「私はそこまでの食いしん坊キャラに見えていたのかい?一回も食事でがっついたことはないんだけどね。考えていたことってのは、飛行機墜落のときのことだ。糸縁も口には出していなかったが、思ったのではないだろうか。なんで滅多に起こらないバードストライクが、大量に起こって飛行機を完全に操縦不可能にして、ミラ氏が飛ばしてくれていたジェットが爆破された訳を」


「いや、普通にあの人が乗る乗り物だろうし、もしものときの為に、いつでも自爆特攻出来るように爆弾を大量に積んでたが、その爆弾が何らかの不手際で爆発した。を隠蔽する為のジョークくらいだと思っていた」


「流石にそれは前のミラ氏の印象を引っ張りすぎていると思うよ。確かに、あのときは燃え盛っているヘリで敵ヘリを玉砕墜落させたが、ミラ氏だってれっきとした秩序側の人だからね」


 確かに、私がルール(秩序)って言いそうな顔してるしな。

 

「なにそれ、凄く気になる。ただの納豆さん、何があったの?」


「俺がさっき言った通りだ。特別なことはあんまりない。ちょっと犯罪組織の長をボコって気絶させて、さあ、残党狩りだ!ってなったところに、その残党を燃え盛るヘリで特攻してすべて殲滅したってだけで、そこまでのことはしてないな」


「確か、酵母菌の能力(症状)は体温が一定以上の場合、体のパーツ生やしその延長線として感覚を共有している分裂体を生み出せるものって聞いてはいたんだが、いくら分裂体だからいってもそこまで雑に扱えるものなんだなって」


「どれくらい前だったかは忘れたんだが、分裂体に身の回りのことをさせてたな」


「もはや、ただの家事ロボット」


「さて、これでミラに関することは終わりだ。チーム発酵の変人の話はともかくとして、今は英気を養う為、博物館に行くか」


「とりあえず、暇を潰しにいきますか」


 俺達四人は博物館に出来るかぎりの時間を潰す為に徒歩で、考古学博物館に向かった。


 ホテルとはそこそこ距離が離れていた為、アルマなどの普段運動はせいぜいダイエット勢に少し疲れが見える。


 考古学博物館、昔はそれ単体があったのだが現在はそうではなく、アレクサンドリア図書館内に吸収されるという、世界で見ても結構珍しい形なのだ。


「図書館の中にあるって、珍しいね!時間があったらアレクサンドリア図書館も少し見ていかない?」


「そうだな。まあ、考古学博物館自体が結構大きいからな。全部見て回れるのかはよくわからないが」


 そんな事言いながら、俺達は館内に入って展示されている物達を見る。


 エジプトといえば、有名なのはピラミッドと壁画である。


 当然、考古学博物館であるため壁画がわんさかあるのだ。遠近感を無視した数々の絵達は独特のセンスをもって、我々に過去の栄光など伝えようとした古代人の心意気が読み取れる。

 

 時たま、遠近感がバグっていたりする下手なやつの絵をエジプト壁画なんて揶揄したりするが、本物は芸術的な技法はおいておいても、それ単体が語りかけてくるような魂の息吹を感じる。


 などと、博物館の若干暗く明かりなどは人口に作られた照明しかない空間だと若干メルヘンチックな気分になってしまった。


「やっぱり、こういうのは写真で見るのと、リアルで見るのとでは全然違いますね」


「ああ、違うな」


 などと俺とヤッチがありきたりな会話を繰り広げていると、隅でアルマと賢花がコソコソ喋っていた。


「賢花くん、見たまえ。普段は納豆以外、『へー、そんなものもあるんだな(棒)』くらいの反応を示さない糸縁が、あんなにも一般人のような対応をとっている」


「ホントだ、でもアルマちゃん。糸縁は意外と一般人らしいところもあるんだよ」


「ヤッチ、ここの近くに裁判所あったっけ?後、エジプトに治外法権は認められてるよな?」


「ナチュラルに仲間を名誉毀損で裁判にかけるな」


 そんなこんなで、静かに博物館での一時が終わった。


――


『カイロ班、定期連絡だ。ファラオの呪いのノルトラ使いは見つかっていないのか?』


『ああ、残念ながら』


『ち、まあ、仕方ない。ファラオの呪いは忍び寄る死神以上の脅威の可能性もある、政府が動いていることもあって面倒だからな。了解、こっちでそれらしい連中を見つけたらこちらが始末しておこう』


『助力感謝する、アレクサンドリア班』


『それで、ボスは次の抗争はどうなるって言ってた?』


『それに関しては問題ない。SDМBVFの連中が邪魔をしない限りは、この国を巻き込んだ戦争に発展して、ファラオの呪いで地中海の闇組織をバッタバッタと倒すことが出来るだろう。と言っておられた』


『それじゃ、引き続きファラオの呪いのノルトラ捜索に励め』


『言われなくれも、だ』

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