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第四十六話全然休めなかったことだけは分かったぞ

 はっははは!どうやら寝ていた俺は自分で知らない内に、かなりのロングスリーパになっていたらしく、目が覚めたら新春だったようだ。


 しかも、休暇が残り少ないってっことは三が日もおろか、正月をすべて寝正月(一切の比喩や誇張表現抜き)したってことだ。


 などと考えていると、隣にいたNLが何か話してくる。


『HappyNewYear!調子はどうだい?』


「この死んだ顔を見ればわかると思いますが」


『そうだね!そんな君にいいお知らせがある。君の国では新年を迎えた若者にお年玉と称して、金銭を渡す文化があるらしいね。ということで、酢酸菌ボーナスとセットで通帳に入れておいたから確認してくれたまえ!では、私は君たちが得た愉快なデータを解析する役目があるから、このあたりで失礼させてもらうよ!』


 NLは時間が惜しかったのか、まくしたてるように言って勢いよく部屋から飛び出した。


 俺は起き上がって、初納豆を無言かつ何も考えずにすませた後、少し思考をする。


 マジか、もう休み終わるのか。


 体を少し動かして確認してみると、一切の不便は感じずに動かせ、納豆糸の射出速度も通常通りだった。


 体はまともに動かせるが、やりたかったことほとんど出来なかった…………!!!


 毎年恒例の全品納豆の納豆おせちも、納豆の上に納豆乗せておまけに七草をトッピングする七草粥も、 納豆を上げて高くまで飛ばす納豆揚げも、納豆を目かくしていじって顔の形にして遊ぶ納豆笑いも、何も出来なかった!


 仕方ない。ここは来月の南東に向けて無言で食べる納豆巻きに備えよう…………。あっ、そういえば、ヤッチが俺達のチームに加わることになるってことは、ここにいるってことだな。新年の挨拶に行くか。


 俺が部屋を出てしばらく歩いていると、アルマと遭遇した。


「あけましておめでとうございます、アルマ。そういえば俺の年齢的にアルマにお年玉渡したほうが良いか?」


「あけましておめでとうございます、糸縁。意外と長いこと眠っていたね、私はもういっぱいもらっているから大丈夫だよ。それよりも、私がいない間、とんでもないことになっていたと聞くけど、大丈夫だったのか?」


「だいたい問題ない。納豆は相変わらず最強だし、ちょっと誇張抜きで寝正月になったが、俺は元気だからな」


「そうか。それは良かった。それよりも私にかまっていて良いのか?」


「どういうことだ?」


「ここには糸縁の親友だという八葉和人くんと賢花がいるのに、私にばかりかまってる時間は、自ら言うのは何だがそんなにはないと思う」


「そういうんだったら、賢花とヤッチ(八葉和人)ってどこにいるか知っているか?新年の挨拶をしにいかないといけないからな」


 そう言うと、アルマは「少し待ってくれ、いまから私が推理する」といって少し考えて、結果を口にする。


「私の占い(推理)賢花と八葉和人くんなら今の時間は広場にいるんじゃないかな。じゃ、いってらっしゃい」


 俺はアルマの言葉を聞いた後、「ああ、やっぱりアルマは頼りになるな!今後とも頼む」と言ってその場を去った。


 広場、普段多忙を極める職員を労るためアロマテラピー的な効果を期待し、観葉植物や花が植えられまくっていて迷路みたいになっておりもはや、ただの自然じゃないかと思うくらいの植物園の中にヤッチを発見した。


 俺はちょうど聞こえるくらいの声量と手を上げて、前にいたヤッチへ挨拶する。


「おっ!あけおめ、ヤッチ」


「寝正月のただの納豆さんじゃないですか、あけおめ」


「ヤッチもここに来ることになったんだな」


「まあ、ただの納豆さんに加勢して戦ったあの時にこうなるだろうなとは思っていましたよ。まあ多分、どうしようと結局こうなっていたと思いますんでね。順番が少し変わっただけですよ」


「そうか、そういえばなんか死神狩りってやつは倒したのか?」


「そりゃもうギリギリにはなってしまったんですが、しっかりと勝利を収めましたとも。それよりも、ただの納豆さんの意識が逝った時、信仁さんと二人っきりになって相当気まずかったんだが?」


「そりゃすまない。俺達みたいな連中は友達の友達は友なんて、陽キャ用語は一切当てはまらない人種だからな」


「変わりようのない真実。でもなんだか貶されているようで、虫唾イグニッションですよ」


「そうかなら、こっちは防虫剤と殺虫剤とついでにライターをもってヤッチの怒りを沈めてやろう」


「サラッと怒りだけではなく、俺の体まで沈静化しそうなことするな。しかし、元気そうで何よりです」

 

「ああ、そういえばヤッチも俺のいる無茶振り調査隊?に入るんだよな」


「そうだな。正直言って超稼げるバイト過ぎてびっくりしている。日本でやってたバイトと報酬額の桁が違う」

 

「俺はその報酬を無為意味になった旅行で全部溶かすことになったから気をつけろよ」


「流石にそれはただの納豆さんの問題かと思うが………………その感じだと信仁さんとはまだあってないよな?それなら俺よりもそっちに行ったほうが良いと思うぞ、なにか考えてお前に伝えたいことあるみたいな感じだったし」


「分かった。それじゃ、今度加勢してくれてなんかよくわかんないやつと戦ってくれたお礼に、納豆いっぱいヤッチの部屋に送っておく」


「気持ちだけは受け取っておく」


 俺は賢花の元に向かった。

 

 ヤッチとはそこまで長いこと話していなかったから、賢花はまだこの広場にいるはずだ。そう考えてノルトラを使って全力疾走をする。


 数分後、意外と時間がかかったが他のエリアに移動しようとしていたのか、ベンチから立ち上がる賢花を発見したので声をかけた。

 

「賢花ー!探したぞ。あけましておめでとうございますになってしまったが、元気そうで良かった」


「糸縁!?目覚めてたの?目覚めたんなら、電話とかでいってくれれば私の方から行ったのに………………けど無事で良かったよ、あけましておめでとうございます。それと、ありがとう糸縁」


「感謝されるくらいのことはしてはないんだが…………受け取っておく。どういたしまして」


 重々しい空気をもって賢花が言う。

 

「後、糸縁には言っておかないといけないことがあるんだ」

 

 何だ?もしかしてあの時戦ったビルは他人の所有地を勝手にパクったもので、結構壊しながら戦った代償を払わされることになるのか?


 目の間に来ているいや予感を受け止め固唾を飲んで賢花の言葉が放たれるのを待つ。


「私のノルトラ(狂犬病ウイルス)を治す手助けをしてください」


「…………あぁ、うん分かった。納豆に出来ないことはないからな任せておけ」


「それと…………、最近欲しいものって」


 俺は毅然と自らの気持ちを若干の早口で赤裸々と伝える。

 

「納豆を食べられるくらいの休暇」

 

「ちょっと、それは私の権限のうちには入らないから無理かなー?ごめんね」


「それじゃ、ちょっと付き合ってくれ、今ならまだおひとり二個までの限定納豆に間に合う、渡航するぞ」


「…………うん!分かった!」

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