第十五話計画
ここは犯罪組織バルクが暗躍するエッフェル塔が見えるビルの最上階の部屋だ。
『ふっふっ、ついにこの時がきたか。楽しみすぎて全然眠れなかったぞ』
一人の男は薄っすらと歯を出しながら笑みを見せて思考をする。
『この、この時のために!長い時間をかけて犯罪組織バルクというカモフラージュの為の虚像を作って、フランスを裏から牛耳ったと言っても過言ではない!……………………今こそ、私の|Enterovirusを使いこの腐れきっている者と国に革命を起こすのだ!』
犯罪組織バルクの長は微笑む。
『革命の時が接近している………………残るは最近フランスに来て次々とあまり関係のない雑魚を狩る邪魔な者たちに退場してもらい客人を招き、傍観してもらうだけだ。最後のときなんだ、今まではしてこなかったが、盛大に構成員を派遣しよう』
犯罪組織バルクの長は電話を手にとって番号を入力し、耳に当てる。
『何ですか?こちらはよくわからない乳酸菌サイコー等と言っているヤバい奴を対処していますが、どういたしましょう?』
『そうか、俺はこのあとからやることがある、暴れたくてたまらないとおもう組織全隊に命令を出すから、ほかのやつに伝えておけ。命令の内容は全員、全力で暴れろ、だ』
『…………!!分かりました!暴れます!』
『切るぞ』
と言って電話を切った。
「さあ!ステージを上げよう!たった今から私はただの人間ではなくなる!見て驚け、聞いて慄け!エンテロウイルスの本領発揮だ!」
犯罪組織バルクの長は部屋から出て屋上に向かった。
――
「糸縁の言う通りだったよ……………!」
アルマは興奮しながら再度行った占いの続きを話しだした。
「まず、犯罪組織バルクはこんなところに本拠地を置いていない。私の占いでは元々犯罪組織バルクを大きな組織であると思っていたが、それは当たらずとも遠からずと言った所だった。元々なぜ私が犯罪組織バルクの本拠地がある場所占いを出しても雑魚がいるだけ、その場所にはそこまでの大物はいなかったのか気になっていた。だが今回ではっきりした。それはそもそも本拠地と呼べるものはもともと存在しかったからなんだ!
そして、私のうちから溢れ出す思考から、各地にそれらしき関連組織と組んであたかも子組織であると偽っているだけで、実体はボスと子組織の集合体だったということが、導き出されたんだ」
「ほう、それで犯罪組織バルクの親玉はどこにいるんだ?」
「私たちが出会った場所、パリだ。これ以上の言葉は必要ではない!行くよ!」
アルマは鬼気迫ったような表情で急いで準備をしてホテルを出る。
俺と賢花も後を追ってホテルをチェクアウトした。
――
『もしもしももし、ジェーム、成果はあった?』
『俺たちは基本的に情報できるだけ漏らさないように日本語の一部でしかしないような喋り方をするが、さすがにそれはないぞ。成果の件についてだが、正直なこと言って雑魚しかいなかった。だが、構成員の一人が偉そうなやつと連絡を取っているのを発見した』
犯罪組織バルクの長が発した言葉の全容が言葉がスマホから伝達され耳に入った瞬間、おちゃらけていて正直なに考えているか分からないミラの声色が変わる。
『…………それで?』
『どうやら、大事になるらしい。あの言い方でここはフランスだからな………………俺の経験から恐らくバイオテロだろう』
『そうだね、今のナウいバイオなテロは"ノルトラ"だ。で、場所は?』
『わからねぇ、取り敢えず、納豆野郎のところにも連絡するから一旦切る』
『了解、私どこで行われるか調べながら車を運転する』
ミラの言葉を聞いたジェームの血流の流れは早くなり、予期している未来を変える為、力強く、決して聴きそびれたなどという戯言を言えなくするように言う。
『するな…………お前が、運転、するな…………今は、朝だぞ。分かっているな?今は、朝だぞ?もし事故っても、誤魔化し効かなかないぞ?』
『了解、四方八方、四面全てを注視して運転する』
『まぁ、いい。ということだから、それじゃ』
ジェームはミラにかけていた電話を切り、一応入っていた糸縁の電話番後にかける。
『なんだッッッ!こっちは今急いでいるんですがっ!』
『何があった?冷静に今の状況を一言で言え』
『アルマによってパリに犯罪組織バルクの長がいることが判明、向かっています』
『なんだって?了解した。俺とミラもそっちに向かう。生急ぐんじゃねぇぞ、雑魚』
『おいまッ』
(これはヤベェかもな。俺が出会ってきた件の中で一番の大事になりそうだ。取り敢えず、ミラに電話だ)
ブツッと電話を切ったジェームは急いでミラにかける。
『なに?なにか重要なことでもわかった?』
『納豆野郎チームのアルマが犯罪組織バルクの長の在り処を突き止めたぞ』
『イエッサーラジャー、で、何処?』
『パリらしい』
『おーけー、私が一人で行くとジェームが何もできなくなるから拾っていく』
『………………OK』
若干の不満を抱きつつも事態が事態な為、ぐっと気持ちを押し殺して電話を切る。
フランスに危機が迫る。