第一四話襲撃後、ホテルの部屋にて
ふーー、昨日も良い納豆の夢を見られたぜ。
そう思いながら、毎朝の納豆を摂取していると、アルマが起きてきた。
「いい朝だね、糸縁。昨日はなにかあったかい?」
「変なやつに納豆の凄さを分からせる夢を見た気がするが、それ以外は特に何もなかったな…………というか、ペスト仮面はつけないのか?」
アルマはハーフなのだなと思わせる感じで、世間一般で見れば、美形と称される素顔を露出していた。
「…………というか、その言いようは何かあったときのものだね。どれどれ、私の推理でみてみよう」
といい、アルマはペスト仮面を被り、集中し始めた。
「ふむ、不純な行為はなかった。しかし、犯罪組織バルクの構成員の一人が襲撃してきた。が、糸縁の手によって無惨にも撃退されたと…………なるほどね。私の推理には間違いないからね。なるほど、やっぱり何かあったね」
「そういえば、モノクルに埋め込んである水晶での占いって言っていたが、実際はどうやってやってるんだ?」
「気合を込めると何故かビジョンが水晶に浮かんで分かる」
「脳筋だな」
「心外だね。これは私が父と母からもらった体が、意識の外側で常に物事を考えていると言うことの表れなのだよ。そんなバカの一つ覚えの様に、適当にやってできることではない」
「それだったら、普通に推理できているんじゃないか?」
「残念だが、私はこの仮面、水晶モノクルをつけて集中しないと一切何も分からなくなるという弱点を抱えていてね。そんなものは到底、推理と呼べないから占いといっているのだよ」
「大変なんだな。俺は最強のノルトラを持っているからあんまり分からないが」
「君も大変そうだと思うがね。さっきついでに君のことも推理してみたんたんだが、君は常に腹痛や頭痛に襲われており、世間ではオーバードーズと呼ばれる量の痛み止めを服用しなければ、立つこともままならないと見た。違うかい?」
「……………………悔しいが、あったってるな。まぁ、そうだな。ノルトラを使うまでは全然だが、使ってからは痛み止めを貫通してくるくらいのが襲ってくるよ。しかし!納豆はすごい!いつかこの痛いという弱点も消し去り究極の能力にするのだ!」
「君は、狂ってるね。私が見た誰よりも」
「褒め言葉か?褒め言葉ならそんな言葉は納豆に言ってやれ」
俺がそういうと、日が昇っていて、賢花が起きてきた。
「ふぁ……おはよう。糸縁、アルマ」
「かなり眠そうじゃないか?どれ、私が直々にコーヒーを淹れてやろう。少し待っててくれ」
そう言ってアルマは自信満々に市販品のコーヒーを淹れに行った。
「糸縁、それで、今日はどこに向かうの?」
「昨日はあんまり成果を得られなかったというか、ほぼ何の成果も得られなかったようなものだからな。今日は気合を入れてやっていきたいが…………さて、どこの居酒屋を回ったものかな」
「糸縁、ちょっと言いたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
「アルマの推理に任せてこれまで結構な件数の居酒屋を回ってきたわけだけど、怪しいところはあったにはあったけど、糸縁が確信を持って言えるほどではなかったよね?」
「そうだな」
「だから別にアルマを疑っているわけじゃないんだけど、もしかしたら何か間違って占いをしているんじゃないかと思っているんだけど、どう思う?」
「うーん、まぁ、よくわからない通路はあるにはあったが、本当にそれだけだからなぁ。確かに、何か惜しいようで噛み合ってはいなかったな。コーヒーを持ってきたら言ってみよう。そう言えば、俺は研究機関の移行で何もしなくても高校卒業できるらしいが、賢花はどうなんだ?扱いとしてはただの護衛対象だから高校を卒業できないと思うが」
「そのあたりは大丈夫、最悪私のノルトラが落ち着くのがかなり遅くなっても転校するなり、高卒認定をとって大学行くなりするから」
「賢花のノルトラねぇ、ケモミミが生えて尻尾も生える病気なんて聞いたこと無いが」
「それを言うなら納豆菌に感染した人なんて聞いたこともないよ」
「それもそうだな、ハハッ」
「なんだい?私の噂話をしていたような気がしたのだがね」
「いや、アルマの占いでは犯罪組織バルクの根城か何かがこの街のパブにあるってなっていたが、本当にそれで間違いないのかって話だ」
「そんなはずは………………いや、私はまだまだ未熟なんだ、決めつけずにもう一度やってみよう」
アルマは再び集中し始めた。
それから暫く占いをしていたのかフリーズしたのかと思うくらい固まって気づいたらコーヒーが冷めていた。
しかし、それでもアルマの意識は戻ってこない。よっぽど難航するものだったのだろうか。
それから俺と賢花はフランス語テレビを見ながら、フランス語分かんねえと思いつつ、音楽は万国共通のエンタメだということを肌で感じていると、アルマの占いが終わるのを待つこと2時間。
2時間後遂にアルマは顔を開けで何やら核心に気づいたような様子でこっちに向かって気取って歩いてきた。
そして、音を発する。
「……………………糸縁の言う通りだったよ」