第十話トイレとの恋愛シュミレーションゲームRTAがあったらぶっちぎり一位の自信がある
納豆糸で動くデコイを作った影響によって鎮痛剤を貫通した痛みが襲ってきたので俺はトイレにRTAじみた動きで駆け込んだ。
数分後。
ふぅ…………。
ことを済ませた俺は手に付着した大腸菌を死滅させるべく扉を開けようとすると。
『なるほど、つまりここに忍び寄る死神がいるということか』
ドア越しなので気配でしかわからないが恐らく2人組みが急にやってきて会話を始めた。
なんかトーン的に重要そうな情報吐いているな。
なんとなく今出たら気まずい雰囲気になってしまいそうなので
……もしかしてこいつら賢花事狙ってる?そうじゃないとしても怪しすぎるから、一発かますか。
俺はトイレの壁を納豆糸を駆使し蜘蛛が壁を登るように自然に気づかれないように這って天井まで登る。
『説明感謝する。俺は上に命令された通りノルトラセレウス菌で忍び寄る死神をノックアウトする』
そして、情報版衝動ガンにでもかかったのかというくらい重要そうな情報をペラペラと言っている情報発信源の真上に音を殺殺して移動する。
『そうか。気をつけろよこっちの方の上からは何やら妙なやつがいると言うからな警戒しておけ』
と言って会話を終了した瞬間、情報発信源に見えるように上から納豆糸を垂らした。
納豆糸が情報発信源の目に入った瞬間驚いて数秒周りを見つめたあと恐る恐るという感じで上を見てきた。
なのでサービス精神で納豆糸を工夫して液体ぽい納豆糸を滴り落とし化け物ような格好になる。
そして、ねっとりとした声で、
「natto or death…………?」
と発した。
そうするとまるで化け物を見かけたホラー映画の人物のように慌ててノルトラを使おうとしたのか手を掲げたが、問答無用で納豆糸でぐるぐる巻きにする。
『クソッ、よりにもよってこんなところで納豆野郎に捕まっちまうなんて……』
その後、俺は化け物モードを解いて地面に着地して納豆糸を解こうと足掻きながら何か言っている情報発信源をよく見てみる。
「ふー、それにしてもこいつら怪しい格好してんな」
黒いマスク、黒いサングラス、黒い帽子、黒いロングコート。アイアム不審者でも言いたげな格好だな。情報だけではなく見た目もガバかったのか。
仮にこいつらが何もやってなくても確定通報案件だな。
そうやって何かを言っている不審者2人組みを観察していると2つの写真を見つけた。
「?なんだコレ」
1枚目の写真には俺、もう1枚のものには賢花が写っていた。
ドス黒ッッッ!?盗撮はさすがにアウトだろ。
これは流石に納豆治療案件だわ。
俺は即座に不審者2人組みの上側のあらゆる穴に納豆を詰めた。
『フォファイブエフエムェェエ!』
「うーん、変な声で喚いているということは効果はあるな」
納豆治療を完遂したことを確認した俺は盗撮不審者2人組みに絡ませた納豆糸をさらに頑丈にして賢花の下へ戻ることにした。
俺が戻ると賢花とアルマはつまみをつまみつつ話で盛り上がっていたようだった。
「賢花、戻ってきたぞー。」
と言いつつ俺は2人が座っている席についた。
俺が座ると気づいた賢花が会話を終了させてこちらを向いて口を開く。
「何か見つかった?」
「記憶喪失と不審者2人組みとは遭遇したが、犯罪組織バルクに関係していそうなやつはいなかったな」
「怪しい!滅茶苦茶怪しいよ!何か隠していない?」
「いや、何も隠してない。記憶喪失は納豆好きだったし、不審者2人組みはただの盗撮犯を見つけたから最強納豆糸でぐるぐる巻にはしたが、それだけだった。」
俺がこれまであったことを大まかに伝えるとアルマが興味あり気に聞いてきた。
「ふぅん?糸縁、そのぐるぐる巻きにした不審者組の所に案内してくれないかな?気になるんだ」
「トイレでぐるぐる巻きにしたからちょっと外で待ってくれ」
ということで1分後、パブの裏でアルマと不審者2人組みが顔合わせする。
アルマが不審者2人組みを何か思い出すかのような表情で少し見た後、俺が徴収した盗撮写真を持ち出しフランス語で何かいい始めた。
『この写真はなんなんだ?なんでこんな物を持っている?』
『それは、たまたま見つけただけだ……』
『しらばっくれるんじゃない。そんな訳無いだろう?』
アルマはくえているパイプタバコから煙を出しながら不審者2人組みを蹴る。
『別に私の仲間に頼んでこのまま一生そのままで海にでも沈めることも出来るんだよ?発言には気をつけたほうかいいぞ』
『分かった。俺達は犯罪組織バルクの幹部直属の部下で、上からお前らと一緒にいた忍び寄る死神を誘拐しろと命令されたらから実行しに動いた』
『私の占いよりしょぼいな……なにか隠しているんじゃないんだろうな?』
『な、なにもねぇよ』
『…………そうか』
「なにかわかったか?」
「いや、なんらかの犯罪組織の幹部で賢花を狙っていたことくらいしか分からなかったよ」
やっぱりか。
「分かった。そう言えば、こんな時に聞く質問では無いとは思うが、そのパイプタバコ本物なのか?」
「私は未成年の身だからね、当然脅しの為に用意したそれっぽく見せるだけの模造品さ、煙は二酸化炭素つまりドライアイスで再現している」
「そうなのか。それじゃ、ここはハズレだったし次のパブに行くか」
「まぁ、思うことはあるけど今はそのほうがいいかもね」