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王女とエンジニアの恋

 コペルニクス王国物語 出会い編後編 

〜王女とエンジニアの恋物語 日常の日々〜


二〇五五年八月十二日午前四時五十分

「こんな朝早く誰だろう?」

「ティモルさん。おはようございます」。

「サラさん。おはよう。こんな朝早くからサブマリンサンド作るの?」

「はい。ヒロ君が起きてくる前に、作り終わって冷蔵庫に直しておきたかったので」

「そういうことですか。わかりました。私は朝ごはんをこちらの台作るので。この台で作るといいよ」

「ありがとうございます」

「一人でできそう?」

「頑張ってやってみます」

「どうしても無理だったら声かけてね」

「はい。ティモルさん。ちなみに今日の朝ごはんは何でしょうか?」

「今日はスクランブルエッグ・ハムステーキ・野菜サラダのコンボとコースープ・食パン」

「申し訳ないのですがスクランブルエッグの作り方。教えて頂いてもいいですか?」

「いいけど作れるかな?そうだ。教えるのは朝ごはん作ってからでいいかな。そのほうが見といてあげられるから」

「はい。よろしくお願いします」

 ティモルは朝ごはんをサラはサブマリンサンドをそれぞれ作り始めた。サラはティモルからペティナイフを借り右手を食材の押さえに使い。左手で食材を切った。サブマリンサンド用のパン・生ハム・トマトを切り、からしマヨネーズをパンにバターナイフで塗り土台になる部分を四個並べミックスサラダ・トマトスライス・生ハムをのせからしマヨネーズを適量かけパンの上に部分をのせて、一つだけ横半分に切り買ってきた容器に入れた。とりあえずそれを冷蔵庫に直した。教えてもらうのに時間がったのでティモルさんの仕事を見ながら手伝えるところはお手伝いをした。

「これがスクランブルエッグの素ですか?」

「そうだよ。そこの透明のボールに入っている液体がスクランブルエッグの元、基本卵五個個と生クリーム卵と同量。バター。塩。コショウが入っている。生クリームの代わりに牛乳でもいいけど。牛乳を使うのなら二割から三割減らすのがおすすめ」

「サラお嬢様。おはようございます」

「………………」

「ティモルさん。これをフライパンに入れたらいいのですか?」

「パンの大きさに合わせるのだったら、前にかけてある九十CCレードルを使うといいよ。卵入れる前によく混ぜてから入れてね」

「はい。わかりました」

ティモルは小声でアキレア注意した。

「あなた。この家でサラさんを呼ぶときはお嬢様を付けたらだめだと言われたでしょう?忘れたの」

「あっごめん。忘れていた。それで無視されたのか」

「当然でしょう。怒るのは無理ないわよ」

「どうしたらいいかな」

「お嬢様つけずに呼んでみたら」

「わかった。サラさんおはようございます」

「アキレアさん。おはようございます」

 アキレアは小声でティモルに返事して貰えてよかったと伝えた。

「サラさん初めてにしては。なかなか上手だね。ところでサブマリンサンドイッチどこで覚えたの」

「昨日。マリーちゃんに連れて行ってもらったスーパーのサンドイッチコーナーにサブマリンサンドイッチが置いてあってこれなら作れるかなと思い購入して断面の写真を撮って見ながら作っていたのです」

「それで私に聞かずに作っていたわけだ」

「はい」

「サラさんは料理上手なお嫁さんになりそうだね。私すごく楽しみ」

「まだ決まったわけではないので」

「サラさん。誰のお嫁さんになるの?」

「あなたはいいの。話にはいらなくても」

「は〜〜い」

「母さん。そろそろ行くね」

「アキレアさん少し待ってください」

サラは、からしマヨネーズを一つだけパンに塗り、土台のパンに焼き立てのスクランブルエッグをのせ、ケチャップをかけてその上にパンの上の部分をのせ、冷蔵庫に入れた生はむと野菜のサブマリンサンドイッチを箱ごと一つだし、卵のサブマリンサンドイッチを入れてアキレアに渡した。

「アキレアさんこれを持って行ってください。私が作ったサブマリンサンドイッチです」

「サラおじ……サラさん。ありがとうございます。頂いていきます」

「はい。帰ってから。私情抜きの評価お願いします」

「わかりました。行ってきます」

「いってらっしゃいませ」

「何にやにやしているの。早くお行きこのエロじじいが」

「母さん。そんなに怒らなくてもいいだろ.行ってきます」

「行ってらっしゃい。浮かれて事故したらだめだよ」

「は〜い。気を付けます」

「ほんと大丈夫かね。あんなに浮かれて」

「すいません。私まずいことしましたでしょうか?」

「ううん。そうではなくて。うちの旦那。喜ぶと浮かれすぎるとこあるから。サラさんそれより続き作らないとヒロが起きてしまうよ」

「あっそうだ。あと三つ作らないと」

 サラは残りの三個を作り始めた。十五分程かけて作り終わり。箱のひとつはマリーちゃんの名前を書いて、一つは紙袋に入れ、一つはティモルさんへと伝え冷蔵庫に直した。

「サラさんありがとう。病院に持っていってみんなに自慢しながら食べるね。朝ごはんどうする?」

「あっ。食べます。今日七時三十分にロボットさん来るのだった」

サラは雑談をしながら朝食をいた。片付けをしていたらA二〇一が来て処置をしてくれた。A二〇一はサノバラ総合病院への引継ぎの話をして。データーを送る承諾のサインをもらって帰っていった。

「サラさん。十五日って早いのかい」

「はい。お母様がヒロ君と夕食をと言われ、午後六時三十分までには着くようにしてほしいと言われて、ヒロ君に相談したら、サノバラまで約千キロだから午前七時に出たら、一時間休憩入れても午後六時頃には到着できるだろうと言っていましたので」

「サノバラ行こうと思ったら泊りになるものね」

「すいません。ヒロさんお借りします。多分、お母様が泊まるように勧めると思うのでお帰りになるの。翌日の夕方になると思います」

「わかりました。そのほうが私も安心だから。泊まらないと言ったらサラさん泣き崩しで止めてね。よろしくお願いね」

「私が泣き崩して止めるのですか?」

「そのほうがあの子には効果的かと思って」

「……わかりました。泊まらないと言ったら頑張って泣き崩して止めます」

「サラさん。よろしく」

ティモルは、ヒロを引き留め作戦にのってくれたサラを抱きしめた。

「そろそろ、私は仕事に行く用意しようかな?その前にマリーに声かけておくかな」

サラとティモルは一緒に二階に上がり、ティモルはマリーの部屋へサラはヒロの部屋に入った。ヒロがまだ寝ていたのでやさしくないおこし方をしてあげた。

「ヒロ。もうすぐ十時ですけど何時からデートに行くのですか?」

「えっ。もうすぐ十時。大変だ。予定が狂った」

 ヒロが。慌てて起きるのを見てサラはお腹を抱えて笑った。

「サラさん。だましましたね。心臓が飛び出るかと思いましたよ」

「ごめんね。あんまり気持ちよく寝てるいので。ついいたずらをしてしまいました」

「ほんとびっくりした。でも早く着替えて出ないとほんとに予定が狂うな」

「ヒロ。今日どこ行くの?」

「教えないです。」

「海か山かだけでも教えて。そうしないと服を決められないので」

「両方行きます」

「両方ですか?」

ヒロは一階に降りて朝食を頂いた。サラは服を選んでからバッグをメッセンジャーバッグ・ショルダーバッグ・トップハンドルバッグのどれにするか決めた。ヒロが朝ごはんを食べて部屋に戻ると、サラがバッグで悩んでいたので、右手の事があるからショルダーバックにしたらと言われたのでサラはそうすることにした。

「サラ。水色の白玉のワンピース初めて見るけど」

「一昨日。このえんじのワンピースと一緒にティモルさんに買ってもらったの」

「えっ。母さんに?」

「そうお世話になっているのに服まで買ってもらって申し訳にと思っているのですが」

「それは気にしなくていいと思う。母さん。多分サラさんがクレマさんの娘だから自分の娘のつもりで買ってくれたと思うよ」

「うん。お母様に感謝しないと」

「そうだね。準備できたら行こうか?」

「はい」

ヒロとサラは、準備できたので一階に降りて、ティモルに出発することを言おうとしたら、ティモルも仕事に行くところだった。

「あれ母さん。今日から夜勤ではなかったですか?」

「今日までサラさんが居ているから一日ずらしてもらったの。サラさんこれ」

「はい。ありがとうございます。それとすいません私の為に仕事の変更していただいて」

「いいのよ。そうだ今日はサラさんが来た日に食べたカレーを作るからね」

「!わかりました。楽しみにしておきます」

「ヒロ。サラさん。行ってくるね。サラさんデート楽しんでおいで」

「はい。行ってらっしゃいませ」

「行ってらっしゃい」

ティモルは仕事に出かけて行った。

「!ヒロ。どうしたの」

「今日の夜。母さん居ないつもりだったのでレストラン予約しておいたのだけどキャンセ。二人は車に乗り出発した。

車はシャルムの市街地を通り、トンネルを抜け学園都市のソシルの町に入った。ヒロは大学の近くのジュエリーショップに車を止めた。ヒロは車を降りサラに車を降りるように言ったが降りようとしなかったので、マリーの誕生日にプレゼントしてないので。一緒に見てほしと頼み、車から降ろした。店内に入ってヒロは六月の誕生石ムーンストーンを見ながら九月の誕生石のラピスラズリも見た。

「サラ。これマリーに似合うかな?」

「いいかも。ムーンストーン?」

「そう六月の誕生石」

「マリーちゃん六月何だね」

「それもサラさんと同じ十五日生まれ」

「そうですね」

「お客様。ラピスラズリのネックレスと指輪のセットをお持ちしました」

「ありがとう。サラ。指輪つけてもいい」

「……うん。いいよ。お願いします」

 サラは観念したのかヒロの気持ちを尊重することにした。

「どんな感じ。こっちのほうがしっくりくるかな?」

 サラはしっかりとサイズを見て指輪を決めた。ネックレスはヒロがつけてあげ。サラに鏡で見せた。商品が決まり。商品を渡した時。サラがペアリングを店員さんに聞いたので。数点持ってきてくれ。気に入ったのを見つけるとヒロのサイズと自分のサイズを見てもらい自分で購入した。ヒロはマリーのネックレスとサラの指輪とネックレスのセットを購入した。

 車に戻り。車を走らせているとのどが渇いてきたのでコンビニエンスストアによって飲み物を購入した。その時、駐車場でお互い購入した商品を開け身につけた。

「サラさん。似合っていますよ」

「ありがとう。大事にするね」

「僕も指輪大事にします」

 二人は自分たちの気持ちが固まっていないけど。大事にしたいという気持ちでお互いにプレゼントをした。

 ヒロは。再び車を走らせ。ソシルの隣町のサンシャインシティに入った。入ってすぐの

サンシャインスター海浜公園の駐車場に入った。二人は車を降り荷物を持ち。砂浜を歩き波打ち際に向かった。今日は。天気が良く人手が多いようだ。人々の間を歩いている途中に、右太もものメディカルスーツのバッテリー切れサインのアラームが鳴った。アラームが鳴ったことで周りから注目された。

「!あっ。予備バッテリー持ってくるの。忘れていた。」

「サラさん。少しでも歩けそう?」

「立つのかやっとかな」

「わかった」

ヒロは。お姫様抱っこをしてみんなの注目浴びながら、波打ち際に向かった。

「サラさん。下ろしますよ」

「うん。恥ずかしかった。みんなの視線がすごかった」

「そうだね。仕方ないものね」

サラとヒロは靴を脱ぎ。ヒロがサラを支えながら海に入って行ったサラは左手で麦わら帽子を取り、ブロンズの長い髪をなびかせた。

「最高に気持ちいい」

 サラは。すがすがしい気持ちになった。

「今日はいい風が吹いているね」

「サラさん。シート広げてくるから待っていてね」

「は〜い」

ヒロは。少し山になった砂地のところにシートを広げリュクを置き。パワースーツのバッテリーを抜いた。リュックの中からモバイル充電器を取り出し。バッテリーの充電を始めた。     

 ヒロは。サラの所へ行ってお姫様抱っこをしてシートの上に座らせた」

「ヒロ。バッテリー充電してくれているの?ありがとうこれで歩ける」

「いいえ。どういたしまして。それより体痛くないですか?」

「大丈夫です。それよりサブマリンサンドイッチ作ったから。食べませんか」

「サラさん作ったの?」

「私が初めて作った料理」

サラはヒロに自分で作ったサブマリンサンドイッチを食べてもらった

「サラ。これ一人で作ったの?」

「うん。頑張ったでしょう」

「頑張ったどころかすごくおいしいよ。料理がじょうずなお嫁さんになりそうですね。すごく楽しみ」

「そんなに褒めてもらっても。何も出ませんよ」

「いいですよ。何もいりません」

「ヒロさんったら」

 二人でサブマリンサンドイッチを食べて。少しゆっくりしてから再び波打ち際まで行った。ゆっくりしている時。ヒロは、夜に予約しておいたレストさんに日時の変更とバースデイケーキケーキの追加をした。横で会話を聞いていたサラは。ニコリとして嬉しそうだった。

 二人が波打ち際を歩いていると。女の子が足の裏に怪我をしたのかうずくまっていたのでサラが声を掛けた。

「お嬢さん大丈夫?」

「………………」

「怖がらなくてもいいから。足の裏見せて」

「うん」

女の子はサラに足の裏を見せた。貝殻でも踏んだのか足の裏から出血していた。サラは。ショルダーバックから絆創膏とウエットティッシュを取り出し。テッシュで拭いてから。

絆創膏を貼った。歩くのが辛そうだったので、親御さんのいる場所へ運んであげることにした。ヒロが女の子をお姫様抱っこして、歩いて行った。歩いている途中でお母さんが気付き、二人に駆け寄ってきた。

「しおりどうかした?」

「足の裏。けがしちゃって歩けなかったのだけど絆創膏貼ってもらってここまで運んでもらったの」

「そうなの。お二人ともうちの子がお世話になりすいません」

「いいえ。どういたしまして」

「どこにおろしたらよろしいですか?」

「すいません。こちらにおろしていただければ助かります」

「わかりました」

サラは。女の子の母親に返事をして。ヒロは。シートまで女の子を運んでおろしてあげた。女の子は二人にお礼を言って、両手を振ってくれた。ヒロとサラは駐車所に向かいすぐ。メディカルスーツのバッテリーを。充電した。

「ヒロさん。ほんとごめんなさい」

「全然気にしなくていいよ。充電器はいつも持ち歩いているから」

 ヒロは。次の目的地向かい車を走らせた。しばらく走ると右側の視界が開けた。

「すごくきれいな海。この場所は。有名ですか?」

「うん有名ですよ。サンイーストドライブウェイと言って。コペルニクス王国の東南東に位置し、最も海岸線がきれいと言われている場所で手前の島がペッティーナ島。奥の島がトゥーナ島だよ」

「ヒロ。私。生まれて初めてこんなきれいな海。初めて見るような気がする。二十年間生きてきて。この場所初めて知った。やっぱり私って世間知らずのお嬢様なのかな?」

「連れてきてくれる人が居なければ知らないと思うし。皇族の人たちは一般の人と接触しようとしないので。一般の人が集まる場所には。近寄りませんから」

「そうだね」

「でも。サラさんのお母さんのクレマさんはすごいと思う」

「お母様がすごい?どういうことですか」

「では質問です。サラの大学に皇族の人は何人いますか?」

「マリア・サツキ・ミーナの三人は聖スィートアッサム女子大学で私は聖スィートアッサム大学なので。私しかいないです」

「そうですよね。だからすごい。多分。周りからはいろいろ言われているのではないかなと。僕は感じていますけど」

「そうかもしれませんね」

「サラさん。そろそろ。目的地に着きます」

「はい。

 サラは。左手でメディカルスーツのバッテリーを充電器から外し。メディカルスーツにはめ込んだ」

 メディカルスーツが起動して。サラが下りる用意をした。

二人は。サンイーストドライブウェイの展望台の駐車場に車を止めた。サラは下から吹き上げる潮風にワンピースの裾を抑えながら。一八〇度見渡す限りの海に。五感を揺さぶられ吸い込まれそうな気持になった。

「何と言ったらいいのかな。ここに居ていると自分の気持ちが洗い流される感じ」

「サラさん。写真撮ろうか?」

「うん」

ヒロが。リュックから三脚を取り出そうとしたら。カップルの女性が写真撮りましょうかと言ってくれたので。撮ってもらうことにした。

ヒロはスマートフォンを渡し。横並びの写真と。ヒロがサラを後ろから抱くような感じの写真二枚とってもらった。それを見ていた男の人が僕たちも撮って貰っていいですかと言って、彼女の後ろに回り抱きかかえるようにした。

彼女が恥ずかしがって下を向いたので。サラが(正面向いてくださいね)と言って正面を向かせた。二組が写真を取り合い、お礼を言って別れた。ヒロはサラを連れて展望レストラン。サンイーストオーシャンビューに入っていった。

「十二時三十分に予約した。ヒロ・アガパンサスです」

「ヒロ・アガパンサス様。ご予約ありがとうございます。お席へご案内致します」

「ヒロさん。ここ予約していたの?だから朝。十時だと言ったら慌てていたのね」

「そうです。ほんと朝の一言。寿命が縮むぐらいびっくりしましたから」

「ごめんなさい」

「いいえ。でもサラさんは反省していないでしょう」

「えっ。少しはやりすぎたかなと反省しています」

「そうですか?」

「お客様。こちらのお席へどうぞ」

「ありがとう」

「お冷とおしぼりをお持ちしますので少々お待ちくださいませ」

 サラは。席に座ると。窓一面に広がる海を見ていた。

「ほんときれいな海。今日。晴天で本当に良かった」

「サラさんに。そんなに喜んでもらえると思っていなかったのでほんとにうれしいです」

店員が。テーブルに来たので。サラは麦わら帽子を脱いだ。店員は。一瞬サラの頭の包帯を見て驚いた顔をしたが。料理等の説明を始めた

「お冷とおしぼりです。では。本日ご予約頂きましたハーフランチコースの説明をさせて頂きます。

〈前菜〉

サーモンのカルパッチョ

マグロのテリーヌ

エスカルゴのマスタードソースかけ

〈スープ〉

      魚貝と野菜のコンソメスープ

〈メイン料理〉

      国産牛のオマール海老トマトソースかけ

〈デザート〉

      シャインマスカットのタルト

になっております。パンは。焼き立てを配っておりますのでお声掛けお願いします。

なお。サラダ・ドリンクはそれぞれサラダバー、ドリンクバーからご自由にお取りくださいませ。もし何かわからないことがあれば、係員までお尋ねください・

「わかりました。お願いします」

「失礼します」

「料理も楽しみだけど、何度も言いますけど。ここからの眺め、ほんときれいし素晴らしい。ヒロさん。ありがとうございます」

「よかった。サラさんが。気に入ってくれるか心配でしたが。喜んでもらえてほっとしています」

「うん。すごく気に入りました」

二人は飲み物とサラダを取りに行き。席に戻った。

「ヒロさん。先程撮った写真送ってほしいです?」

「わかりました。送信します」

ヒロは。サラに先ほど撮った写真を送信した。サラは送ってもらった写真を見て驚いた。「私がこんな笑顔になっているの。初めて見た」

「サラさんの寝顔もっと素敵ですよ」

 サラは寝顔の事を言われ。恥ずかしくなって下を向いたがヒロに一言言った。

「ヒロさん。その言葉セクハラですよ」

 ヒロは。慌てて謝罪した。

「ごめんなさい。今後。寝顔の話はしません」

「約束しましたよ」

「はい」

店員が前菜を運んできたので。サラは慌てて左手で顔を仰いだ。店員さんが不思議そうに声をかけてきた。

「お客様。お暑いですか?」

「いいえ。大丈夫です」

店員が前菜の説明を終えたタイミングで焼き立てパンを配っていたので。ヒロは塩パン一個とロールパン二個。サラは塩パンとロールパン一個をもらった。

ヒロとサラは料理を食べながら話をした。

「ヒロさん。これからの事だけど」

「これからの事ですか」

「うん。ヒロさんと事。どうしたらいいのかわからなくて」

「そうですね。お互い好意を持っているけど………」

 二人は。その後。話題を変えて話をした。

「ヒロさん。料理おいしかったです。景色もいいし。素敵な時間を作って頂きアロが等ございました」

「喜んでいただき光栄です」

「ヒロさん。なんか変です。皇族みたいです」

「一度言ってみたかったので。でも。私の前ではやめてほしいですね」

「わかりました。普通に話しますので」

二人は食事を終えて。レストランを出ようとした。

「ヒロさん。売店によってもよろしいですか?」

「いいですよ」

 サラは売店の中へ入って行き。ヒロも後を追うように入っていった。

「ヒロさん。記念にこのキーホルダー。どうかな?」

「かわいくていいと思うけど」

「では。このキーホルダーにしようかな。ヒロさん。これからもう一か所行くのですよね」

「はい。行きます」

「売店もあります?」

「はい。ありますよ。ここより大きいですね」

「わかりました。このキーホルダーだけ購入してきます」

 サラが。キーホルダーを購入したので、車に戻り。次の目的地に向かった。展望台から車で十五分走り。次の目的地のシャインセシルシティ水族園に着いた。

 水族園に着いた時。サラは久しぶりだな。小学生の時来て以来かなと言った。

「サラさん。ここの水族館。来館した事あるのですね」

「小学生の時。お母さまと妹とあと警備の人」

「警備の人か?お妃様と娘二人だから。仕方ないね」

二人は。ゆっくり水族園を見て回り癒しのひと時を楽しんだ。イルカショーでは。サラがこわごわとイルカを触るのを見て。ヒロが思わず写真を撮り。サラに怒られた。ふれあい広場では。サラがザリガニをヒロの顔に近づけすぎて鼻を挟まれ。ヒロに怒られたりした。

帰る前に二人は売店により。サラは。いくつか商品を購入した。その後。水族園のドリンクショップで飲み物を購入し帰路に就いた。

「サラさん。楽しかった?」

「………………」

ヒロがサラに話しかけようとしたが。サラは。疲れて寝てしまっていたので。そっとしておいた。ただ信号に止まった時。内緒で。サラの寝顔の写真をスマートフォンで撮った。ヒロは家に着いたので。助手席のドアを開け。左手を抑えながら起こした。サラが起きた時。左手を抑えるのをやめたが。サラはよく寝たと言って。大きく背伸びをした瞬間。ヒロの顔面に直撃して。ヒロがうずくまってしまった。玄関先に出てきていた、ティモルはその光景を見て大笑いした。サラは慌てて車を降りヒロに謝った。

「ヒロさん。ごめんなさい。またやってしまった」

「いいよ。油断していた僕が悪いから」

「サラちゃん。大丈夫だよ。ヒロはそのぐらいではへこたれないから」

「あっ。はい。ヒロさん。ほんとにごめんなさい」

「僕は大丈夫だから。カレーを作りに母さんの所へ行っていいよ。荷物は部屋に持って上がるから」

「わかりました。荷物お願いします。」

ヒロは荷物を二階に持って行き。サラはティモルと一緒にキッチンに行った。

「サラちゃん。ヒロに指輪とネックレスかってもらったの〜?」

「あっ。はい」

 サラは恥ずかしそうに答えた。

「いいね。サラちゃんはアクセサリー買ってもらえてうらやましいよ。うちの旦那。交際していたころは一度も買ってくれなかったから」

「そうだったのですか」

サラは。ティモルと一緒にカレーライスを今日のデートの話をしながら作り始めた。アガパンサス家のカレーの食材は牛肉。ジャガイモ。人参。玉葱。リンゴ。生クリーム。八水戸。バター。ブイヨン。カレールー二種類を使用する。フライパンに一口大に切った牛肉、ジャガイモ、人参、玉ねぎを入れ炒める。別鍋に水とブイヨンを入れ温め、痛めた牛肉野菜を入れ、煮込むみ食材に火が通ったらリンゴをすりおろして入れ、よく混ぜたらルーを混ぜ食材にルーがなじんできたら火を止め仕上げの生クリーム、バターを入れ。混ぜたら出来上がり。

今日は。あとサラダとコンソメスープを作った。作り終わった後。全員が一階に降りてきたのでプレゼントを取りに二階に上り。プレゼントをもって一階に降りてきた。サラは。ティモルにラッコのイラストの入った日記帳を、マリーにはイルカのイラストの入った文具セットを渡した。晩ごはんを食べ終わってかたづけ始めた時。アキレアが帰宅したのでクジラのイラストの入ったシステム帳を渡した。ヒロはマリーに二か月遅れの誕生日プレゼントを渡すと。サラと一緒に二階に上がった。

部屋のドアをノックする音がして。マリーが泣きそうな顔をして入ってきて。ヒロのそばに来て、私のではなくこれサラさんのではと言ってきたが。サラがそれは私のではなくマリーちゃんので。サラが。私のここにあるよとラピスラズリのネックレスを見せてあげた。サラが見せてくれたネックレスを見て納得したのか。マリーは。ヒロにお礼を言ったが、そのネックレスサラが選んでくれたから。サラにお礼を言ってと伝えた。マリーは、サラにお礼を言って。一度自分の部屋に戻りネックレスを付けてサラに見せに来た。

「マリーちゃんとってもかわいくて似合っている」

「サラさん。ありがとう」

マリーは一階に降りて両親にも見せに行った。

「ヒロさん。よかったですね。マリーちゃんあんなに喜んでくれて」

「これもサラが居てくれたおかげ。ありがとうございます」

 二人でたわいもない話をしているとティモルが部屋に来て。今日のお風呂の順番をどうするか聞いてきた。サラがあと一時間したらロボットさんが来るので一番に入ると伝えた。  

サラはティモルと一緒に一階に降りて行った。サラがお風呂に入っている間。ヒロは。明日からアルバイトの十九日までのだいたいのシフトを決め。トラデスさんにメールで送った。サラが部屋に戻ってきて。ヒロの机を借り日記を書き始めたので。一階に降り、ホワイトボードに予定を書きに行った。サラが日記を書いている途中で、A二〇一が来て処置をしてくれ、サノバラ総合病院絵の移行手続きが完了したことを報告した。サラは日記の続きを書き始めた。ちょうど書き終わる頃に。ヒロが一階から上がってきてサラに話しかけた。

「サラさん。九月十五日の日曜日。もしよろしければ。朝から予定を開けて頂くこと可能でしょうか?」

「!はい。今のところ予定はないですけど。どこか連れて行ってくださるのですか?」

「トゥーナ島の海中公園に行こうかなと思っているのですけど?」

「トゥーナ島の海中公園ですか?」

「そうです。シャルム港からフェリーで行きます」

「うれしいですけど。考えておきます」

「よろしくお願いします」

 サラが日記を書き終えてベッドに向かう途中。バランスを崩し倒れそうになった。ヒロは受け止めようとしたが。ヒロも体制が悪く。そのまま床に敷いてあったヒロの布団に倒れた。二人は。顏が数センチのところまで近づいた。

「サラさん。大丈夫?」

「はい。大丈夫です」

「……………」

「!」

 ヒロは。サラにキスをして。耳。首筋と愛撫をした。サラは。少し驚いたがヒロに体を預けた。ヒロは全身を触りながら。サラのネグリジェを脱がそうとした。

ヒロは。はっと思い。サラから離れた。

「サラさん。ごめんなさい」

サラは。無言で。ヒロを引き寄せキスをしてヒロに体を預けた。二人は。初めて重なり合いお互いのぬくもりを感じた。

行為が終わった後。ヒロがすごく慌てた。

「ヒロさん。どうしたのですか?」

「本当にすいません。避妊するの。忘れていました」

「そうですか?」

「!」

ヒロは。サラの一言に驚いた。

「サラさん。怒らないのですか?」

「なぜですか?私は。避妊していないことも。わかっていましたし。それも受け入れていしたので」

 ヒロは。サラに対して何も言えなくなってしまった。

「ヒロさん。腕枕してください」

「!はい」

 サラは。腕枕をしてもらい喜んだ。

「腕枕ってこんな感じなのですね」

ヒロは。アリリアの時のことを思い出してしまった。

「ヒロさん。今。違う事。考えていませんでした?」

「いい………。はい。すいません」

「正直でよろしいです。ヒロさん。もしかして今後。お付き合いすることになって。過去を隠して後で嫌な思いするのが嫌なので。お話しておきたいことがあります」

「男性関係ですか?僕は聞きたくはありませんし。過去は過去だと思っていますので」

「確かにそういう考えが。一般的だと思いますが。知っといて頂きたいのはそれをネタにして何か言って来る方がおられますので?」

「もしかして。キングスさんの事ですか?」

「はい」

「キングスさんと関係があったのですか?」

「関係があったというよりも。私の元婚約者です」

「!」

「驚かれるのも無理ないと思います。でも紛れもない事実ですので。彼とは大学に入学した時。お父様同士で婚約を決めてお付き合いするようになりました。私は。お付き合いしていた人と別れて傷心状態でしたので。お父様の決めたことに逆らわず受け入れました。

二か月後。でもそれが間違いだったことに気が付いたのです。一週間に一度お会いしていたのですが。一か月過ぎた頃から。体を求められ要求にこたえていたのですが。二ヶ月目に入った時。一度拒否すると彼の態度が豹変し。無理やり体を求められるようになり。別れようと決めた時は。睡眠薬を使用されたのです。私は。そのことをお父様に話し。婚約を破棄してもらった。お父様はキングスの事をかばい。若気の至りとか言われたので。私はお父様を嫌うようになった。その後。皇族の人。二人程とお付き合いしたのですが。二人とも体を求めるだけでした。でも二人とも三か月と持たなかった」

話終えるとサラは泣き出した。

「サラさん。つらいこと話してくれてありがとう」

「いいえ。どうしても知って頂きたかったので」

 ヒロは。右手でサラの髪をなでながら話した。

「サラさん。僕でよかったら。結婚を前提としてお付き合いして頂けませんか?」

「!ヒロさん。私と?」

「はい。」

「ヒロさんには。私よりもっとふさわしい人が出てくるのでは」

「そういう人が現れるかもしれませんが。僕は。サラさんと一緒にこの国を盛り上げていこうかなと思ったので。すぐに返事はいりませんし。僕自身。自分のやりたいことがありますので。僕が。王になり。国を治める気はありませんので。それも考慮した上で。じっくり考えて頂いたらと思います。

「わかりました。前向きに考えます」

「そろそろ寝ましょうか?」

「はい。ヒロさん。今日の事は。二人だけの秘密でお願いします」

「はい。わかりました」

 ヒロは。サラのメディカルスーツ外してあげ。ベッドに寝かせようとした。

「ヒロさん。一緒の布団で寝てもいいですか?」

「!いいですよ」

 サラは。嬉しそうにヒロの腕を枕にして眠りについた。

 しばらくして。ヒロも床に就いた。


==

二〇五五年八月十三日午前五時

 ヒロとサラはいつものように起きてヒロはアルバイトに出かけ。サラは。ティモルと朝食作りを手伝った。

「ティモルさん。今日のお魚は何という名前ですか?」

「サラさん。見たことない?」

「はい。初めて見ます」

「サンマという魚です。一般大衆の魚だから皇族の人は食べないかな?」

「日本では。秋の魚で塩焼きにしたら美味しいらしいけど。私は。オリーブオイルでソテーして。味付けは塩・コショウ・レモン汁を少々」

「おいしそうですね」

「サラさんのお口に合うかしら?」

「多分。大丈夫だと思います」

 料理が出来上がった後。二人で朝食を頂いた。

「サラさん。今日の予定は」

「今日の予定ですか?ボディスーツの説明の仕上げですかね」

「!そのボディスーツの提出日はいつになっているの?」

「八月二十日ですが。担当の教授に十五日までに提出することになっています」

「あと三日。大変だね」

「はい。でも今回は何故か楽しくてすごく充実しています」

「充実している?」

「はい。今回で三回目ですが。今までで。一番充実しています」

「そう。頑張ってね」

「はい」

 ティモルは八時すぎに仕事に出かけた。その後。A二〇一が来て処置をした。

「サラサマ。アタマノケガノキズグチガフサガッテイマスノデ。キョウカラヌリグスリダケニイタシマスノデ」

「!傷口がふさがったのですか」

「ハイ。キョウカラホウタイヲマキマセンノデ」

「ロボットさん。ありがとうございます」

 A二〇一は処置を終え。病院に戻って行った。そしてA二〇一が帰った後。サラのスマートフォンに。サツキから着信があった。

「サラ。まだヒロさんの家でお世話になっている?」

「うん。まだいますけど。でも十五日の朝には。サノバラに行きますけど」

「そうか。もっと早く連絡したらよかったかな?」

「サツキ。どうかしたの?」

「うん。ちょっと言いにくいのだけど。実は。トランシスと会ってほしいの」

「!」

 サラは。驚いて声も出なかった。

「サラ。ごめんね。急でびっくりしたと思うけど。実は。私。今トランシスとお付き合いしているの?」

「!トランシスとお付き合いしてるの?」

 サラは驚いたように声を上げた。

「それでね。トランシスが。高校の時。いきなり音信不通にしたことを謝罪したいと言っているの。会ってあげてくれない。一人で難しかったらヒロさんと同席でいいので。お願いします」

 サラは。少し困惑していた。

「サツキ。ヒロさんと相談してからでもいいですか?」

「うん。いいですよ」

「相談して。連絡入れるね」

「はい。よろしくお願いしておきます」

 サラは。サツキとの電話を切り。ヒロに。すぐラインを入れた。そして。ヒロから一緒に行ってもいいとの返事が返ってきた。その時に家で会うのではなく。近くのカフェ・ガーデンテラスで会うことにしておいてください。と返信が来た。サラはサツキに連絡を入れた。サツキは今日の都合にいい時間を聞いてこられたので。ヒロが帰って来るのが十五時三十分だから。十六時以降出したら会えると返事した。しばらくしてサツキから連絡があり。十六時と時間が決まったので。Sarahカフェ・ガーデンテラスに十六時に来てくださいと伝え電話を切った。その後。サラは。ボディスーツの説明を仕上げ。図面と一緒にカモミール教授に送信した。

ヒロが。十五時三十分頃。帰宅して自分の部屋に入ると。サラがベッドで寝ていたので。キルトケットをかけ。椅子に座って。制作中の超電導発電機の設計図の続きを始めた。

三十分程して。サラが起きた。

「ヒロさん。帰っていらしたのですね。キルトケットかけてくださりありがとうございます。」

「うん」

「ところで今。何時ですか?」

「十六時過ぎだけど」

「!えっ。しまった」

サラは慌てて起きようとしたが。メディカルスーツがバッツテリー切れでうまく体動かなかったので。バッテリーを交換して。サツキに連絡を入れた。

「サツキ。ごめん寝てしまって今起きたとこだから。三十分だけ待ってほしいとお願いした」

「わかりました。お待ちします」

「ほんとごめんなさい」

サラは。サツキに謝罪して電話を切った。

 サツキは。トランシスと会うのが嫌だから。こないのかと思って帰ろうかなと思っていたがサラから連絡があり。ほっと胸をなでおろした。

サラは。ヒロに十六時に。サツキと会う約束をしていたことを伝えた。

ヒロは。開いているパソコンの電源を切ろうとした時。サラがヒロのパソコンを覗いたが。サラには。何かの図面としか分からなかったのでヒロに聞いてみた。

「ヒロさん。この図面は何の図面ですか?」

「これは。超電導発電機の図面です」

「?超電導発電機」

「世界でも超電導モーターカーが普及し始めていますよね」

「超電導でモーターを回して。車や電車を動かしているというものですか?」

「そうです。この図面は。家庭用に使用する為の発電機です」

「私にはとても想像できないですね。ヒロさん。やっぱりすごいですね」

「そうですか」

ヒロは。サラにすごいと言われてうれしかった。

「サラさん。カフェ・ガーデンテラスに行きましょうか?」

「はい」

 ヒロとサラは。カフェ・ガーデンテラスに向かい入店した。

「あら。ヒロさん。いらっしゃい」

「マーチンさん。お久しぶりです」

「ほんと久しぶり」

「今日改めて紹介します」

「彼女は。サラ・ティフォリアさん」

「初めまして。サラ・ティフォリアです」

「!」

マーチンさんは。少し驚いた顔を見せた。

「マーチンさん。どうかされましたか?」

 マーチンさんが。他のお客様に聞こえない声でささやいた。

「ヒロ君。サラさん。国王の娘さん?」

「はい。そうですけど。ご存じでしたか?」

「名前を聞いて。ピンときた」

「そうですか」

「お客様。お待ちかねですよ」

「はい」

 二人は。サツキとトランシスが座っている窓際の向かいの席に座った。

「初めまして。ヒロ・アガパンサスです」

「初めまして。トランシス・マクレイガです。本日は。謝罪の時間を頂けてありがとうございます。」

 トランシスは。緊張した顔つきで話をした。

「サラさん。何か。食べられます?」

 ヒロがサラに声をかけた。

「そうですね。迷いそう。ケーキもいいしパフェも捨てがたいな」

 ヒロはサラを見て。何処にでもいる普通の女の子だなと思った。

マーチンさんが。お冷とおしぼりを持ってきた。

「マーチンさん。サラさんの事。あまり驚いていませんけど?」

「それはそうでしょう。ヒロさんやあなたのお父様のアキレアさん。お母さんのティモルさん。この辺りでは。有名人ですし。お父様は。時々。かなり有名な社長さんや管理部の部長さんとか連れてこられて会議をしているので」

「父さんがここで会議を?」

「いけない。またおしゃべりしすぎた。今の話。お父様には内緒にしておいてね。見お店の売り上げに影響しかねないので」

「わかりました」

「ご注文決まりましたか。僕はいつものレモンコーラとレモンガトーショコラ」

「はい。かしこまりました。お嬢様は?」

「う〜ん。レモンモンブランケーキとミックスジュースとイチゴと栗のハーフ&ハーフパフェでお願いします」

「!サラさん。それは食べられないと思うけど」

「でも。両方期間限定で。私。ヒロさんの家にいるの。明後日の朝までなので」

「……………。わかりました。明日もここに来ますので。どちらかしてください」

「明日もつれてきてくださるのですか?」

「はい」

「でしたら。レモンモンブランケーキとミックスジュースでお願いします」

「かしこまりました」

 マーチンさんは。注文を復唱してパントリーの中に入っていった。

「ヒロさん。また。私のわがまま聞いてくれてありがとう」

「いいですよ」

 サツキとトランシスは。二人の会話を聞いていて。すごく驚いた顔をして呆気に取られ二人で顔を見合わせた。

「サラ。ヒロさんと知り合ってどのくらい?」

サツキが。質問をしてきた。

「十日ぐらいかな?」

「!えっ。十日ですか?」

トランシスが驚き声を上げた。

「どうかされましたか?」

「いやその。あまりにも会話が自然で何か。何年もお付き合いしているような感じで」

「そうでしょうか?」

「サラ。私もそんな感じがしたけど。私はでも。病院で会っているので。何年もお付き合いされているのではないのは知っていますが。病院で会った時より。親密なっているとは思っていますけど」

「私たち事。他の人からは。そういう風に見えているのですね」

「はい。そう見えています」

「トランシスさん。本題に入りましょうか?」

 サラが。本題に戻した。そこにマーチンさんがヒロとサラの注文したドリンクとケーキを置いて再びパントリーの中に入っていった。

「皆さん。頂いてもいいですかね?」

サラがみんなに向け声を出した。

「いいですよ。どうぞ」

サラは。少し小腹がすいていたので。レモンモンブランケーキを食べ始めた。

「おいしい。スポンジもおいしいけれど。このレモン味の生クリーム絶妙な甘さ・酸っぱさが何とも言えないですね」

「ここのケーキの食材。フラワーパークの果樹園から仕入れているの。だから新鮮でおいしいの」

「そうなのですね。ヒロさんいいですか?」

 サラは。ヒロを見た。ヒロは。自分のガトーショコラをサラの前に動かした。サラは。フォークで少しカットして頂いた。

「とってもおいしい。レモン味のスポンジにガトーショコラがコーティングされているのに。お互いが主張していない感じがいいですね」

「サラさん。食の専門家みたい」

「そうですか?」

サツキとトランシスは。二人の会話についていけなかった。

サツキは。ふと。我に返り。トランシスに謝罪を促した。

「サラさん。いきなり何も言わず。音信不通にしてすいませんでした」

「トランシスさん。もしかして。その事での謝罪ですか?」

「はい」

「そうですか?その件に関しては。私としては。過去の事ですし。今。もしそのことを引きずっているのであれば。サツキに失礼だと思いますが」

「あっ。はいすいません」

「サラ。怒らないで聞いてあげてほしい。お願い。彼は彼なりに。自分のしたことに悩んでいたのは事実だから」

「そうですね?」

サラは。少し考えて。質問した。

「ところで。私の身分の事を誰から聞きました」

「シモンズという男の子から。サラは。王女だから。つり合いが取れないぞと言われ。僕はサラさんが王女という時点で。頭が真っ白になって。シモンズの言う通りに。メールや電話をブロックして。家の電話も着信拒否にして。サラさんとの連絡を絶ちました。

「トランシスさん。お話してくれてありがとうございます。高校の時の事は。気になさらないでください」

「サラさん。許していただけるのですか?」

「許すも何も。別れた原因が。私たち以外の事ですので」

「ありがとうございます」

「サラ。ありがとう。これで私も一安心」

「サツキが喜んでくれれば。私は嬉しいです」

「うふ。サラ。ヒロさんと出会ってほんと変わりましたね」

「サツキまで」

「他の人にも言われたの?」

「そうなの。マリア。お母様。マーガレット。ヒロさんと知り合ってから。会う人全員に言われている。そんなに。私変わった?」

「変わりましたよ」

「そうですか?どこが変わった?」

「一番変わったと思うのが。話し方。上からでなくなったのと。投げやりの話方でなくなった。ちゃんと相手の事を考えて話している」

「サツキありがとう。トランシスと仲良くね」

「うん。ありがとう」

「サツキ。俺そろそろ店に戻らないと」

「そうだね。サラ。今日は帰らせてもらいます。今度は学校でね」

「うん。また今度。」

 トランシスが。お会計をしようとしたら。サラが。遅れてきたので私たちが支払いますと言って。トランシスの支払いを拒んだ。トランシスは折れようとしなかったが。サツキが。サラに任せましょうと言ったので。トランシスは引き下がった。

サラとヒロはサツキとトランシスと別れた。

少ししてから。窓をたたく音がして。振り向くとマリーがこちらを見ていたので。中に入るように。手招きした。


==

トランシスとサツキは帰りの車の中でサラの事を話していた。

「サツキ。サラさんってだいぶ変わったような気がするけど」

「そうですね。別人と言っていいぐらい変わりましたけど。二週間でこれだけ性格が変わるものなのかな?」

「僕もそう思うけど。正直言って。話すると付き合っていた頃のサラとは違う人ではないのではと思った」

「そうね」

二人は。今までと違うサラを見て。まだ信じられない気持ちでいた。


==

カフェ・ガーデンテラス

「サラさん。お邪魔してよかったのですか?」

「別に大丈夫ですよ」

「マリー。何か注文したら?」

「お兄ちゃんのおごり?」

「そうだな。いいよ」

「やった」

マリーは。マーチンさんを呼んで。マスカットパフェを注文した。三人で会話をしていると。マーチンさんがパフェを持ってきた。するとサラが驚いた。

「普通のパフェこんなに大きいのですか?」

「そうですよ」

マリーは。頂きますと言ってパフェを食べ始めた。

「ここのパフェが。よその店の大きさなら。僕も止めなかったのですが?」

「ヒロさんが止めた理由がわかりました。明日は。少しおなかすかせておかないといけませんね」

「そうですね」

「!明日もお兄ちゃんとサラさん。ここに来るのですか?」

「はい。イチゴと栗のハーフ&ハーフパフェ」

「!えっ。イチゴと栗のハーフ&ハーフパフェを食べるのですか?」

「!そんなに驚くほどの商品ですか?」

「うん。私。一度だけ注文したのですが。一人で食べきれなかったので。それ以来注文しないことにしています」

「………………」

「サラさん。どうかしました」

「いいえ。なんでもないです」

サラはパフェを注文して食べきれるか心配になってきた。三人は雑談をし。サラとマリーはそれぞれの商品を食べ終えると。ヒロにお礼を言った。

「ヒロさん。ごちそうさまでした」

「お兄ちゃん。ごちそうさまでした。あと今日は。お二人のお邪魔をしてすいません」

「マリーちゃん。気にしなくていいですよ。今日は話し相手になってくれてありがとう」

「いいえ。こちらこそいろいろ話して楽しかったです」

「そろそろ家に帰りますか?」

「はい」

 三人は。ゆっくり坂道を上り。家に着くと。ちょうどティモルが帰宅してきた。

「ヒロ。三人でどこか行ってきたのかい」

「うん。カフェ・ガーデンテラス」

「そう。だったら晩御飯ゆっくりでいいね」

「はい」

三人で返事をした。ヒロとサラは部屋に戻り。ヒロは。リニア式発電機の図面の続きをはじめ。サラは。自分の荷物の整理を始めた。しばらくして。ティモルがサラを呼んだのでサラは一階に降りて行った。

「サラさん。今日の夕食はミートドリア・野菜サラダ・コーンポタージュです」

「はい」

「サラさん。今日はミートドリア一人で作ってみますか?」

「!一人で。ですか」

「横で指示は送りますので」

「わかりました。頑張って作ってみます」

 サラは。ティモルの指示を仰ぎながら。ミートドリアを一人で五人分作り上げた」

「できた」

「おいしそうにできたね」

「はい」

「サラさん。みんな呼んできて」

「はい」

 サラはヒロ。マリーを呼びに行った。みんなに夕食を配っている時アキレアも帰宅した。

「みんなで夕食いただきましょうか」

「はい」

ティモルが。声をかけみんなで夕食を頂いた。

「ヒロ。マリー。ドリアの味どうですか?」

「いつもと同じでおいしいですよ」

「サラさん。よかったね」

「はい」

「!もしかして。このドリア。サラさん作ったの?」

「はい」

「てっきり母さんが作ったと思っていた」

「私も。お母さんが作ったと思った」

「よかったです。すごくドキドキしていました」

「サラさん。お世辞抜きでおいしいよ」

「アキレアさん。ありがとうございます」

 サラは。みんなに料理をほめてもらいすごくうれしかった。全員が食事を終わった後。ティモルにお礼を言った。

「ティモルさん。一人で料理作らせてもらってありがとうございます。お世話になり十一日。いろいろ教えて頂きありがとうございます。あと一日ですが。よろしくお願いします。

 サラは。ティモルにお礼を言うと。二階に戻り荷物の整理の続きを始めた。サラは。四番目に一人でお風呂に入り。その後。二階に上がり。ヒロにお風呂が開いた事を伝えると。

ヒロは一階に降りてお風呂に入った。そして二階に戻りベッドを見るとサラがいなかったので。まさかと思い自分の布団を見ると。サラがメヂカルスーツを外した状態で寝ていた。

 ヒロは。ノートパソコンの電源を切り。布団に入ると。サラが腕枕をしてほしいと言ってきたので。腕枕をして床に就いた。


==

二〇五五年八月十四日午前五時

 ヒロとサラは。起きてヒロはいつものようにアルバイトに出かけた。サラは今日が最後かなと思うと少し寂しくなった。その後。ティモルと朝食作りをした。

「サラさん。なんか元気ないね」

「はい。今日で最後かなと思うと寂しくなってしまって」

「!サラさんアガパンサス家に来たりするの。今日で最後なのかい?」

「!はい。明日。サノバラに行くので」

「その後は?」

「その後ですか?」

「学校が始まったら。シャルムに帰って来るのでしょう」

「はい」

「だったら。来ることも可能ですよね」

「はい。でも私自身。ヒロさんとお付き合いするかどうか決めてないので」

「サラさんは。ヒロとお付き合いしないと。アガパンサス家にはくる理由がないと思っているのですか?」

「はい。そう思っていますけど」

「それは。おかしくない?」

「えっ。どういうことですか?」

「私は。サラさんをヒロの彼女になってもらう為に。料理を教えたわけではないですよ。サラさんが料理を覚えたいと言ってきたので。教えているまで。サラさんが覚えたいというのであれば。いつでもきていいのよ」

「ティモルさん」

 ティモルの言葉にサラは泣き出した。

「サラさん。泣かない。私がいじめているみたいじゃないの」

「すいません。うれしすぎて涙が出てしまいました」

「ティモルさん。サノバラから。帰ってきてからもよろしくお願いします」

「はい。よろしくお願いします」

 ティモルは。午前八時過ぎに仕事に出かけた。サラは荷物の整理の続きを始めた。サラがお昼ご飯を頂いて。ゆっくりしているとカモミール教授から電話が来た。

「サラさん。今いいですか」

「はい」

「パワースーツの件だけど。サラさん一人で考案したものですか?」

「はい」

「間違いないですね」

「はい」

「ごめんなさいね。今までと全く違うので」

「いいえ。私も最初は以前と同じ形だけのデザインでしたが。ある人の本を読んで考えが変わって。それをもとにデザインを作りました」

「ある人の本?そうでしたか?」

「では。送ってきたデザインをシャルム国際ロボットデザイン機構に送ります」

「カモミール教授。よろしくお願いします」

「はい」

 サラは。デザインに関して聞かれ。どう説明するか困ったが。深く聞かれなかったのでほっとした。

 十五時三十分にヒロが帰ってきたので。カフェ・ガーデンテラスに向かった。

「マーチンさん。こんにちは」

「いらっしゃい。ほんとに今日も来てくれたのですね」

「はい。注文は。ハーフ&ハーフのパフェでお願いします」

「ヒロ君。今日はどうされますか?」

「僕は。レモンコーラとラズベリータルトでお願いします」

「かしこまりました」

 マーチンさんはパントリーの中に入っていった。

「ヒロさん。今日までの十一日間本当にありがとうございました」

「いいえ。僕もサラさんと一緒で楽しかったし。すごく充実した日々を送らせていただきました。ありがとうございます」

「ヒロさん。私に対しての考え方を聞いてもいいですか?」

「はい」

「ヒロさんと私が結婚するとしますよね。その後。どういう生活をしようと考えているのか。教えてもらえませんか?」

「先日。サラさんのお屋敷に行って時。国王様にも。同じ質問を受けました。その時の返答は。サラさんと結婚したら。夫婦別姓にして。お互いの仕事は尊重すると答えました」

「ヒロさん。それってかなり難しいと思うというより。無理かと思いますが」

「そうですね。自分では。無理だとわかっているのですが。僕は。自分の会社を設立したいという気持ちが強いですし。サラさんは。国王様の仕事を引き継ぎたいという気持ちがあります。それを考えた時。夫婦別姓にするのがいいと思っています。その代わり。結婚生活は多分・週末婚になってしまうと思いますが」

「ヒロさん。そこまで考えておられたのですね」

「はい。でもかなり難しいことだと思っています」

「あっそうだ。伝えるの。忘れていた」

「何でしょうか」

「この後。展望台に上登りませんか?」

「展望台ですか?」

「はい。気乗りしませんか?」

「いいえ。そうでなく夕食の準備のお手伝いをと思っているので」

「そのことなら大丈夫です」

「!」。

「ホワイトボードに。二人で展望台に行きますので。帰宅は十八時三十分になりますと書いておきましたので」

「わかりました。展望台に登ります」

「お待たせしました。ご注文のハーフ&ハーフパフェとレモンコーラ・ラズベリータルトです」

「!」

サラはパフェの大きさにびっくりしたが。頑張って完食できるようにチャレンジしようと思った。しばらくして。マリーが窓をたたいて。挨拶して家に帰っていった。

「ヒロさん。マリーちゃんに電話してもらえませんか?」

「はい。わかりました」

 ヒロは。マリーに電話して。サラと代わった。

「マリー」

「お兄ちゃんどうかした」

「サラさんが電話してほしいと言ったので。サラさんと代わるね」

「マリーちゃん急にごめんね。もしよかったら。一緒にハーフ&ハーフパフェ食べませんか?やっぱり一人では無理なので」

「私がお邪魔してもいいのですか?」

「いいですよ」

「わかりました。すぐ行きます」

 サラは電話を切って。ヒロにスマートフォンを返し。謝った。

「ヒロさん。ごめんなさい」

「気にしなくてもいいですよ」

 五分ほどでマリーが来て。サラの横に座った。

「マリーちゃんごめんね」

「ううん。別にいいのですけど。私がお邪魔してよかったのですか?」

「多分。大丈夫です」

「そうですか?」

 マリーはサラと一緒にハーフ&ハーフパフェを食べ終えると。家に帰っていった。

「ヒロさん。ごめんなさいね」

「サラさん。そんなに気にしなくてもいいですよ。それより展望台に登りますか?」

「はい」

 二人は店を出て。フラワーガーデンの展望台に向かった。

「サラさん。坂道。大丈夫ですか?」

「はい。普通に歩けています」

「サラさん」

「何でしょうか?」

「サラさん。あなたと出会えて。僕自身。女性に対してだけでなく。人に対しても考え方が変わりました。ありがとうございます」

「ヒロさん。それは違うと思います。今までヒロさんは。自分の事だけで精一杯で。周りが見ていなかっただけだと思います」

「周りを見ていなかった」

「はい。でも今は。周りを見てくれているおかげで。私は安心して過ごせていますし。すごく感謝しています。」

「ありがとうございます。そう言ってもらえて。サポートしたかいがあります」

 二人は山頂に着くと。ベンチに座った。サラは。頭をヒロの左肩に乗せた。

「ヒロさん。ここにいると。何か気持ちが安らぎますね」

「確かに。壁にあたると必ずここにきていますね」

「ヒロさん」

 サラは。目を閉じヒロの方を向いた。ヒロはわかったのか優しく唇にキスをした。サラは目を開け再び。ヒロの左肩に頭を乗せた。ヒロは。サラを抱き寄せた。二人はしばらくそのままでいた。 

「サラさん。そろそろ家に戻りますか」

「はい。ティモルさんも待っていますので」

 二人は。ゆっくりと沈んでいく夕陽を見ながら展望台から降りて行った。帰り道。ガーデンアイスにより。サラはファミリーパックのアイスセットを購入した。ヒロの自宅に帰ると。ヒロは。部屋に戻り。サラはキッチンに向かった。

「ただいま戻りました」

「お帰りなさい」

「ティモルさん。これ皆さんに」

「!サラさんそんな気を使わなくていいのに」

「いいえ。本当はもっとちゃんとしたお返しがしたかったのですが。一人での行動はさすがに不安があるので。アイスでご勘弁して頂こうと」

「ありがとう」

「いいえ。こちらこそお世話になってばかりでありがとうございました」

「では。夕食を作りますか?」

「はい。よろしくお願いします」

「今日は。海鮮リゾットを作りますので」

「まずはお米をブイヨンスープの中に入れます」

「ティモルさん。お米はこれでよろしいですか?」

「サラさん。今日は。リゾットだから。左側のお米を使います」

「左側のお米ですか?」

「はい」

「右側のお米と比べたら長いですね」

「そうですね。でもサラさんの家もそのお米だと思います」

「すいません。今までお米の長さ。気にしたことなかったのでわからないです」

「普通はそうだと思います。私が。短いお米をネットで購入しているので」

「!この短いお米。ネットで購入しているのですか?」

「そうなのよね。この国では短いお米は栽培していないし。流通もしていないので」

「そうなのですか?知らなかった。でもまた一つ勉強させていただきました」

「では。次に野菜類を切って一緒に煮込みましょうか」

「はい」

一時間程して。海鮮リゾットが出来上がった。

「おいしそうな感じに出来上がったね」

「はい。皆さん呼んできます」

「お願いします」

 サラは。アキレア・ヒロ・マリーを呼びに行った。全員がリビングに集まった時。サラは。アガパンサス家の人々にお礼を言った。

「皆さん。十二日間。いろいろお世話になりありがとうございます。この御恩は一生忘れませんし。シャルムに戻ってきて。けがが治りましたら。あいさつに来ますので」

「サラさん。いつでも遊びに来てください」

「はい」

「サラさん。こちらに帰ってきたら。家庭教師してください」

「!マリー」

「マリーちゃん私でよければ。勉強のお手伝いさせていただきます」

「サラさん。今後ともよろしくお願いします」

「アキレアさん。いつもと違う。呼び方していただきありがとうございました」

「いいえ。なんかもう一人。娘が増えたようでうれしかったです」

「お父さん。エロ爺になっているよ」

「!母さん」

 全員の笑いが出た。

 全員で食事をして。個々でお風呂に入りそれぞれの部屋に戻った。

 ヒロがお風呂に入り。部屋に戻るとサラがメディカルスーツを外しベッドで横になっていた。

「ヒロさん。お世話して頂くの。今日で最後ですね」

「そうですね。少し寂しいですかね」

「よかった。寂しくないと言われたら。どうしようかなと思っていましたので」

「そんなことはないですよ。ほんとは明日。サノバラに連れて行くのをやめて。このままここに住んでもらおうかとも思っているぐらいですから」

「!ヒロさん」

「大丈夫ですよ。明日。サノバラまで送りますので」

 サラは。ほっとした。ヒロは電気を消し床に就いた。

「ヒロさん」

「サラさん。どうかしました」

「今日も一緒に。寝てもいいですか?」

「はい。僕は構いませんが」

「ヒロさんそちらに行きますので」

 サラはベッドを出て。ヒロの布団に入ろうとしたが。バランスを崩した。

「あっ」

 ヒロがサラを間一髪受け止めた。

「サラさん。大丈夫ですか?」

「ごめんなさい。メディカルスーツ外しているの。忘れていました」

 ヒロはサラを布団に寝かせた。サラは。ヒロに腕枕をしてもらい。眠りについた。しばらくして。ヒロも眠りについた。



二〇五五年八月十五日午前五時

サラはいつのように起き。サラはティモルと一緒に朝ごはんの準備をした。今日はロールパン・ハムエッグ・ベーコンサラダを一緒に作り、ティモルと一緒に朝食をとった。

「サラさん。一度聞こうと思っていたけどなぜ一生懸命料理を覚えているの?」

「以前から。料理を自分で作りたいという気持ちがあったのですが。お屋敷にいると料理人さんが料理を作ってくださるので覚えることができないし。もし皇室を出るとなると料理を作る事を覚えないといけないので、ティモルさんの料理がおいしかったので教えて頂きたと思って。毎日。お邪魔だとは思いつつ教えてもらっています」

「サラさん。皇室を出るつもりでいるの?」

「はい。そのつもりでいたのですが」

「そのつもりでいた?どういう事」

「ヒロさんといろいろな場所へ行くと。お父様の行っている国の仕事が見えてきて。私もやりたいという気持ちが日に日に強くなってきたので。皇室に残ろうかと思っています」「ヒロさん。そのサポートをする感じの事をお父様とお母様にお話ししたらしので。実際そんなことが出来るのかなと思っているのですが。両親がよくても他の皇室の方がお許しになるとは到底思えないので」

「確かに。むずかしい問題だね。でもヒロならやりそう」

「やりそう?」

「そう。やりそう。ヒロって小さい時から人の考えもつかないことを発想して、問題が難しければ難しいほど物事に対応していくタイプなの。だからサラさんの事でもそうでしょう王女様とわかっていてもしっかり一人の女性とみてくれているでしょう」

「今までの経験からしてありえないですね。みんな王女と知ったら逃げていましたから」

「普通の人でしたら。そうかもしれない」

「そういえば。マリーちゃん。私が王女だと知らないですよね」

「さあどうだろう。マリーもサラさんと一緒でポーカーフェイスの一面もあるから。実際聞いてみないとわからないね」

「そうですね。そのうちわかると思うので。今はそっとしておきます。私とヒロこれからどうなるのかな?」

「帰る時間の事考えていたのだけど。やっぱり朝からの勤務無理だな。断りのメール入れとくかな」

「ヒロさん。アルバイトの件?」

「そうなんのだ。朝。勤務する人が急にこられなくなったから勤務できないかって言ってきたけど。サノバラからどう頑張っても。十時間はかかるし。一睡もせず二十時間運転して仕事なんて経験したことないからやめとく」

「ヒロ。断るのが正解だと思うよ。急いで事故でも起こしたら大変だから」

「そうだよね。自動運転だと。法定速度の九割の速度でしか走れないし。追い越しをしないから。出勤時間に間に合わないので」

「ヒロさん。朝食。置いておきます」

「サラさん。ありがとう」

玄関のチャイムが鳴ったA二〇一が処置をしに来てくれた。サラが処置してもらっている間にヒロは朝食をとり。二階に上がり。着替えてサラの荷物を一階におろした。サラも処置が終わり、二階に上がって着替えて残りの荷物をもって一階に降りた。

二人は、荷物を車に乗せ。サノバラへ向け出発した。     

二人を乗せた車は。モンブラウニー山脈の裾野を走り。山脈の終わりが見えたのと同時くらいにサノバラの市街地が見えて来た。ヒロは、サービスエリアに入り液体水素の補填と思っていたより早く着いたので十五分程休憩をとった。午後四時四十五分

「サラさん。思ったより早く着きましたね」

「ヒロさん。ご苦労様です」

「ここから先。サラさん。運転します?」

「お断りさせて頂きます」

「どうしてですか?車が違うからですか?」

「それもありますが。横に乗っているほうが楽ですから」

「わかりました。残りも運転させて頂きます。ナビに住所入力するので教えてください」

「住所わかりません。場所もわかりません」

「えっ。じゃあどうやって。サノバラのお屋敷に行くの?」

「ナビにライラック家お屋敷で入力してみてください」

「うん。入れてみる。出るのかな」

「どうですか?出てきました?」

「!………………」

「ヒロさん。どうかしました?」

「うん。サラさんの祖母のお屋敷」

「ヒロさんでも驚くことあるのですね」

「さすがにこの大きさは驚くよ。それでどの門から入ればいい?」

「南門から入っていけば。みんながいる居住棟に着きますので。あと門を入ったところに守衛室があるから必ず停止してください。私が顔を出しますので」

「はい。わかりました」

「ヒロさん。どうかしました?」

「いいえ」

ヒロは。車を発進させて、サノバラまでの高速道路を走り市街地に入った。市街地に入って五分ぐらいで祖母のお屋敷の南門の守衛室の前で止まった。守衛室から女性の守衛さんが出てきてヒロに声を掛けようとしたらサラがヒロの横から顔を出した。

「アーリスさん。こんにちは」

「!サラ。お嬢様」

「お屋敷の中に入ってもいいですか?」

「はい。今日。男性の方と来られることは聞いておりますので」

「ありがとうございます。ヒロさん行きましょう」

「あっ。はい」

「ヒロさん。緊張している?」

「はい。自分でもよくわからないくらい緊張しています。」

ヒロは車を走らせ居住棟の前に車を止めた。居住棟のドアが開きマーガレットがでてきた。

「お嬢様。お帰りなさいませ。」

「マーガレット。ただいま」

「ヒロ様も、遠いところお嬢様をお連れして頂きありがとうございました」

「いえ。どういたしまして」

「お嬢様。ヒロ様どうかなさいました?」

「ヒロ緊張しているみたいで。おかしいでしょう」

「さようでございましたか。皆さまお待ちかねです」

ヒロとサラは車を降りお屋敷のドアを開け入っていった。広間にはサラの家族が待っていた。

「お母様。フローレンス。リリーただいま。」

「サラ。お帰り」

「お姉さま。お帰りなさい」

「サラ様。お帰りなさいませ」

 サラは。みんなが笑顔でお出迎えしてくれたのでうれしかった。

「お姉さま。新婚旅行で帰って来たみたいのなっていますよ」

「えっ。そんな感じになっています?」

「十分なっていますよ。ヒロさんお疲れでしょうから。お食事の時間までゆっくり休んでください。サラ。ヒロさんをお部屋まで連れて行ってあげてください」

「はい。わかりました。ヒロさん。部屋に行きましょうか?」

「はい」

 サラはヒロを自分の部屋に連れて行くとベッドに転がった。ヒロも呼んで添い寝した。マーガレットが荷物を部屋に運んできた時には二人とも寝てしまっていた。マーガットは二人を起こさないように静かに出ていき、二人が寝ていることをクレマに報告した。それを聞いたフローレンスとリリーは。サラの部屋のドアを開け二人がベッドで添い寝しているのを見て、〈ほんとだ〉とか、〈信じられない〉とか言いながらドアを閉めた。サラはふと目が覚め横を見たらヒロが爆睡していたので寝顔をスマートフォンで撮ったらフラッシュの光でヒロが目を覚ました。

「サラさん。今。僕の寝顔撮りませんでした」

「何のことですか?」

「では。スマートフォンの写真データーを見せて頂けますか?」

「お断りします」

「見せて頂けますか?」

「お断りします。プライベートの写真をお見せすることはできません」

「わかりました」

 ドアをノックする音がした。

「はい」

サラが返事をした。

「サラお嬢様。夕食の支度ができましたので食堂にお越しください。祖母もお待ちですので降りてきてください」

「はい。わかりました。すぐ降りていきます」

二人は一階に降りて祖母に挨拶をして夕食をとった。夕食をとった後。クレマがサラに話しかけた。

「サラ。荷物が増えているようですが」

「はい。以前ヒロさんに買っていただいた麦わら帽子二個とキュロットワンピースの他にラピスラズリの指輪とネックレスを買っていただきました。あとティモルさんから」

「ティモルから?」

「はい。ワンピース二着とワンピースの色とおそろいのシュシュを二個買っていただきました。このペアリングは私が自分で買いました」

「わかりました。ティモルには私からもお礼を言っておきます」

「お母様。お叱りにならないのですか?」

「サラ。私が何に対して怒るのですか?もしかして洋服とかを買ってもらったことに対してですか。ヒロさんがアクセサリーを買ってくれたのは。サラへの気持ちから買ったものでしょうし。ティモルに対してはあなたでは断り切れないと思っているので。私は今回の件は何も言いませんので」

「お母様。ありがとうございます」

「もらったものは大事にしてくださいね」

「はい。お母様」

「いいな。お姉さま。ヒロさん。もらえませんか?」

「!えっ」

フローレンスはサラの言葉にびっくりしたが言葉を返した。

「そうですね。前向きに考えておきます」

「サラさん。僕は品物ではないですよ」

「あっ。ヒロさん。ごめんなさい」

「サラ。あなたそんなに面白い子だったかな?」

「お母様。驚かれても無理はないと思います。サラはヒロ君と出会って。変わりましの」

「クレマ。ヒロ君は人の心を変える力を持っているのかい」

「そうですね。はっきりとは言えませんが。今言えるのは十二日前までのサラと今のサラは別人と言っていいくらい変わっています」

「そんなに変わったら話しにくいだろう?」

「いえ。逆に。私の言っている事を理解して。話してくれるので楽になりました」

「そうか。それはいいことじゃ」

「サラ。自分で変わったことを理解しているのかい?」

「叔母さま。友達からも変わったと言われたのですが。自分自身よくわからなくて」

「そうかい。わかったよ。ヒロ君となかよくしなさい」

「はい」

「ヒロ君。サラを大事にしてあげておくれ」

「はい。大事にいたします」

 挨拶を終え。全員で食事を頂いた。

「ヒロ君。今日は泊まって。明日。帰るといい」

「すいません。それは申し訳ないので。今日。帰ろうかなと思っています」

「無理して事故でも起こしたら。サラが悲しむけどそれでも帰るかい」

「…………わかりました。お言葉に甘えさせていただきます」

「そうかそうか。クレマ。ヒロ君に部屋を用意させてあげておくれ」

「お部屋はサラと一緒でよろしいかと思いますので」

「!お母様」

「クレマ。それでいいのかい?」

「いいと思います。何かあっても二人で考えるでしょうし。別々にして廊下をうろうろされるよりはよいかと思いますが」

「わかった。二人とも同じ部屋で問題ないかね」

「僕は構いません」

「私も構いません。叔母様。お母様。ありがとうございます」

「そうと決まれば。マーガレット。ヒロさんを大浴場にご案内してください」

「奥様。かしこまりました。ヒロ様。ご案内いたします」

「はい」

「サラは私と大浴場に行きましょうか?」

「はい。お母様」

 ヒロは男性用大浴場に。サラとクレマは女性用の大浴場に向かった。ヒロは大浴場で来賓のマイク・シュナイザーとその付き添いのケント・デリクソンという人と一緒になり。ハイドランジア工科大学の話をしていたので。通っている大学の電子工学科三年と言って話に入った。話している中でメディカルスーツの話があったので。右腕。右足に装着している子がいますよと教えたら。見てみたいというので。相談して一緒に来てもらえたら連れて行きますし。ダメでしたらメディカルスーツだけお持ちして見てもらうという約束をして部屋番号を聞いた。


==

一方。女子の大浴場ではサラとクレマが一緒に入って。ヒロの事やメディカルスーツの話をしていたら。シルビアス・シュナイザーという女性の声を掛けられ。装着しているメディカルスーツの事を聞かれた。サラはわかる事だけ説明してあげると主人にも見せたいというので彼と相談してみますと言って部屋番号を聞いた。

ヒロは部屋に戻ってくつろいでいるとサラが戻ってきて話しかけてきた。

「ヒロさん。大浴場でシルビアスさんという女性に声を掛けられメディカルスーツの事を聞かれました。それでご主人にも見せたいとのことだったのだけど。ヒロさんに相談してからにと言う事にしたのだけれど見せに行ってもいいですか?」

「サラ。シルビアスさん。苗字はもしかしたシュナイザーさん」

「そうだけど何故知っているのですか?もしかしてご主人と話していたとか?」

「正解です」

「それでは二人で仲良く?サラさん。キュロットワンピースに着替える?」

「!えっ。あっそうか?」

サラはキュロットワンピースに着替え。ヒロは説明をするのにノートパソコンを一緒に持って教えてもらった部屋へ向かった。部屋に着き呼び出しブザーを押すと奥から女性の声がしてシルビアスさんが顔を出した。

「サラ。来てくれてありがとう。彼はヒロでよろしかったですか」

「はい。初めましてヒロ・アガパンサスです。ご主人様に頼まれてメディカルスーツの説明をしに来ました」

「!主人が話していたのはヒロさんの事だったのね」

「主人もお待ちかねよ。中に入って」

「はい。失礼します」

「ヒロ君。よく来てくれたね。ありがとう。隣の子は彼女?」

「はい。名前はサラと言います」

「サラ?シルビアス。もしかしてさっき話していた子?」

「そうなの」

「奇遇だね」

「シルビアス。君が言っていたとおりかわいいね」

「彼氏いるのだから。手を出したらダメだよ」

「わかっているよ。ヒロ君。メディカルスーツの説明お願いしてもいいかな?」

「わかりました」

ヒロは、メディカルスーツの特殊な部分以外の説明を始めた。マイクとシルビアスはあまり精密さに驚いていた。説明を終えて。マイクが明日の十六時にハイドランジア工科大学に着くには何時にここを出ればいいですかと尋ねられたので。ヒロが。明日シャルムに戻るので良ければ送りましょうかと答えたら、少し考えてからお願いしますと言われたので、午前七時に玄関で待っていますと返事をした。ヒロとサラは部屋に戻り、サラは日記を書き、ヒロはメディカルスーツのデーターを読み取り。ハーデス教授に送った。その後サラに混合水素の予備カプセルを渡して説明した。しばらくして二人は。明日早いので寝ることにした。

「ヒロさん。今日は。長時間の運転。お疲れ様でした」

「いいえ。どういたしまして。そう言えば。シュナイダーさんにサラさんの事。彼女と言ってしまいましたがよろしかったでしょうか?」

「そうですね。言ってしまったことは仕方ないですけど。私自身。悪い気はしなかったので特には気にしていません」

「よかった」

「ヒロさん。今日も隣で寝ていいですか」

「いいですよ」

いつものようにサラは腕枕をしてもらいお休みと言って床に就いた。


==

二〇五五年八月十六日午前六時

ヒロとサラは一緒に起きて朝食をとった。朝食を終えたら部屋に戻り。ヒロは荷物をもって。玄関を出るとシュナイザー夫婦と付き添いのケントさんが待っていた。

ヒロは。玄関に車を回し全員の荷物を載せ。サラに手を振って車を発進させた。

サラはヒロの車が見えなくなるまで手を振っていた。その姿を二階の窓から見ていたハイデがクレマに話しかけた。

「あの二人。何か持っているのかな?」

「お母様。どういう事でしょうか?」

「ヒロ君が乗せて行った三人。イギリシア王国の皇太子夫婦と執事だよ」

「!お母様。本当ですか?」

「バカンス旅行の名目で視察をしにこの国に来ている。国王に話をしないように?」

「なぜ報告をしてはダメなのですか?せっかくの来賓のお客様におもてなしをしないと」

「内密で動いているのに国王にしれたら内密ではなくなるではないか?」

「はい。わかりました。イギリシア王国の皇太子さまご夫婦が来られたことは主人には内緒にしておきます」

「それより。サラは大丈夫か?」

「サラは。精神力の強い子なので大丈夫だと思います。それにいざというときはマーガレットがついていますので」

「そうか。なら安心かな」

「サラの事。心配していただいてありがとうございます」

「お礼はいらんよ。サラは私にとって大事な孫だから」

「はい」


==

サラは。マーガレットに連れられサノバラ総合病院に来た。診察をしてもらい今日から足のリハビリ始めましょうかと言われ。腕と足の処置をしてもらってから。リハビリ室に入り右足の歩行のリハビリを行った。自分が思っている以上に右足の状態がよくなっているので。すごく喜んだ。

一方ヒロは。高速道路を走行中で三人がイギリシア語で話をしている横で。わからないふりをして運転をしていた。

「ヒロ君。この車の動力は何ですか?」

「この車ですか?」

「はい」

「動力は水素エンジンです」

「水素エンジンですか?」

「コペルニクスの車の主力は水素エンジンですか?」

「いいえ。今の最新型は超電導モーターと個体電池を組み合わせた車です。まだ。価格が高いので。僕には手が出ません。あと超電導モーター車・水素エンジンと個体電池ハイブリッドモーター車・個体電池車の五種類の車がコペルニクスでは走っています」

「そうですか?イギリシアとほぼ変わらないですね?」

「そうですか」

「ヒロ君。車のこと教えてくれてありがとう」

「いいえ。お聞きしたいことがあれば。質問して頂いて構いませんので。答えられることでしたら。お答えします」

「ありがとう」

ヒロは彼らがどういう目的で来ているのか把握できた。途中、昼食をとり、十五時三十分過ぎにハイドランジア工科大学に到着した。

ヒロは事務室に行き三人が到着したことを伝えに行った。

「ローランさん。こんにちは」

「あら。ヒロ君どうしたの?」

 ローランは。少し驚いた顔をした。

「サノバラからシュナイザーご夫妻をお連れしたのですが?」

 ローランは。先程以上に驚いた顔をした。

「えっ。ヒロ君がシュナイザー皇太子夫妻をお連れした。室長。シュナイザー皇太子夫妻が来られました」

 奥から慌てて。室長が飛び出してきた。そしてヒロを見て驚いた。

「!ヒロ君なぜ君がここにいるのかね」

「サノバラからシュナイザーご夫妻をお連れしたのですが?」

「君がサノバラから運転して連れてきた。わからん。その話はあとでするとしてシュナイザーご夫妻はどこにおられます」

「今。僕の車から荷物を下ろして。こちらに向かってくる途中のはずですが」

室長のパウエルさんとローランさんが事務室から出てきて。ヒロと一緒にシュナイザーご夫妻を出迎えに行った。室長とローランさんは、シュナイザーご夫妻に挨拶をして、今日宿泊する寮の来賓用の宿泊室に案内をして設備の説明を行い。一時間後大学施設の説明をしにこることを伝えその場を離れた。室長は。ヒロに。事の経緯を聞きこの事は内密にと言われたので。了承して大学を出て自宅に向かった。途中。雑貨店によってから帰ったので自宅に着いたのは十九時を過ぎていた。

「ただいま」

「お兄ちゃんお帰り。遅かったね」

「うん。いろいろあって。疲れたからお風呂入って寝ようかな?」

「夕食はどうするの?」

「お風呂入ってからにする」

「わかった。私は自分の部屋に戻るね」

「うん。ありがとう」

ヒロがお風呂に入ろうとした時。スマートフォンが鳴った。表示を見ると大学からだった。電話に出ると。室長が明日のシュナイザー皇太子夫妻からヒロ君に大学の案内をしてほしいと言われたので電話をしてきたそうだ。室長がどうしても聞いてほしというので受けることにした。朝八時に大学に行くことになった。トラデスさんに電話をして明日のアルバイトを休ましてもらうことにした。電話をした後。お風呂に入り。夕食をとり。自分の部屋に戻った。部屋に戻るとサラに。明日の件でメールを送信した。

サラから返信がかえってきて。案内大変だけど頑張ってください。あと。今日サノバラ総合病院に行ったら。担当の先生から歩いてみましょうかと言われ。右足のメディカルスーツを外して。左手で棒をつかみながら歩いてみて。疲れたけど久しぶりに自力で歩けうれしかったです。〉と打ってあった。ヒロは。頑張ってリハビリしてください。おやすみと送信した。頑張ります。おやすみなさいとっ返信が帰って来た。ヒロは久しぶりに一人でベッドに寝た。


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二〇五五年八月十七日午前七時

 ヒロは。起きてすぐ着替え。一階に降りて朝の準備をして食パンを一枚かじりながら車に乗り。大学へ向け車を走らせた。途中コンビによってサンドイッチとコーラを購入した。大学に七時四十五分頃に着いた。車を来賓用の駐車場に止め、事務室へ向かった。

「ローランさん。おはようございます」

「ヒロ君おはよう。ごめんなさいね。夏休みなのにお客様の案内をお願いして」

「いいえ大丈夫です。僕自身も来賓のお客様の案内をすることで勉強になりますので」

「考え方が。今の学生の子たちにはない考え方だね」

「ヒロ君おはよう。来てくれてありがとう。助かったよ」

「シュナイザー皇太子夫妻をどういう形で案内すればよろしいですか?」

「私と一緒にシュナイザー皇太子夫妻と学校の案内についてきてほしい。シュナイザー皇太子夫妻からの質問をヒロ君にお願いしたのだが」

「わかりました。説明はイギリシア語で話せばよろしいですか?」

「そのほうが皇太子さまも理解されると思うので」

「わかりました」

「ヒロ君ってイギリシア語話せるのだね」

「はい。高校の時。専攻科目でしたから」

 事務室で雑談を話しているとシュナイザー皇太子夫妻と執事のケントさんが来られた。

「ヒロ君。無理言ってごめんね。今日もよろしくお願いします」

「はい。よろしくお願いします」

マイクがいきなり。イギリシア語でヒロに話しかけたのでシルビアスがびっくりした顔をしたが。ヒロが。返事をしたのでそういう事ねと言った。ヒロは。室長の後につきシュナイザー皇太子夫妻の大学案内の補足説明を行った。昼食の時。夕方。トゥーナ島行きのフェリー乗り場を教えてほしいと言われたので。家が近くなので送りますと言ったら。喜んでくれ。お願いされたので送ることにした。


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一方サラは。サノバラ病院に行き処置と足のリハビリを終えて。お屋敷に帰ってくるとクレマがヒロから荷物が届いていると言われ、忘れ物を送ってくれたのかなと思っていて放送を開けると、木枠のダブルフォトフレームの写真立てが入っていて、先日のデートの時の写真が入っていた。写真を眺めていると横から、クレマが覗き込むように見て。サラどこにデートに行ってきたのと言われ。照れながら話をした。

「先日デートで。サンイーストドライブウェイの展望台とサンシャイン水族館で撮った写真です」

「懐かしい」

「お父様と行かれたのですか?」

「あなた達が小さい頃に一度行ったきりですね」

サラは写真立てが届いたことをヒロに伝えたくてスマートフォンで電話をした。

「ヒロさん。今大丈夫」

「サラさん。どうかした?」

「写真立てが届きました。ありがとう」

「あっ。昨日メールで送った事伝えるの。忘れていました。驚いたでしょう?」

「はい。最初忘れ物を送ってきたのかなと思っていたのだけれど、写真立てだったので逆に嬉しくてほんとありがとうございます」

「喜んでもらえてよかった。ちょっと待ってね」

「はい」

シュナイザー皇太子妃のシルビアスがサラと話がしたいと伝えてほしと言われたのでそのまま伝えた。ヒロはスマートフォンをシルビアスさんに渡した。

「サラ。昨日はありがとう。主人もとても喜んでいます」

「いいえ。私は。メディカルスーツを見せに行っただけですので」

「ところで。サラ。ヒロとは交際してどのくらいですか?」

「実は。知り合って二週間でまだお付き合いしていません」

「!二週間ですか?同じ部屋にいませんでした?」

「そうですね。私にとって。ヒロさんは。友人と恋人の中間的存在ですかね」

「友人と恋人の中間?」

「はい。中間です」

「何か。彼との間にネックでもあるのですか?」

「………………」

 サラは口を濁した。

「もしかして。サラが王女だからですか?」

「!シルビアスさん。私の事。ご存じなのですか?」

「はい。サラが。昨日大浴場で話をしていた女性をお母様と呼んでいたので」

「母の事をご存じでしたか?」

「はい。コペルニクスに来る前に。事前に調べておいたので」

「そうでしたか?」

「今はつかず離れずといった状態かな?」

「はい。そういうことになります」

「わかりました。ごめんなさいね。プライベートのこと聞いて」

「いいえ。シルビアスさん。私とヒロさん何か不自然なとこありました?」

「はい。見た目は恋人同士という感じなのだけれど。二人とも常に敬語だったので。不思議に思っていたの?」

「そうでしたか?」

「でもありがとう。納得できたので。大変だと思うけど。これからから頑張ってね」

「はい。頑張ります」

「ヒロ君に代わるね」

「はい」

二人は十五分程話をして。シルビアスはヒロにスマートフォンを返した。

「サラ。時間が無くなったから夜にでも電話するね」

「はい。わかりました」

 ヒロとサラは電話を切ったら。シュナイザー皇太子が話しかけてきた。

「シルビアスから聞いたけど。サラさん。この国の王女さんなのだね」

「はい。そうです」

ヒロが。否定しようにも、サラとシルビアスの会話で話していたのをわかっていたので否定しなかった。大学の案内が終わって。ヒロは三人を乗せシャルムのフェリー乗り場へ向かった。

 途中。車の中でサラとどうやって知り合ったか教えてほしいと言われた。少し悩んだが後で話したことをサラに伝えるとして教えることにした。もともと母親同士は大学の旧友で先日のミサイル攻撃でがれきの下敷きになったサラを助けて、母親の勤めている病院に運んでから親しくなったと説明をした。シュナイザー皇太子は運命を感じるねとヒロに言った。ヒロも心の中でそうかもしれないと思った。大学を出て三十分程でシャルムの市街地に入りシュナイザー皇太子夫妻と執事はシャルムの街並みを見て驚いていた。

「この市街地。すごくきれいに整備されているね」

「そうですね。わが国の市街地とは比較にはならないですね」

「そうだな。区画整備を提案してみようかな?」

「それはいい考えだと思います」

市街地の坂を下り。シャルム港のフェリー乗り場に到着した。ヒロはシュナイザー皇太子から連絡先を教えてほしいと言われたのでスマートフォンの電話番号とメールアドレスを教えた。三人と別れたヒロは、大学の室長に連絡を入れ、フェリー乗り場まで三人を送り届けたことを伝え、家に帰宅してすぐサラに。電話をした。

「サラさん。写真立ての事。伝えてなくてごめんね」

「そのことはいいよ。ところでヒロさん。私に話したいことがあるのですか?」

「その事ですけど。周りは誰もいないですか?」

「私の部屋で話をしているから大丈夫です」

「シュナイザー皇太子夫妻の事なのですが。僕が繋がりを持ってもいいのですかね?」

「それは私も同じです。連絡先教えたけどよかったのかなと思っていて。国にかかわる事ですから」

「そうですよね。サラさんも同じ考えなのですね」

「はい。難しいです。シュナイザー皇太子夫妻。名目上。バカンス旅行でコペルニクス王国に来ているけど。実際はこの国の内情視察ですから」

「国王様には内緒になっているのだよね」

「はい。お母様に聞いたら。お父様には内緒にしとくように言われました」

「クレマ様も立ち入らないことにしているのだね」

「そうみたいです。私達も。あまりたちいらないほうがいいかもしれませんね」

「そうですね。皇太子夫妻だということを知らなかったということで話をあわせておきますか?」

「そうですね。そうしておきましょうか?」

「そういうことですので。よろしくお願いしておきます。あとサラさんと知り合った時の事をお話したので伝えておきます」

「はい。わかりました」

「サラさん。ところでいつ頃。こっちに帰ってくる予定ですか?」

「確か。九月一日だと聞いていますが」

「わかりました」

「ヒロさん。お迎えは来ていただかなくてもいいですので」

「お迎えに行くか行かないかはこれから考えます」

「ヒロさん。ほんとにいいですので。これから来年の新プロジェクトの試験勉強で大変な時期になるのに申し訳ありませんので」

「!新プロジェクトの試験の件。クレマさんからお聞きしました?」

「はい。最近お母様と大浴場に行くので。そこでいろいろ話をしたり聞いたりしています」

「えっ。ということは一線超えたこともお話ししました?」

「はい。話しました。でも驚きもしなかったし。怒られもしなかった。理由は私にはわからないけど、今度。聞いてみようとは思っているのだけど」

「そうだね。僕も知りたいよ。驚きも怒りもしなかった理由。そうだそろそろ行かないと」

「アルバイトですか?」

「うん。さっき。トラデスさんからメールがあって閉店作業だけでも来てくれないかって」

「店で何かあったの?」

「ううん。トラデスさん。調子悪いみたいで」

「私が。ヒロさんをアルバイトに出さないようにしていたからですかね?」

「それは考えすぎですよ。独身だから栄養管理が出来てないだけだよ」

「トラデスさん。独身だったのですか?」

「そうですよ。既婚者と思っていました?」

「はい。既婚者だと思っていました。奥さんどんな人だろうと思っていて。今度ヒロさんに聞こうかなと思っていましたから。よかった。聞かなくて」

「今日。トラデスさんにあったら、サラさんが奥さんどんな人ですかって聞いていましたけど、聞いてみようかな?」

「ヒロさん。私に意地悪ですか?」

「ごめんなさい。そろそろ行きますので電話切ります。早いけどおやすみ」

「仕事頑張ってね。おやすみなさい」

ヒロはサラとの電話を切り。仕事に向かった。コンビニエンスストアに行くとトラデスが。ぐったりしている感じだった。トラデスはヒロの顔を見ると。ほっとした顔をしてあとはよろしくと言って帰っていった。ヒロはトラデスに〈明日は朝から入ると〉メールを送ったら、〈よろしくお願いします〉と返事が帰ってきた。ヒロは午前零時に店を閉め。午前零時三十分に店を出て家に帰り。夕食を軽く済ませお風呂に入り午前二時に床に就いた。



==

二〇五五年八月十八日午前五時

 ヒロは着替えて。食パン一枚とコーヒーを飲んでから仕事に出かけた。昼にアルバイトの子とパートさんがいる間に三時間、休憩をとり二時間程。仮眠をとり。学校の課題をしながらサラとメールの交換をした。サラから無理しないようにねとメールが来たので。素直に心配してくれてありがとうと返信した。トラデスさんにもメールを送り様態を聞いたら風邪を引いたらしく二〜三日休むとのことだった。その後午前零時まで仕事をした、途中サラから今から寝ます。おやすみなさいのメールがあったので〈サラおやすみ〉と返信だけ送った。同じような日々が三日程続き。八月二十二日にトラデスさんが元気に出勤してきた。

「ヒロ。ごめん迷惑かけて」

「店長。風は治りましたか?」

「おかげさまで治りました。ヒロが居てくれているから助かるよ」

「そういえば朝のニュースでも伝えていたのだけど。ミサイル着弾の死者十五人負傷者五百六十人で。ミサイルを発射したとされる。ミルフォイルは。潜水艦のシステムエラーで実験用のミサイルが発射されたと説明して。保証をすることを約束したらしい」

「そうですか。時計台での死者は何人ですか」

「時計台での死者はいなかったそうだ。全員シャルム駅の広場でミサイルの直撃を受けた人らしい」

「店長。ミサイル着弾のニュース教えてくださりありがとうございます。最近家と店との行き帰りで情報を入れてなかったもので」

「ここに入りっぱなしで彼女と喧嘩してないか?」

「店長。大丈夫ですよ。サラさんとは友人関係ですので」

「そうか」

「ヒロ。今日だけど用事で出かけたいので午後六時までお願いできるかな」

「いいですよ。」

「シフト帰ってから作るから、明日のシフト。ヒロが帰るまでに考えとく」

「わかりました」

 トラデスはヒロに店を任して出かけていき十七時三十分頃、店に戻ってきた

「店長お帰りなさい」

「ただいま。これ五日間のお礼」

「店長そんな気を使ってもらわなくてもいいのに」

「これは俺からの気持ち」

「はい。ありがたく頂きます」

 ヒロは六個入りのケーキをもらった。家族で分けることにした。トラデスから休みの日を聞かれて八月の後半に三連休が欲しいのと九月十二日だけはお願いしますと伝えた。トラデスはヒロの希望休みをメモに書きホワイトボードに張った。

「ヒロ。明日。明後日は開いている」

「開いていますけど」

「明日。明後日二日かけてサノバラに行って紅茶の葉を仕入れてきてほしい」

「僕が行くのですか?」

「そうだけど。頼める」

「僕が紅茶の葉を買ってきても大丈夫ですか?」

「大丈夫。紅茶の葉は決まっているから、心配しなくてもいいし。ちゃんと二日分の日当と出張費も払うよ。それとサラさんにも会えるだろ」

「………………わかりました。お受けします」

 ヒロは。少し複雑な気持ちで。茶葉専門店の名前と住所を聞いた。

「店長。なぜ配送業者を頼まれないのですか?」

「昔。茶葉を乱雑に扱われて半分以上ダメになったことがあってそれから自分で買い出しに行くようになったのだ」

「そういう理由だったのですね。でも二日かけて行ってもいいのですか?」

「いいよ。ヒロに俺の真似をしろとは言わないから」

「いつもはどうしていたか教えてもらえますか?」

「いつもはここの仕事を終わって、そのままサノバラに向かってだいたい翌日の十一時ぐらいについて。茶葉を買ってそのまま帰ってくるパターン」

「店長。いつもそんなことしていたのですか?」

「そうだよ。自分で決めた事だから仕方ないし」

「店長。二日間どういう時間の使い方をしてもいいのですか」

「いいけど。専門店の空いている時間は十時から二十時までと茶葉を大切に運んでくれれば問題ないけど」

「わかりました。明後日の二十一時までに持ってくればいいですね」

「いいよ。よろしくお願いしとくね」

「はい。わかりました」

 ヒロは家に帰りサノバラに行く用意をした。用意をしたらサラに電話をした。

「サラさん。明日。病院何時に終わりますか?」

「ヒロさん。何故?明日の私の予定を聞くのですか?」

「明日。サノバラに行く用事ができたので」

「!サノバラに来るのですか?」

「はい。コンビニエンスストアの紅茶葉の買い付け」

「紅茶葉の買い付けですか?お店の名前は何と言います?」

「シャロウイン茶葉専門店」

「あっ。知っています」

「よかった。地図で見てもあんまりよくわからなくて。サラさん。病院から運転して連れて行ってくれます?」

「なぜ私が。案内をしないといけないのですか?」

「うん。そういわれると困ります。では助手席に乗っていただき案内してもらえますか?」

「そうですね。明日までに考えておきます」

「考えておきます?わかりました。サラさん。今日。何か。いつもと違いますけど。何かありました?」

「ヒロさんがそう思うのでしたら。そうかもしれませんね」

「もしかしてキングスが来たとか?」

「来ましたよ。散々ヒロさんの事。下僕って言うから。私の彼氏を下僕って言わないでくださいと言いました。ほんとにキングスは許せない。私の前によく顔を出せられると思うし。どういう神経しているのだろうと思います」

「明日も来ますかね?」

「私にはわかりかねます。彼の行動はよくわからないし。だいたいサノバラの病院に何を私に来たのかと思っています。でも明日来たら。すぐに追い返してあげます」

「サラさん。落ち着いてください。許せない気持ちはあるかもしれないけど。病院内ですし。そこは大人の対応で」

「そうですね。でもヒロさんに言われても。キングスだけは絶対許さない。」

ヒロはこれ以上キングスの話をしてもよくないので話を変えることにした。

「サラさん。今日トラデスさんからケーキをもらったのだけど。食べる?」

「どんなケーキ?」

「ショートケーキだけど、六種類入っていて、イチゴ・チョコ・フルーツ・モンブラン・チーズ・ガトーショコラですけど」

「うん。どうしようかな?」

「ちゃんとサノバラまで持つように持って行くけど」

「ううん。そうではなくて何するか迷っているの?」

「だったら三個選んでもらえればいいです」

「はい。イチゴ・モンブラン・ガトーショコラでお願いします」

「了解しました」

「明日。楽しみ」

「!僕よりケーキが楽しみですか?」

「はい」

「えっ。それってひどくないですか?」

「ヒロさん。私に会いに来るのではなく仕事で来るのでしょう」

「まあ。それはそうですけど」

「ヒロさん。今から出発するのですか?」

「いいえ。二十二時頃。出発しようと思っています」

「わかりました。ところで。明日の夜はどうするつもりですか?」

「今のところどうするかは考えていないです。とりあえず昼食はサラさんと食べようかなと思っているので。そのつもりでお願いします」

「分かりました。考えておきます」

「よろしくお願いしておきます」

ヒロは。あえて素直に返事を返して。いつもと違うサラと戸惑いながら話をして電話を切った。その時。サラの発言がおかしいのは。キングスの影響が大きいと悟った。ヒロはキングス対策を考えることにしてとりあえずサラの言っていたケーキをキープしに一階に降りた。一階に降りたらティモルが帰ってきていて夕食を作っていた。ヒロはサラの言っていた以外のケーキをお皿に移し、残りは箱ごと冷凍庫に入れた。ティモルにトラデスさんからと伝えた。今日の夜中にサノバラに出かける話をした。

「母さん。お風呂入ったらサノバラに行くのだけど、明後日の夕方までには帰ってくるつもりです」

「サラさんに会いに行くのかい?」

「ううん。トラデスさんの店の紅茶葉の買い付け」

「ヒロ。お前が行くのかい?」

「理由はわからないけど。僕に行ってほしいらしくて」

「?」

「母さんどうかした」

「ヒロ。紅茶葉を仕入れている店の名前教えてくれるかい」

「うん。シャロウイン茶葉専門店」

「そういうことね」

「母さん。そういう事ってどういう事」

「シャロウイン茶葉専門店に行ったらわかるよ」

ティモルは。行ったらわかる以外の事は言わずに。夕食を作っている。ヒロは聞くのをやめて。テーブルで明日から二日間の予定をメモ書きして時間配分を考えた。夕食は久しぶりに四人一緒に食べた。夕食の席であえてサノバラへ行く話はせず。コンビニエンスストアの話をした。ケーキ貰ったので。食べてくださいと言った。

ヒロはお風呂に入り部屋に戻ると。サラからおやすみメールが来ていたので。僕は〈明日サラさんに会うの。楽しみにしています。おやすみと返信した。返信してすぐに〈ケーキ楽しみに待っていますと返ってきたのでヒロは少しへこんでしまった。二十二時なりヒロはサノバラに出かける用意をして一階に降りティモルに行ってきますといい家を出た。サラへのケーキも忘れずに持って出た。出かける時にサラにメールを入れ忘れたので走行中にメールを入れた。途中、休憩、自動運転を繰り返しながらしながらサノバラに向かった。



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ニ〇五五年八月二十三日午前九時

 サラは。今日もマーガレットとサノバラ総合病院に出かけた。怪我の処置をしてもらい。リハビリ室に行って右足の歩行運動をしていると。キングスが現れじっとサラの方向を見ている。マーガレットがキングスさん来ていますと告げると。サラの顔がこわばった顔になった。サラはできるだけ平静を装い。歩行運動を続けた。


==

一方ヒロは。仮眠をしすぎ病院に着いたのが。十時三十分だった。ちょうどサラはマーガレットと長い椅子に座り休憩していた。サラはヒロを見つけると左手で手を振った。その時だった。キングスがヒロの前に立ち。いきなり話しかけた。サラも同じぐらいに叫んだ。

「キングス!」

サラが叫びこちらに来ようとしたが。ヒロが静止した。

 ヒロは。サラの言葉を聞いてこの人がキングスだとわかった。

「下僕君。君はサラと付き合っているつもりだけど釣り合いが取れないと思うのだけど」

「すいませんが。どちら様でしょうか?」

「下僕君。君にこたえる理由がない」

「あなたが言っていることがわかりませんが?」

「わからなくていいのだよ。」

「キングスさんでしたかね。皇室の方は初めて会う人に対して。名前も言わない。下僕君というのが習わしですか?」

「下僕君に。答える筋合いはないと思うが」

「もう一つお聞きしますが。何故。僕がサラさんとお付き合いしてもいないのに。お付き合いしているとか。釣り合っていないとか言われるのですか?」

「!お付き合いしていないだと」

「はい。まだお付き合いしていませんが?これからはお付き合いする方向ではいますが?」

「これから。お付き合いするだと」

「そうですが何か?」

「だったら。付き合うのはやめろ」

「キングスさんに。僕の人生をあなた決めることは出来目さんよ」

「俺の言うことを聞けないのか?」

「何故私が。あなたの言うことを聞かないといけないのですか?それに。国王様。お后様の承諾を得て。サラさんとお付き合いさせて頂くことになっていますので?」

「面白いな。国王様が。お付き合いする事。許可している?」

「はい。許可を頂いています」

「信じられん。お前が国王?笑えるな」

「国王?何を面白いことを言っているのですか?」

「下僕くん。君がサラと結婚して王になるのが許せないから?」

「そういう事でしたか。失礼ですが、もしかしてキングスさんは自分が王になりたいが為に。サラさんに近づいているわけですか」

「下僕くんもそうではないのか?」

「僕が王様。ありえないですね。機械オタクの僕が。国を治められるわけがないでしょう」

「では。なにを理由にサラと付き合っているのだ?」

「純粋にサラさんの事が好きだから。ただそれだけです」

「ばかげている。出世なくして人生は明るくないだろうに」

「それはキングスさんの考えで。僕に考えではありません。何でしたら、僕がサラさんとどういう気持ちでお付き合いするか国王様にでもお聞きになればいいかと思いますが。」

「下僕くんの言う通り。今度国王様に聞いてみるとするから。今日の所は引き下がってやるよ。今度会うときは具の出ないようにしてあげるから。楽しみにしておいで」

「そうですか。楽しみにしておきます。言い忘れましたが今の話すべて録音させて頂いていますので」

 これが証拠ですと言ってヒロは録音を再生して見せた。キングスは悔しそうな顔をして帰っていった。ヒロが。ほっとしてサラを見ると涙目になりながらヒロを見ていた。そして立ち上がり右足を引きずりながらヒロに抱きついた。

「ヒロさん。ありがとう。うれしかった」

「僕はありのままの事を。言っただけです」

「ヒロ様。かっこよかったですよ」

「マーガレットさんまで。休憩室に行ってケーキ食べようか?」

「あっそうだ。ケーキ持ってきてくれたのだね」

「そうですよ。妹にブーイングを浴びながら。死守した三種類のケーキ持ってきましたよ」

 休憩室に行き、三人でケーキを食べた。サラが、いちごショート・ヒロが、モンブラン・マーガレットが、ガトーショコラを選んだ。サラがヒロのモンブランを三分の一とったので。マーガレットはびっくりしたが、ヒロは予測できていたのか、驚きもせず、怒りもしなかったので、何も言わなかった。三人でコーヒーを飲みながらケーキを食べ話しているとクレマから電話が来た。

「サラ。大丈夫?いつもの時間に帰ってこないので心配しました」

「心配かけてすいません。ヒロさんが来ていて。今話をしています。あとキングスが。今日も来ましたけど。ヒロさんが追い返してくれました」

「!ヒロ君来ているの」

「はい。今日は仕事で紅茶の買い付けに来ています」

「紅茶の買い付けですか?」

「はい。シャロウイン茶葉専門店に行くそうです」

「サラも一緒に行くのですか?」

「一緒に行ってもいいのですか?」

「別に構いませんけど」

「お母様。ありがとうございます」

「夕食の十八時には。帰宅するように」

「はい。わかりました」

サラはクレマとの電話を切った。ヒロとサラはマーガレットと別れ病院の近くのレストランで食事をしてからシャロウイン茶葉専門店に向かった。

「サラお嬢様。今日はどうされました?」

「今日は彼のおともで来ました」

「すいません。トラアデスさんから頼まれて。紅茶葉を買いに来たのですが?」

「兄さん。ヒロ君が来たよ?」

「!ヒロさん。お店の人ヒロさんの名前知っているの?」

「わからないけど。トラデスさから名前は聞いてもおかしくはないけど。反応がどうもおかしい」

「ヒロ君。久しぶりだけど覚えているかな?」

「あっ。ルジョルおじさん」

「覚えていてくれたのだね」

「ということはサナリスおばさん」

「よかった。覚えていてくれて」

「ヒロさん。どういう事ですか?」

「店構えが変わっていて全然わからなかったけど、ここ母さんの実家」

「えっ。ティモルさんのご実家ですか?」

「だから母さんは。店の名前を伝えた時。行ったらわかるって言ったのだ」

「そういえば。私のお母様もヒロがここに行くって行った時。少し驚いていた」

「ヒロ君と会うの。何年ぶりだろう?」

「あなた。私達の結婚式以来ですよ」

「ということは十五年ぶりか。大きくなって」

「そういえば。サラお嬢様。ヒロ君とどういう関係でしょうか?」

「サナリスさん。当ててみてください」

「サラさん。その話はしない方が」

「ヒロ君どういうこと?」

「ヒロさんは私の彼氏かな?」

「サラさん。まだその話は?」

「えっ。お嬢様ご冗談がきついですよ」

「これが証拠の写真」

 ルジョル、ルジョルの嫁のメアリー、サナリスの三人でサラのスマートフォンを覗いた。そこには二人で楽しそうにしている写真の画像があった。三人は目が点になり少しパニックになっていた。

「ルジョルおじさん落ち着いてもらっていいですか?」

「ヒロ君。落ち着いてと言われても。国王様に知れたら大変なことにならないかね」

「お父様もお母様もご存じですし。正式に交際も認めて頂いています」

「!えっ。」

三人はますますパニックになってしまい。ヒロは自分ではどうしようもできないと思いティモルに電話して事情を説明した。ティモルがルジョルに変わってほしと言われたのでスマートフォンをルジョルに渡した。ルジョルはティモルと話をして落ち着きを取り戻した。ルジョルはティモルにスマートフォンヒロに返した。ティモルはヒロにサラさんの事を王女ではなく。普通の女の子で見るように伝えたことを話して電話を切った。

ルジョルは、メアリー、サナリスにティモルが伝えてくれたことをそのまま伝え二人も落ち着いてきた。ヒロは三人が落ち着いてきたので今回ここに来るようになった経緯を尋ねた。

「ルジョルおじさん。今回の経緯が知りたいのですが?」

「ごめんね。姉さんに連絡を取っても連絡取れなくて。ミサイル事件もあり。それでトラデスさんにお願いしてアガパンサス家の事を調べてもらおうとお願いしたら。ヒロ君はうちで働いているという事だったのですが、トラデスさんが気を使って。ヒロを仕入れに行ってもらうのでと連絡を頂いて。来てくれるのを待っていたのです」

「理由はわかりました。紅茶葉ですが?」

「ごめんね。夕方来ると思っていたので、紅茶葉は乾燥中で十七時だったら引き渡しが出来るのですが?」

「十七時ですか。どうしようかな?」

「ヒロさん。近くのショッピングセンターに行きませんか?」

「そうしようかな?ルジョルおじさん十七時頃また来ます」

「そうしてくれる」

ヒロとサラはショッピングセンターに向かった。

「サラさん。ルジョルさん達に。僕の事。彼氏かなと言っていましたけど」

「!そうでしたね。まだヒロさんに返事をしていなかったですものね。改めてわたくしでよければお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします」

「ヒロさん。先程は。申し訳ありませんでした」

「そんなに気になさらなくてもいいですよ。ただ今後は。サラさんの身分を知っていない人への言動は気を付けてもらえればと思います」

「わかりました」

 ヒロ達を乗せた車は。サノバラショピングセンターに着いた。サノバラのショッピングセンターは国内でも最大級で輸入の車等も展示販売されている。

「ヒロさん。この車。イギリシアの車ではないですか?」

「そうですね。イギリシアのバイオレット社の車ですね。イギリシアは車社会ですから。最新の超電導モーター車・固定電池車ですからね」

「超電導モーター車・固定電池車ですか?」

「そうです。超電導モーター車は最新でまだデーターが完全ではないのでどのぐらいの耐久があるか不明らしいけど。固定電池車は液体電池より安全かつ一度の充電で六百キロの走行が可能になりましたので」

「コペルニクスの技術と比較すると。どのぐらい違うのですか?」

「そうですね。スマートフォンで比較すると8Gと最新の10Gくらいの差はありますね」

「そんなに差があるのですか?」

「はい。あります」

 サラは。分野によっては世界との差があるのだというのを痛感した。

 二人は。ゲームセンターに行き。サラが白熊のぬいぐるみが目に留まり。ヒロにとれるかどうか聞いた。

「ヒロさん。このぬいぐるみ取れます?」

「頑張ってみましょうか?」

 ヒロは。UFOキャッチャーでぬいぐるみを頑張って取ってあげた。

「ヒロさん。ありがとう」

「どういたしまして」

二人は。そのあとウインドウショッピングを楽しんでから喫茶店に入った。

「サラさん。学校が始まったら。一緒に学校に行きますか?」

「そうですね。でもヒロさんとは駅であったことはないですよね」

「サラさん。シャルム駅何分発の電車に乗られています?」

「いつも七時二十五分の電車に乗っています」

「それで一度もお会いしたことないのですね」

「ヒロさんは。もしかしてその後の電車ですか」

「はい。七時三十五分発の電車です」

「どうしましょう。ヒロさんに会わせましょうか?」

「いいえ。僕がサラさんに合わせます」

「では。七時十五分にシャルム駅のバス停の降車専用の場所で待ち合わせという事でよろしいですか?」

「はい。それで構いません」

 十六時三十分になり二人はショッピングセンターを出て。シャロウイン茶葉専門店に向かった。店に行くと。ルジョルが二人を出迎えてくれた」

「ヒロ君。これ注文の茶葉。気を付けて持って帰ってください」

「はい。ありがとうございます」

「お母さんにもよろしく言っといてください」

「わかりました。伝えておきます」

ヒロはシャルウイン茶葉専門店を。後にしてライラック家へ向かった。

車がライラック家に着くとサラがぬいぐるみを両手で隠すように持っていたがさすがに大きかったのでクレマに見つかってしまった。

「ヒロさん。サラにプレゼントもいいですが。ほどほどにお願いします」

「はい。わかりました」

「ヒロさん。せっかくですので夕食を頂いてから。今日帰るのか。明日帰るのか。決めてもらえればかまいませんので」

「クレマ様。お心使いありがとうございます」

ヒロのスマートフォンが鳴った。

「ヒロさん。メールの着信音が鳴っていますけど」

「うん。大学からだから夕食の後で見る」

 ヒロは。サラと夕食を頂いた。

「ヒロさん。今日帰るのですか?」

「どうしようかな?」

「ヒロさん。今日泊まって。明日の朝帰ったらどうでしょうか?」

「それでもいいかな?」

「では決まりですね。お母様には伝えておきます」

「サラさん」

「ヒロさんは気になさらなくても構いませんので」

「はい」

ヒロは。ライラック家に泊まることにして。朝九時に出発することをサラに伝えた。

 ヒロは、大学からのメールを確認したら。シュナイザー皇太子から大学に先日の宿泊及び案内の手数料が入っていて。その内ヒロ君に五万ドルを渡すようにといわれたのでお知らせしときます。とメールがあったので。ヒロは大学に寄付します。と送ったところシュナイザー皇太子から、寄付を言われても受け取らないようにと。念を押され。大学側も。思った以上の金額を貰い。返金を伝えたが断られたので。ヒロにも受け取って貰いたいとのことだったので。ヒロは受け取ることにした。シュナイザー皇太子にお礼のメールを打って大浴場に出かけた。入れ違いでサラが部屋に戻ってきた。ヒロが居なかったので日記を書き始めたら。ヒロのスマートフォンの。メールの着信音が鳴ったが。サラは触らずにそのままにしておいたしばらくして。ヒロが帰ってきたので。スマートフォンが鳴ったことを伝えた。ヒロは、スマートフォンを見てからサラの肩をたたきスマートフォンを見せた。そこにはシュナイダーからお礼のメールが送られてきていた。

「ヒロ、今のペルとドルの為替の差はどのくらい」

「さっき調べたら、一ペル=〇.一一ドルです」

「えっ。そんなに違うの」

「そうなのですよね。どうしたものかなと思っているのですけど。五十五万ペル大きな金額貰ったので、学校に寄付しようと思ったけどシュナイザー皇太子に読まれていたみたいで、完全にシャットアウトされました。それで仕方ないので貰うことにしました。サラと結婚するとしたらその費用かな?」

「そうなるといいですね」

サラは。日記を書き始めた。日記を書き終えるとベッドに入り、いつものようにヒロに腕枕されながら眠りについた。ヒロはしばらくサラの寝顔をしばらく眺めてから眠りについた。


==

二〇五五年八月二十四日午前六時

 サラは起きてメディカルスーツを付け、着替えて食堂の調理室に入っていった。中ではマーガレットがサラの注文した食材を並べていた。

「お嬢様。私はどうすればいいでしょうか?」

「サブマリンサンドイッチ用のパンを横半分に切ってもらって。あとは包装をお願いしたいのですが」

「それでよろしいのですか?」

「あとは見ておいてもらえれば」

「分かりました」

 サラは一時間かけてサブマリンサンドイッチを作り出来上がりをマーガレットに包装して貰った。

「マーガレット。手伝ってくれてありがとう」

「いいえ。私も勉強になりました。ありがとうございます」

 そうこうしているうちに。コックさん達が出勤してきたので。台を借りたのと冷蔵庫をお借りしていることを伝えキッチンから出て行った。サラは部屋に戻りヒロが起きるまで大学の課題をしていた。

「サラさん。おはようございます」

「ヒロさん。昨日。いつまで私の寝顔見ていました?」

「二十二時ぐらいまでは見ていたような気がするけど?」

「!そんな時間まで見ていたのですか?」

「はい。やっぱり僕って変わっているのかな?」

「!ヒロさん。自分の事。普通だと思っていたのですか?」

「いや。変わり者とは言われていたけど。普通から少し外れているだけかと思っていたのだけれど」

「ヒロさん。一般の人が、私と結婚前提にお付き合いを始める時点で普通ではないので」

「そうですね」

「落ち込んでいる?」

「ううん。そんなことないですよ」

「私ね。ヒロさんには失礼かもしれないけれど。ヒロさんが普通の考えでなかったから。お付き合いしてもらえると思っていますし。私にとって第一王女という肩書。ほんとはすごく重荷なの。だけどね。ヒロさんは私を王女としてではなく。一人の女性としてみてくれているから助かります。私のお願いなのですが。大学を卒業したら籍だけ入れてほしいです。そうすることによって。ヒロさんがティフォリア家を出入りしていても何ら不思議ではないし。私もヒロさんに気兼ねなく会いたい時に会えるし。国の運営のサポートもして貰えると思っているから。結婚式は。ヒロさんが出世してからで構いませんので」

「わかりました。サラさんの気持ち。しっかり受け取りましたので。大学卒業したら入籍できるように努力します」

「ありがとう。ヒロさん。ほんと無理言ってごめんなさい」

「ううん。僕はサラさんという女性と知り合えたことに感謝しているし。ましてや結婚を考えてくれていると思っていなかったので。幸せにできるよう頑張ります」

「私こそ。よろしくお願いします」

「お嬢様。ヒロ様。朝食の用意が出来ました」

「はい。すぐ行きます」

「ヒロさん。行きましょうか」

「行きますか。サラ。話変わるけどシャルムに帰る日。僕が迎えに来てもいいかな?」

「お母様に聞いてみないとわからないけど。どうしてですか?」

「荷物の件。責任感じているから」

「ごめんね。私の為にしてくれているのに怒られてしまって」

「いいよ。何も考えてなかったから仕方ないし」

「お母様に聞いたらメールでも入れるね。帰る日も確認しておくから」

「よろしくお願いします」

「はい」

 サラとヒロは朝食をとり。サラは病院に行く用意を。ヒロは帰る準備をして。クレマ様とハイデ様にお世話になったお礼を言い。シャロウイン茶葉店で購入した紅茶を渡した。 サラはマーガレットに病院へのお迎えの時間を伝え、車に乗り込んだ。二人を乗せた車はサノバラ総合病院に向かった。ヒロは駐車場に車を止め、サラを下ろして、運転席に入ろうとした時、これ昼食に食べてと言ってサブマリンサンドイッチを渡されありがとうと言って唇にキスをした。サラは気を付けて帰ってねと言い。病院の中へ入っていった。ヒロは車に乗り。サラの作ったサブマリンサンドイッチを昼食に取り。休憩しながら二十一時前に、トラデスさんの店についた。

「店長。茶葉持って帰ってきました」

「ヒロ。ご苦労さん。ホットコーヒーでも飲んで帰ったら」

「はい。頂いて帰ります」

「ヒロ君。ご苦労様でした。はいコーヒーです。」

「シィーナさん。ありがとう。店長頂きます」

「はいよ。ヒロ。彼女には会えたのか?」

「はい。会えましたけど。何か?」

「いや。特にないけどあえたのかな。と思って」

「ヒロ君の彼女。サノバラに住んでいるのですか?」

「サノバラに住んでいるのではなく母親の実家に行っているだけで九月にはこっちに戻ってくると思う」

「ヒロさんの彼女さんに会えるかな?」

「多分。大学の授業が始まったら一緒に通学すると思うから会えると思うけど?」

「楽しみが一つできた」

「店長。ごちそうさまです。帰ますので」

「はい。明日よろしく」

「はい頑張ります。お疲れ様です」

ヒロは。トラデスの店を出て帰宅の途についた。家に帰るとティモルが夕食を用意して待っていた。先ほどルジョルおじさんから、電話がきて話をしたらしくヒロがサノバラでの事を話さなくてもよくなった。ヒロは。夕食をとってお風呂に入り、サラにおやすみメールを送り床についた。



==

サノバラに行って三日が過ぎた日の夜突然ヒロのスマートフォンが鳴った

「サラさん。何かありました?」

「ヒロさん。オールオーバーボディスーツの書類審査を通って最終審査に残った」

「おめでとう。プレゼンテーションの練習をしないといけないね」

「そうですね。先生よろしくお願いします」

「僕が指導するのですか?」

「ほかにどなたかおられますか?」

「分かりました。サラさんの頼み。お受けいたします。」

「ヒロさん。そんなにかっこつけなくてもいいですから」

「かっこつけすぎたかな?」

「かっこつけすぎ。それとヒロさんが迎えに来てくれる話をしたらサラのお好きにしなさいと言われたので。ヒロさん。迎えに来てもらっていいですか?」

「いいよ。いつ迎えに行けばいいですか?」

「二十九日の朝に出発すると言っていたから二十八日に来てもらえればと思っていますが、ヒロの予定はどうですか?」

「大丈夫だよ。ちょうど休みだから」

「よかった。ヒロ。ほんと無理言ってごめんね」

「いいよ。サラの頼みだから」

「ありがとう。では二十八日お待ちしております」

「はい。わかりました。おやすみ」

「おやすみなさい」

ヒロは電話を切った。ドアのノックがしてティモルが学費の事を聞いてきた。

「ヒロ。確か大学の学費の後期の支払い明日までだったよね。」

「ううん。学費卒業まで免除になった」

「免除?どういう事」

「母さんにはちゃんと話さないといけなかったな。ごめんなさい。実はメディカルスーツの特許の事で。僕が大学に全権を渡したので。その代わりに大学側が残り二年の学費免除メディカルスーツの使用権を貰った。」

「分かりました。学費はこれから要らないということですね」

「そうなりますし三年の前期分も返納されているのです。返さないといけないの。忘れていました」

「前期分はお前の功績だから返してもらわなくてもいいよ。大学の授業料が要らないのは親としては助かるけど特許権はよかったの?」

「僕は。これからの為にもよかったと思うけど」

「はい。まあヒロはヒロの考えがあるし。私はそれに対しては何も言わないよ」

「母さん。ありがとう」

「明日も早いのだろ。お風呂入って寝るといいよ」

「そうします」

ヒロはお風呂に入り床についた。



二〇五五年八月二十七日二十二時

 ヒロはサノバラに向けて出発した。途中仮眠をしながらゆっくり、車を走らせ十時少し前にサノバラ総合病院についた。病院の中に入り、リハビリ室へ向かった。リハビリ室に入ると、サラがヒロを見つけ駆け寄って抱きついた。

「ヒロさん。会いたかった」

「何かあった?」

「何もなかったけれどすごく会いたくて」

「あやしい。何か隠してない」

「何も隠していませんけど」

「だったらいいけど?あとどのくらいで終わる?」

「後。三十分ぐらいかな」

「分かりました。横で見ておきます」

「うん。頑張る」

 サラはヒロの見ている前で頑張って歩行のリハビリをした。リハビリが終わり二人でレストランに行き昼食をとり。シャロウイン茶葉専門店に行き。ティモルからの預かり物を渡し。ライラック家に渡す紅茶葉を買いライラック家に向かった。サラからハイデさんの農場の見学をしないかと言われたので一緒に回ることにした。ライラック家につくとマーガレットさんが待っていて。一緒に農場を回ってくれると言って案内をしてくれた。千六百ヘクタールの広大な農場に牛や豚、野菜に果樹園、コーヒー園に茶葉園があり。ヒロの予想を上回る広さだった。

「マーガレットさん。従業員はどのぐらいいますか?」

「今。約三千人だったと思います。」

「凄いな」

ヒロは。この土地を管理しているライラック家の大きさに驚くばかりだった。見学を終え、住居棟に戻ると。クレマさんがコーヒーを用意してくれていた。

「ヒロさん。自宅に帰る。お迎えまでお願いしてしまって」

「いいえ。僕にも少し責任がありますので」

「サラ。ヒロさんに甘えすぎないようにね」

「はい。わかりました。甘えるのもほどほどにします」

「クレマ様。ライラック家にお世話になっているので、よろしかったらこの紅茶お受け取り下さい」

「ヒロさんいいのに。まあ。せっかくですのでありがたく頂きます」

「お母様。その紅茶おいしいですよ」

「あら。サラこの紅茶頂いたことあるのですか?」

「はい。その紅茶はヒロが働いているコンビニエンスストアの店長さんがシャロウイン茶葉専門店で特別に作ってもらっている紅茶です」

「そうなのですね。頂いてみようかしら」

 クレマは。茶葉をティーポットに入れお湯を注ぎ、紅茶をティーカップに入れ、一口飲んでみた。

「この紅茶。ほんとにおいしいですね。これから私も紅茶葉を注文しようかしら」

「そうして頂ければおじさんも喜びますので是非お願いします」

「分かりました。次からこの紅茶葉を注文します」

「ありがとうございます」

「ヒロ。よかったね」

「うん。サラが押してくれたおかげだよ。ありがとう」

「いえいえ。トラデスさんの店の紅茶ほんとにおいしかったですから」

「お嬢様。荷物のかたづけにお部屋に入りますが。よろしいでしょうか」

「マーガレット。私も行きます」

サラは。マーガレット一緒に部屋に入り荷物をまとめた。その間。ヒロは大学の課題をリビングですることにした。サラが荷物の整理が終わりリビングに戻ってきた。

「ヒロ部屋で話をしない?」

「うん。そうしようか?」

サラとヒロは部屋に戻り今後について話をした。

「ヒロ。明日なのだけど、聖スィートアッサム女子大学によってほしいのですが」

「サラの大学に?」

「そう。実はオールオーバーボディスーツのプレゼンでの名前なのだけど実名で出そうかなと思って」

「実名で?」

「大学と高校の学園長に会って、話をしたいと思って」

「そうか。いいと思うけど。発表してからの大学生活変わらない?」

「そうね。多少は変わると思うけど。友達としてお付き合いしている子は知っているのでその辺は大丈夫だと思いますが」

「分かりました。僕もハイドランジア工科大学の学園長にあってサラとお付き合いしていることを伝えておかないといけないな」

「私の事をヒロの大学の学園長に伝える。どうして?」

「僕とのことが表に出た時。伝えといたほうがいいかなと」

「そうですね。そのほうが後手にまわらないかもしれませんね」

「サラ。この事は両親には伝えているの?」

「まだ言ってないけど。二人で決めたのなら何も言いませんと。言われるかなと思っているのですが?」

「確かに。クレマ様ならいいそうかな?そういえば、プレゼンっていつ?」

「あれ?言ってなかったかな?」

「聞いていません」

「九月二十五日の日曜日十時からシャルム国際ビル十五階ペガサスの間」

「凄いな。シャルムで一番大きい会議場で時々コンサートも行われるところでするのだね。三千人収容できるからすごいプレッシャーがかかりそう」

「ヒロ。今からそんなプレッシャー掛けないでよ。今まで学校以外で一度もプレゼンしたことないのだから。」

「サラ。そんなに考えることはいらないと思う。僕と練習で話す感じでしゃべればいいと思うし学校でやっていると思えばいいと思う」

「ヒロ簡単に言いすぎ。それとも経験者の教訓から」

「そうだね。僕も一番初めの時は。緊張していたけれど、学校でやっていると思ってやったら意外と。普通に話せたのでそう思って正解だったと感じた」

「分かりました。学校でプレゼンしていると思えるような練習をします」

「僕も頑張ってお手伝いします」

「よろしくお願いします」

サラはベッドにあおむけになり左手をいっぱい伸ばして背伸びして、〈頑張ろうと〉叫んだ。ヒロもサラの横に寝るとサラを優しく抱きしめた。サラはチ佐那声で一言〈幸せ〉と言った。しばらく二人でくつろいでいるとマーガレットが夕食で呼びに来たので二人でリビングに向かい夕食を頂いた。ヒロはその席でハイデから農場の作業効率はどう見えたかと聞かれ、敷地が広いので移動に対しての時間の効率化あと工場に送ってからの選別でなくその場で選別できるようになればより良い品質の食材が提供できるのではと話した。ハイデはコストの問題があるので意見として聞いておきますと答えた。サラはクレマに実名でプレゼンに出ていいかと伝えたら、サラにとっていい機会だしアピールするにもいいのではとのことで賛成した。

サラはほっとした感じでみんなにプレゼンティフォリア家の名に恥じないように頑張りますといった。夕食後。サラはクレマと大浴場は行き、汗を流し、大学によるので、六時には家を出ることを伝え、朝食もサービスエリアで取ることも伝えた。

部屋に戻ると、ヒロも大浴場から帰ってきていたので、日記を書いてからヒロと一緒に床についた。



==

二〇五五年八月二十九日五時三十分

ヒロとサラは起床して、荷物もまとめ車に乗せ、見送りに出てきてくれたマーガレットにお嬢様お願いしますと言われ。ライラック家を後にした。途中コンビニエンスストアによって、朝食用のサンドイッチと飲み物を購入して高速に入り、朝食と取っている間、自動運転にして車を走らせた。サラは、朝が早かったせいなのか、どこか疲れている感じでヒロに眠ることを伝え、犬のぬいぐるみにもたれるようにして眠った。途中、水素の充填と昼食の買い出しでサービスステーションによる以外は車を走らせた。十三時過ぎて頃に、サラが起きたので昼食を買っていることを伝えた。サラは、後部座席から昼食のハンバーガーをとって頂いた。

「サラ。だいぶ疲れているようだけど。昨日眠れなかった?」

「うん。ヒロと一緒に床に就いたの。二十二時ごろだったでしょう。寝むれていたのだけれど一時頃目が覚めて。今日の事考えていたら眠れなくなって気がついたら五時で。仕方ないので。そのままお布団でヒロが起きるの。待っていたの?」

「起こしてくれたらよかったのに?」

「だって、昨日も十時間かけて運転してきて。今日も十時間運転していかないといけなかったので。起こすのが申し訳なくて。でも車で寝られたから少し元気かな」

「ごめんね。運転している横で寝てしまって」

「そんな事気にしなくていいよ」

「サラ。学園長と何時に会う約束しているの?」

「一応。十六時に来賓用の応接室で会うことになっているの?」

「高校の学園長は?」

「最初別々で話をするつもりだったのだけど、高校の学園長が同じ話をするのに別々で会うこともないでしょうと言って大学まで足を運んでくれる事になったのだけど逆にそれがプレッシャーになってしまって」

「そういう事ですか?僕も一緒に行ってもいいかな?」

「ヒロが一緒に?」

「執事で紹介してもらえればいいので」

「えっ。執事ですか?」

「だめ?」

「だめではないですが?婚約者でもいいですか?そのほうが。ヒロの事紹介もできるし」

「!婚約者。婚約もしてないのに?」

「でも大学を卒業したら入籍するし。いいかなと」

「ん…………。分かりました。婚約者でいいです」

「ヒロ。ほんと無理ばかりお願いしてごめんね」

「いいよ。見返りに。今度夜のお相手してもらいますから」

「分かりました。今度。ヒロの家に泊まる時でいいですか?」

「ん?それって。僕の家に泊まらない限り。お相手してもらえないということですか?」

「あら。もう気付きましたか?」

「はっ。残念。昨日襲撃しとくべきだったかな?」

「そうですね。昨日は私寝むれなかったのでヒロが要求してきたら断らなかったかも」

「まあいいか。サラはまだまだけが人だし。あんまり要求しても体に差しさわりが出ても困るし。よしとしようかな?」

「うふ。そのお優しいお気持ちありがたく頂戴しておきます。でもなんかヒロが一緒についてきてくれると思ったら元気出てきた」

「サラさん。クレマ様にまた甘やかしすぎって怒られそう」

「大丈夫。私。頑張ってメンタルを鍛えますので」

「はい。頑張って。もうすぐソシルのインターだ。予定より三十分早く着きそうだ。」

ヒロとサラの乗った車はソシルのインターを降りて、聖スイートアッサム女子大学に到着した。サラは守衛室で名前を記入し、学校の中へ入り、駐車場に車を止めてもらいヒロと二人で、大学構内に入っていった。サラは大学の事務室で来館名簿に自分とヒロの名前を記入し、来賓用の応接室へ向かった。応接室のドアをノックすると中から声がして。ドアを開けると大学の学園長マルチネスと高校の学園長ビクトリアが二人で会話をしながらサラが来るのを待っていた。

「マルチネス学園長。ビクトリア学園長ご無沙汰しています」

「!ティフォリアさん右腕どうしたの」

「先月のミサイル事故で怪我をしてしまいまして」

「大丈夫ですか?」

「はい。大丈夫です」

「今日は何のお話でしょうか?それと隣の男性は」

「彼はヒロ・アガパンサスと言って私の婚約者です」

「婚約者ですか?今日は紹介に来てくださったのですか?」

「いえ。そうではなく。今月の二十五日のオールオーバーボディスーツのプレゼンテーションで。本名を名乗らないといけなくなったのでそれを伝えに決ました」

「あれ。ティフォリアさんオールオーバーボディスーツの。書類審査を通過して最終審査に残ったのですか?」

「はい。カモミール教授から伝えられておられませんか?」

「少し待ってね」

マルチネス学園長はカモミール教授に電話をし、話をしてサラが来ていることを伝えると応接室に来るというので待つことにした。

「ティフォリアさん。彼の名前。ヒロ・アガパンサスと言っていたよね」

「はい。そうですが」

「どこかで聞いた名前なのですが。アガパンサス君。大学はどこですか?」

「ハイドランジア工科大学です」

「思い出した。確か四月ぐらいに。ハイドランジア工科大学がメディカルスーツの特許と水素の供給機器の特許を申請していて水素の供給装置を共同開発した人が半分貰えるはずの特許の権利を大学に譲ったらしいの。その人の名前がヒロ・アガパンサスっていう子だったと思うけど」

「えっ。ヒロが水素の供給装置開発したのですか?」

「サラさん。ごめんほんとの事。半分しか言ってなかったね」

「もしかして。今私がつけているメディカルスーツって。全員が貸し出してもらえるのではなくヒロさんだけが貸出してもらえるものですか?」

「そうです」

「ヒロさんごめんなさいね。私余計なこと言ってしまったみたいで」

「いいえ大丈夫です。別にサラさんは怒っているわけではないので」

「よかった。あなた達の間にひびが入ったらどうしようかと思ったの」

「マルチネス学園長大丈夫です。私達。そのくらいでひびが入る中ではありませんので」

ドアをノックする音がした。学園長が返事をすると、カモミール教授が入ってきた。

「サーシャ・カモミール入ります」

「カモミール教授。ご無沙汰しています」

「久しぶり。ティフォリアさん。書類審査通過おめでとう」

「ありがとうございます」

「もしかしてティフォリアさん。プレゼンテーションに出席することに決めたの?」

ビクトリアは。少し驚いた顔をして。サラを見た。

サラは。少し微笑み。話を始めた。

「はい。決めました。当初。書類審査が通った時。学校に迷惑がかかると思い悩みましたが。自分か書類を提出しといて。本名を名乗れないから辞退することにしたら。ボディスーツの審査に応募した人に申し訳ないと思い。最終審査のプレゼンテーションに出ることにしました。その事を学園長にお話をしに来ました」

「そうだったのですね」

「ビクトリアさん。反対意見ありますか?」

「反対なんて。逆にとても光栄だと思います。堂々と本名でプレゼンテーションの発表をしてください。でも反響は大きいかもしれませんが。その時は。彼と二人で乗り切ってください。学校への取材等は我々で対処します。皆さんこれから忙しくなりますよ。頑張りましょう」

サラは。ほほ笑んだ。

「そうですね。どんな取材が来るか楽しみだわ」

「マルチネス学園長。ありがとうございます」

サラとヒロは三人に挨拶をして応接室を出て行った。三人は今後の対策の話合いをした。ヒロは。サラと聖スイート女子大学を出てハイドランジア工科大学に向かった。事務室により、学園長にお会いできるか問い合わせてもらい。お会いできるとの事で学園長室に入った。

「学園長失礼します」

「アガパンサス君。どうかしたか私に会いに来るとは?」

「彼女の事でご相談が?」

「彼女?サラ・ティフォリアさんの事ですか?我が国の第一王女の事ですかな?」

「セントレア学園長。彼女の事ご存じなのですか?」

「ご存じも何も。サラさんのお父さんは私と学友で今でも。会っているよ」

「そうなのですか」

「だから君たち二人の事は。教えてもらっている。それで相談とは?」

「はい。今度オールオーバーボディスーツのプレゼンテーションに彼女が出ることになり。本名を公表することになったので。もし私との交際が発覚した時。取材の方が来られると思い。一言言っておかなければと思いお会いしてもらいました」

「アガパンサス君。気を遣わしてすまんな」

「取材が来たら。それなりに対応するので心配はいらんよ」

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

「わかった。任しておいてくれ」

「ありがとうございます。よろしくお願いします。学園長失礼します」

 ヒロとサラは学園長室を出て。事務室により学園長との話を伝えてハイドランジア工科大学を後にした。

「サラさん。セントレア学園長と会ったことあるの?」

「はい。黙っていてごめんなさい。私も会って話をしないと私たちの事。お父様が。どこまで話しておられるかわからなかったので。ほんとごめんなさい」

「サラさんがそんなに謝ることないさ。それより大丈夫?」

「うん。大丈夫?ちょっと疲れたのかな?」

「そうだね。この一か月いろいろあったものね」

「うん。学校までの二日ゆっくりすることにする。」

「そうしたらいいと思う。メールのやり取りだけにする。プレゼンテーションの練習は調子がよくなったらで」

「日数はないけど何とかなると思うので」

「そうだよね。文章書く時。実際に時間は買ってやっていたからね」

「ヒロにおかげで文章はしっかり読めるのであとはその場になれるかどうかかな」

「サラなら大丈夫。初の国内演説も兼ねているけど頑張って」

「うん。頑張る。ところでヒロさんは来てくれるの?」

「プレゼンテーション?」

 ヒロは。少し困った顔をしていた。

「うん。そのつもりではいますけど」

「五枚分のチケット押さえているので。お願いします。ヒロさんが見ていてくださるのであれば安心ですら」

「うん。ちゃんと近くで見ているから」

「ありがとう。もうすぐお屋敷だね」

「あれ僕たちのほうが早かったのかな?」

「そうみたいですね」

「部屋まで荷物運びます」

「ありがとうございます」

 ヒロは。車を降りてサラの荷物を部屋まで運んだ。サラは疲れているのかベッドに横になりおとなしくしていた。ヒロは荷物を入れ終わるとサラの横に座り髪の毛を撫でみんなが帰ってくるまで一緒にいてあげた。しばらくして。家族が帰ってきたので。マーガレットさんが部屋に来たので。サラが調子悪いので寝ている事だけ伝え、自宅に帰った。

サラが起きたら。電話かメールをくださいとマーガレットさんに伝えた。しかし。その日にサラとマーガレットさんから電話とメールが来ることがなかった。


                         激動編に続く

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