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拘束

残酷な表現が出てきます。



「治癒師を呼べっ…」


 弱々しい声でそう命じるも、騎士団長が冷ややかに応じる。


「治癒師、ね。後で呼んであげますよ、あなたがもっと苦しんでから…皇 帝」




 そう言うと騎士団長は、傷口を抑える皇帝の右手を引き剥がし

 両手を縄で後ろ手に縛り、身体も縄でぐるぐると巻いて椅子に拘束した。短剣をスッと鞘から出し、皇帝の頬を切り裂いた。鋭い痛みに、皇帝が大声で喚く。


「血迷ったか!このッ…騎士の風上にもおけぬ卑怯者めが!」


「ハハハッ どちらが卑怯者です?国家間の合意など無視して王国に奇襲をかけ攻め込んだわれら帝国こそが卑怯者ではありませんか?」


「わしに従ったおぬしらも同罪よ…」


「ええ、そうです あの頃の自分はまだ帝国には帝国の、義があると思っていましたから」

「わしを責める資格など、だ、誰にもない」


「そうですね 我々もあなたと同罪です。それは認めましょう あなたと同じ、大ベレスティグ帝国を夢見たことも同罪なのかもしれません。ただ、──我々は何度も進言したはずです……非戦闘員は対象にしないように、民間施設は爆撃しないように、と」


「し、仕方ないだろう!本当なら7日で占領出来る筈だったのだ!無能なお前らがいかんのだ、無差別に攻撃でもしないとあのスハウィンは占領出来ない…う ああああああああああああッ」


 騎士団長の短剣が、皇帝の右耳をザクリと削ぎ落とした。


 氷のような目をした騎士団長が、血をまとった短剣に映り込んだ自分の目を見る。感情の抜け落ちた眼がそこに見えた。


「あなたは相変わらず聞く耳を持たない……フフッ この耳は飾りですか?…不要なものは排除しましょう さて左耳も」


「や、やめて、くれ…」


 皇帝の悲痛な声が、執務室に響き渡る。


「スハウィンから避難しようとしていた娘と孫は……貴様の仕掛けた地雷で死んでいったんだ ────お前は、お前は…民間人も無差別に…地雷設置は、軍の指揮体系を無視したな?」


 皇帝の左耳の付け根に、短剣の刃部分をグッとめり込ませる。


「 ──ッ!」

お読みいただきありがとうございます。

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