第2話 ヒロキ、イッキマース!!!
感想食べて生きてます。感想ください。
『どうぞ、そのまま前にお進みください。』
突然、スピーカー越しのような声で誰かに話しかけられ、静まり返っていた空気感にビビりまくっていた俺は、軽く飛び跳ねてしまった。
『ふふ、そんなに驚かなくても、あなたがビルに入ってきたときからずっと見ていますよ。』
その声は、こんなビルには似つかわしくない、怪しいというよりも親しみやすい優しい声だった。
そ、それにしても可愛い声だな、、、。
っというか、俺のこと見てたっていうことは、どっかにカメラかなんかしかけてあるのか。
なんだよ、ビビって損したぜ。
俺は、その言葉にみちびかれるままエレベーターの中に入った。
すると、エレベーターの扉はそのままゆっくりとしまった。
真っ暗だ。
何も見えない。非常灯も、ボタンの光も何も見えない。
きっと、さっきの声の女性がどこかで見ているだろうと思ったので、呼びかけてみることにした。
「あのーこれって電球切れてるんですかー、真っ暗でなにも見えないんですけどー。」
……返事はない。
「あのー、このままだと何も見えなくて、ボタンがどこにあるかもわからないんですけどー。聞こえてたら返事してくれませんかー。」
……またしても返事はない。これは明らかに変だ。
数分の間俺は黙ってそのままじっとしていた。
何もすることがない。いや、何もできないのだ。何も見えないのだから。
すると、ジーという、電子ノイズと共に、声が聞こえてきた。
『ヒロトさん、すいませんお待たせしてしまって、、、』
どうやら向こう側でトラブルがあったらしい。
というか、このビルは、本当に大丈夫なのか?見た目からして古そうだし。
階段を探して、そっちから上がっていけばよかったんじゃないか。
もしかしたら、エレベーターが落下なんてこともあり得るぞ。
「あのー、ボタンも何も見えないので、電気つけてくれませんかー?」
もう一度呼びかけてみた。
『ああ、そもそもその部屋にはボタンはありませんよ。』
「え?」
ボタンがない?というか今、部屋っていったか?
一瞬、女性が何を言っているのかを理解することができず、変な声が出てしまった。
そしてそれとほぼ同時に、俺の体は浮遊感に包まれていた。
今までちゃんとあった地面の感触が消え、俺は落下する感覚だけに包まれた。
悲鳴を出す隙も無い、いきなりの落下。
そして、薄れる意識。
それと共に一言だけ聞こえた。
『いってらっしゃい』