プロローグ 約束とアベレージ
「冬牙、元の家に帰るか?」
親父は不安気に俺に尋ねる。俺の答えは決まっていた
「帰るよ、親父。」
「そうか、たまには連絡するんだぞ」
「了解」
「そうだ親父、俺の発明見てくれよ。」
「おお!久々だな。ん?このメガネか?」
親父が不思議そうに拾い上げる
「おう、アベレージメガネだ」
アベレージ=平均。英語にしただけという、ネーミングセンスはほっておいてくれ
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大阪から東京へ向かう...
俺は平松冬牙。両親の仕事の関係で小学生活を終えると同時に関西方面へと飛ばされた。
中学生活を平凡に送り、それなりの高校に入った。
顔は結構整っているらしい...(自分では60点ほどだと思うのだが)
けれど、たいしてモテることもなかった気がするし、本当に平凡だったと思う。70点の人生だろうか...
そう、唯一の平凡でないことを上げるならば、俺は数学男ということだ。
何でもかんでも数字で表し、データを重視して平均を知りたがってしまう。
これも両親が二人そろって数学の教授だからその影響だろう。
こんな俺の高校生活も平凡に終わると思っていた...
しかし、高校2年になろうかという春。両親が海外の有名な数学研究チームに勧誘されたとか何とかで、東京へ戻れることとなった。
そう、あいつとの約束を果たすために...
「今頃あいつ何してるだろう。」
「次は~東京、東京です」
戻ってきた俺の故郷。とはいっても故郷は千葉である。
平凡を少しでも断ち切るため、この春休みの内におれは面白いものを作り上げてしまった。
その名も〈アベレージメガネ〉
テッテレー効果音と青いたぬきが連想できそうだ...
これを付けると、相手が自分に対してつけている点数を見透かせるというものだ。
これがあれば浮いた高校生活にはならないだろう。
試しに通行人に使ってみたが点数は表示されなかった。どうやら俺を認識している人物ではないといけないらしい。
気づけば、千葉の実家に着いていた。
「懐かしいな...」
ふと、言葉に出る。
「今日は早く寝るか」
来たばっかりだが、明日はもう高校の始業式だ。
荷物を整理した俺は、颯爽と風呂、食事を済ませ、4年ぶりのベットに吸い込まれていった。
アベレージメガネ。これが俺のリアルラブコメを作り上げてくれるだろう...
そう思いながら深い眠りについた。
翌日
道が桜色に染まっている中、俺は新しい高校生活のスタートラインを迎えようとしていた。
俺は目標を決めていた。
〈クラス女子からの平均点70を目指す〉
「私立藤ヶ崎高校、2年3組...ここか」
教師の紹介が始まる中、例のメガネをかけてドアの前で待機する。
「第一印象は確実に…だ」
ガラッ
俺の、平均点に満ちたリアルラブコメが始まりだす。
現在の平均点 測定不能