チート能力ふぁっく!
こんにちは!
世界連盟勇者斡旋ギルド・『グリフィン支部』へようこそ!
今日はどのようなご用件でしょうか?
…………え?
あ!
この場所のご利用は初めてなのですね!
説明は必要でしょうか?
……はい!
分かりました!
それでは説明に入らせて頂きますね!
まず、世界連盟勇者斡旋ギルドとは知る人ぞ知る世界最大のギルドです。
このギルドでは各国の首脳や王族が勇者様に向けて直々に依頼したクエストのみを扱っています。
クエストについては説明が必要でしょうか?
……はい!
分かりました!
クエストというのは勇者様の皆さんに様々な国や組織などから要請のあった依頼をギルドを介して紹介させて頂くものの事です。
その依頼内容は様々で、魔物の討伐、薬草の収集など幅広くありますので自分の得意なクエストを受けてくださいね。
あ!でも、世界連盟勇者斡旋ギルドで扱うクエストは難易度が馬鹿みたいに高いのでちまちまそこら辺に生えてる薬草を収集するクエストや誰でも倒せるような雑魚を狩るクエストをやりたいのなら他の小さなギルドへ行って下さいね☆
このギルドで行われているクエストは、1000年前に復活した魔王とその眷族の討伐、そして秘境認定された人類がその場所に行けないとされている場所にある貴重な素材の収集になります!
難易度は全てSランク。
もしくはそれ以上。
なので一度のクエストで得られる報酬が莫大なので一攫千金を狙って頑張りましょう☆
…………え?
あ、はい?
自分は初心者だからちゃんとクエストを達成できるか心配?
分かります分かります。
初めは誰でもそう言うんです。
クエストの難易度に比例して勇者様の死亡率も高いですからね。
死の危険と常に隣り合わせなのでそれに恐怖する人は多いいんです。
でも大丈夫!
そんなの初心者勇者様だけですから☆
勇者様の死亡率が高いのは主に勇者を初めて間もないルーキーだけ。
もしくはSランク以上のクエストを受けてちょっと失敗しちゃった勇者様だけですから初めさえ乗り越えてしまえば後は楽勝です☆
大金持ちです☆
…………え?
それでも心配?
珍しく心配性な勇者様ですね~
でも世界連盟勇者斡旋ギルドに入場できたってことは、あなたもれっきとした『チート能力保持者』なのですよね?
そんなに心配なら私に勇者様のステータスを見せて下さい。
ステータスって何か?
あ、ほらそれです。
ここに入る時に発効した小さいカードで確認できます。
説明を受けていませんか?
ならここで説明致しましょう。
これはいわゆる『勇者カード』。
あなたが勇者であることを証明する身分証明書のようなものです。
そしてこれの使い方はべりーぐっど簡単!
開けと念じるだけで勇者カードに内包された個人情報がぶわーっと開示されるんです!
でも、誰でも開示できてしまうので落とさないようにしてくださいね?
再発行は何度でもできますが再発行するまでに誰かに拾われてあなたの個人情報が漏れても知りませんから☆
それは自己責任なのであしからず☆
それではちょっと貸してください。
大丈夫ですよ☆
そんな変な情報見ませんから。
あなたのステータスを見るだけです。
どれどれ……うひょっほほほっうへ~ほぉ~……
……あ、いえ別に変な情報を見たわけじゃありませんよ?
勇者様のステータスが素晴らしかったもので☆
勇者名 レイ=キリサト
職業 勇者・剣聖
称号 駆け出し勇者・創造者・世界の理を知る者・剣聖・魔導師・錬精術士
職業能力
勇者(王族から無条件の援助)
剣聖(剣と判断される武器の重さを装備時のみ無効)
称号能力
錬精術士(錬金術の成功確率が100%になる)
魔導師(上級魔法までの呪文詠唱破棄)
駆け出し勇者(ダメージが魔族に対してのみ2倍)
創造者(世界の理に反する物質を精製可能)
世界の理を知る者(全魔法使用可能)
剣聖(剣の耐久性が無限大)
固有能力
神の寵愛(毎分自身の魔力の4分の1を回復)
精霊皇の加護(全属性耐性付与)
未知の侵略者(全魔力消費でブラックホールを出現させる)
VS魔族(魔族に対してダメージ2倍)
母親の知恵(家事・料理全般Sランク)
乱獲者(倒した魔物から得る素材2倍)
大切断(一定確率で対象となる物質を無条件に切断)
『真能力 ・超新星爆発 (???)』
修得能力
無し
備考
重複転生者
他の勇者様と比べてもここまでのスキル持ちのは中々いませんよ!
似たようなスキルを持っている勇者様は居ますが、あなたのはどれもその上位互換に当たるものです!
これなら初めてのクエストでも楽勝ですよ☆
でも、流石に飛ばしすぎるのもあれなので今回は私の方から適切なクエストを選ばせて頂きますね☆
大丈夫です☆
勇者様ならどんなクエストでも達成可能です☆
勇者様にはこのクエストを受けて頂きますね。
クエスト内容
ランク S
魔族混沌騎士団の一角、草王リシェンの討伐。
報償金 金貨10枚。
それではあちらの転送石盤に触れて頂ければ草王リシェンの支配する土地まで瞬間移動が可能ですので☆
検討をお祈りしております☆
☆★☆★☆
僕の名前は錐郷玲。
こっちの世界ではレイ・キリサトという名前で生活している。
僕はこの世界に来るまでは普通の高校生だった。
しかし、不運な事故により死亡、そしてこの世界に転生した。
よくある小説のように異世界転生ラッキー記憶も継承!
魔法も使えて魔物や魔王、ファンタジー要素が盛りだくさん!
しかも実は最上級のチート能力を数多く所持していて向かうところ敵無しの無敵勇者!
異世界転生万歳!
これからの人生超安泰!
魔族の軍団どころか魔王も倒して世界を平和に導いてやる!
……ってうぬぼれていた時期が僕にもありました。
ついさっきギルドでクエストを受けるまでですけどね。
『逃がさぬぞ!勇者よ!!!』
「くっ……『未知の侵略者』!」
僕が今戦っているのは草王リシェン。
その名前通りそこら辺に生えている雑草……
草の魔物の王である。
草の魔物なだけあって炎系の魔法や攻撃が有効な筈なのだが……
『フハハハハ!固有能力封印!』
固有能力封印とかいう訳の分からない能力で僕の固有能力は完全に発動を禁じられ、
「くそったれがぁぁぁ!!!ならこれでどうだ!炎皇の舞い!」
『魔法無力化!』
魔法で攻撃しようにも魔法無力化とかいうこれまた理不尽な能力で魔法による攻撃を一切封じられてしまう。
最後の手段の剣による攻撃で応戦しようとしても、
「業竜の牙!」
『大地融合!』
大地と融合をして切断・斬撃系の攻撃が効かなくなってしまう。
例えるなら水を剣で斬っているようなものだ。
斬っても斬っても再生してしまう。
正直打つ手がない。
打倒魔族軍団?
打倒魔王?
ははっ。
そんなこと、できるわけがないだろうがーーー!!!
なんだこのチート能力持ちの魔物は!
勝てるかこんなん!ふぁっく!
僕の能力一切意味がないじゃないか!
『これで終わりだ!大地没命!』
あぁ……
やっぱり異世界と言っても一筋縄じゃいかないんだな……
何が勇者様ならどんなクエストでも達成可能だ!
軽くオーバーキルじゃないか!
もう少し、この世界を楽しんでおけば良かったなぁ……
そうして僕が死を覚悟したその瞬間、
「滅草!」
『む?新手か?固有能力封印!』
「反固有能力封印!」
『なにぃ!?あ、な!ぐぁぁぁぁぁぁ!!?』
上空から白銀の鎧に身を包んだ騎士らしき人物がリシェンを瞬く間に消滅させた。
なんだあれは?
反固有能力封印?
そんなの……無敵じゃないか!
「大丈夫?あまり見ない顔だけど……新人の勇者なのかな?」
白銀の騎士が僕の目の前に降り立つと、身につけていた兜を外しその顔を表した。
「私の名前はティルファ。ティルファ=ローエンス。君の名前は?」
「あ、と、僕はレイ・キリサト。危ない所を助けてくれてありがとうございます」
ティルファと名乗る白銀の騎士は女性で、とても整った顔つきをしており漫画やアニメに出てくるような王女を彷彿とさせる見目麗しい人だった。
「ううん。いいの。困った時はお互い様だからね♪」
笑った顔がとても可愛い。
……って何を考えているんだ僕は。
「それじゃギルドに帰ろっか?レイ君はどこのギルドから来たの?」
「グリフィン支部です」
「グリフィン支部!?世界連盟勇者斡旋ギルドのだよね?」
「そうですけど……?」
「あちゃー……それじゃレイ君もしかしてそこで勇者認定してもらったの?」
「はい」
「あー……世界連盟勇者斡旋ギルドには複数の支部があるってのは知ってるかな?」
「いえ、知りません」
「この世界には12の支部と本部を含めて全部で13の世界連盟勇者斡旋ギルドの受け付け窓口があるんだけどね、その中でもグリフィン支部は偏見と憶測で理不尽なクエストを押し付けてくることで有名なの。分かるでしょ?まだ初心者勇者に魔族混沌騎士団の相手は手に余るって。普通なら同じSランクでももっと簡単なクエストを紹介するのが一般常識なんだけど……」
………あの受け付け嬢!
デタラメ言いやがったな!
「だから気をつけてね。確かにあそこのギルドが扱うクエストは報酬が多いのが殆どだけど、その分自分から自殺しにいくようなクエストばかりのブラックギルドだから。まぁでもクエストは草王リシェンの討伐でしょ?とりあえずクエスト達成の報告と報償金をもらいに行こうよ。まだレイ君は知らないことが沢山あるみたいだからその後に私が色々教えてあげるよ」
「お願いします」
僕はこのままティルファさんに従ってグリフィン支部へと帰還し、報償金である金貨10枚を受け取った。
その時に最初の受け付け嬢に『あ!生きてたんですね!おめでとうございます』と言われた時は所持する固有能力を全てぶつけてやろうかと思ったが、流石にそれはまずいとティルファさんに止められたので、2度とグリフィン支部には訪れないと心に堅く誓ってその場を後にした。