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奴隷市


聖剣は腰に掛けておく事にして。早く祭を楽しみたい。俺はまた歩きだす。

歩く側にもやっぱり色んな屋台がある。りんごハチミツクッキーとかイカ焼きとか。イカ焼きに関してはたこ焼きのパクりなんじゃないかと思う。そんな感じで適当に歩いてたら広場に到着した。広場では簡単な舞台が設置されて、これから何か始まるみたいだ。客が半端ない。


「あ、あの………これから何が始まるんです?」


俺は近くにいたオッサンに尋ねてみた。オッサンは顎が外れるんじゃないかってぐらいにビックリしてた。ま、この世界じゃ常識の事なんだろうな。知らなくて当然だ。


「お前、知らないのか?これからど――――」


『今宵は皆様、お集まり頂いてありがとうございます!』


いい所で邪魔が入った。舞台にはタキシードを着たオッサンがマイクを使って話していた。頭にはマジシャンが被るような帽子に右目には眼帯。いかにも怪しいオッサン。


『それではこれから、奴隷市を開催したいと思います』


……え?今、奴隷って言ったのか。

オッサンの言葉に周りは何事もなく盛り上がっている。でも俺はとてもじゃないが盛り上がれない。だって人が人を飼うなんて…おかしいだろ?


「何で…奴隷なんか」


「ん? まさかとは思うけどあんた、奴隷市を知らないのか。有り得なくはないが…奴隷って良いもんだぜ?なぁ、あんたもそう思うだろ」


さっきから何言ってんのか分かんねぇよ、このオッサン。オッサンだけじゃない。他の奴らだって誰一人おかしいって思わないのかよ。


「おい、聞いてるか?」


「…うるさい……黙れ」


ダメだ。このオッサンと話してたらイライラしてきた。ほら、オッサンだって逃げるように人混みに紛れちまった。


『さて、まずは一人目。若い者とは体力が違う! 成人の大人だ。最初は100Φからっ』


舞台に連れてこられた人は見るからに大人。まだ若く二十代から三十代ぐらい。体は痩せ細り、顔や腕、足とかに傷がある。それだけじゃなく右足に重り。両手にはかせが付けられていた。表情は見えないけど俯いて小刻みに震えている。人に値段を付けるなんて…日本じゃ考えつかない。


「……500Φ!」


一人の太い声が聞こえた瞬間、まるで爆発するかのように同時に声が聞こえた。値段はどんどん上がっていく。


「1000Φ」


「なら俺は5000Φだ」


「ふん。俺様は50000Φ」


最後に男が言った50000Φという言葉で静かになった。人を金で買うなんて下らない。悲しい事にそう思ってるのは俺だけみたいだけど。


『はい、それでは50000Φで落札です! おめでとうございます』


司会者は本当に嬉しそうにそう言っていた。このままここに居たら気分が悪くなりそうだ。

男に買われた奴隷の大人。表情は相変わらず分からないが諦めているんだろう。


『さて、次は。子供といきましょう』


「うおおおおっ!」


子供と聞いてさっきより盛り上がる周り。大人より子供の方が使い道があるってか?本当に腐った連中だ。


『まだ小さいですが、使い道はあります! 雑用にするのもよし、スパイに育て上げるのもよしです』


連れてこられたのは子供。しかも女の子だ。茶髪の髪を二つに結んでいる。瞳は綺麗な空色。でも服はボロボロで破けていた。こんな小さな子まで……可哀想だ。


『最初は10000Φから参りましょう』


女の子はさっきの大人と一緒で震えている。今にも泣き出しそうな表情で。今にも「助けて」と聞こえて来そうだ。どうにかして助け出す方法はないだろうか。


「……あ、そうか!」


見付かれば一貫の終わり。でも見付からなければ全員助けられる。危険な賭けを思い付いた。


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