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宿探し


「…宿を探すってもなぁ」


アリス達と別れ、一人で町を歩いてみる。祭のせいで人が多いから宿を探すのも一苦労。

ここは人に聞くのが一番良いかもしれない。


「あの、すいません」


「はい?」


俺が声を掛けたのは若い女性。綺麗な金髪にピンク色の派手なドレスを着ていた。女性の後ろには執事と思われる若いタキシードを着た青年が立っていた。


「ちょっと聞きたいんですが…俺は今、宿を探してて。場所とか知らないですか?」


丁度良い具合の香水に緊張しながらも言った。すると女性は困った顔をして後ろに居る青年に助けを求めた。


「すみません。失礼ですが、貴方はこの町は初めてで?」


質問を質問で返された!! でも質問には答える。まだ肝心な事を聞いてないからな。


「は、はい」


「そうですか。ここ、ビィーヴに限らずですが大きい町には宿が多くあります。それも、高級から安い宿まで。なかには、料金を元の値段より多く請求するような輩がいます。ご注意を」


青年はぺらぺらと噛まずに、しかも笑顔で言い切った。しかしこの異世界でもぼったくりはあるもんなんだな。怖い怖い。


「親切に、ありがとうございます」


そう感謝を込めてお礼を言う。そして俺は再び宿探しに出た。


「……でも良いの? 奴隷の事を、話さなくて」


「奴隷の事は流石にこの国の者でなくとも分かりますよ。ですが、彼は少し危なっかしいですね」


そんな会話を二人がしていた事を俺は知らなかった。でもこの事が後にある事件に巻き込まれる要因だった。













「さて、また1から宿探しだな」


それにしても周りは楽しそうだ。カップルでラブラブベタベタと歩く人、家族連れ、子供。誰も青年が一人で歩いてるなんて事はない。


「……ん?」


少し歩いた所に俺の目を惹く建物があった。その建物はレンガで作られていて全体的に赤黒い。そしてこの世界の言葉で書かれた看板があった。

何で俺の目を惹いたかって? それは、レンガ造りだからだ。


建物の目の前に行くと色々と分かる事がある。一つは二階建て。もう一つは部屋が恐らく六個ある事。理由は外から見える窓が六個あったから。と、そんな理由。扉はレンガ造りに合わない普通のドアだ。俺はそんなドアを遠慮がちに開ける。





キィィィィ…





そんな音が響く。少し開けた後で中の様子を確認してみた。中は暗く、とても営業してるようには見えない。他にはカウンターやソファがあるがボロく、荒れてる。

本当に営業してんのか、この宿?
















『…入らないのかぃ?』














「ギャアアアア」


そんな不気味な声と一緒に目の前に顔が現れた。 突然の事に俺は思わず悲鳴を上げる。悲鳴に行き交う人達は一度、足を止めるが何故かまた足を進めた。


「ハハハハ。 客は久しぶりじゃ! ほら、そんな所に突っ立ってんじゃないよ。遠慮なく入りな」


現れたのはこの宿の女将か。でも年はかなり行ってるが元気そうな婆さんだ。

まだドキドキ言ってる心臓を静める為、深呼吸をして中に入った。


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