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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

短編

鏡の裏

作者: 砂城@ミイラ

 僕がこの世界に来てから、否拉致されてからどの位の時間が経っているだろうか。外の世界では、両親や親友など様々な人々が今も探しているだろうか。


「また、一人で考え事?それより、一緒に遊びましょ。何したい?」


 そうこの世界に住む少女が言う。少女には名はない。


「ねぇ、聞いてる?祥くん。」


 祥くん、少女にそう呼ばれているが、自分の名は刈谷(かりや) 祥太(しょうた)。ごく普通の、何ら突出している点のない中学生。


「また、指の爪剥がそうか?」


 外の世界を表とするなら、この世界は鏡の中にある裏の世界。僕はある日その世界へと少女の手によって拉致され、逃げられぬよう足枷をはめられている。


「むう。チャンスを一回あげる。私に好きと、百回言ってくれれば許してあげる。」


 少女曰く、拉致の理由は『どの男より素敵で好きで。しかし、この世界から自分は出られないからそうした。』。

 少女は拉致して直ぐから僕に目一杯好意を伝え続けた。しかし、その愛は俺が少女の言葉に生返事ばかり返し続けるうちに、いつの間にか、純粋さを無くし今のように重く病んで。結果、血を流す事は殆ど日常となりつつある。そうそう、逆らいたい気持ちは自分の中にはしっかりとあるけど、何が原因なのか逆らう事ができない。


「また、無視する。このやり取り何度目になるかな。今回は二枚目剥がそうか。いや、剥がすね。」


 ペンチが僕の爪を挟み―


「つっ。」

麻酔なしに、一気に引き剥がされる。走る激痛と傷口から溢れる血液の温かさはやはり馴れない。


「さぁ、もう一枚。」


 また、ペンチにより同じ手の爪がもう一枚剥がされる。

 この様に普通なら逆らう事ができるのだが、できない。

 少女は溢れる血液を跪いて二本の指ごと口に加え吸い取る。そして、指を口から出すとそのまま口付け。


「祥くんはずっと私の物。何時になれば、この愛を理解してくれるの?」


 少女はそう言うが、理解は到底無理。


 僕は今日も少女と過ごす。

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