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彼女のセカイ――Daydream


 夢の中で夢をみる。

 黒い星が浮かぶ空。

 朝と夜同時に存在しているその世界。

 一面には草原の海。

 これが俺の深層風景。自我と無我の境界で見る白昼夢。

 この先は、異能に届く道でありながら、その道を塞ぐように存在する世界。

 この世界こそが俺の異能の姿。

裏方仕込の大舞台デウス・エクス・マキナ

 口にするには恥ずかしい異能の名前。でも、言葉にしないと発動しないクソ仕様。



 そもそも俺自身、異能者でも何でもないタダの人なのだからしかたがない。



「いらっしゃーい、兄さん」

 ツヤツヤテカテカとした顔で出迎えるこの世界の住人にして主。

 あの日、俺を殺し繋がったその時から、この深層世界に住み着いている、憎憎しい我が妹君。

 クソ、昨日も含めて三回も起こしたものだから、はしゃいでいるのがよくわかる。心臓がすごく痛い。

「にしし、昨日今日とごくろうさま」

「相変わらずお前の顔はムカツクなぁ」

「やっぱり血かな。私は兄さんの顔大好きだよ」

にやにやと笑うその顔は本当にムカツク。

 コイツといい師匠といいキーアといい、なんで俺の周りの女はイカレたヤツらばっかなんだ。

 類友? 知らんがな。

 しかし、目の前のアホがはしゃぐ理由は分かっている。

 裏方仕込の大舞台デウス・エクス・マキナ(命名は我が妹)の能力の効果は、これまた口にするのも恥ずかしいことなのだが、その名のとおり『神』の力を行使できることだ。

 ちなみにここで言う『神』とは我が愚妹の事を指す。何を根拠にとつっこみたいが、本人的には何かしらの定義に基づいているらしく、聞けば堂々と答えてくれる。でも、傍から見ればちゅうにびょ……。

 とにかく、自称神の座に至ったと申す妹、それと同化し、自我を共有し、本当にひとつの『異能』となるのが俺が使う能力――らしい。具体的に何が出来るのかと言われると、妹曰く、何でもできると言う。

 妹からいろいろ講釈はされたが、説明されればされるほどワケの分からない設定ということだけしか俺には理解できない。

 ただ、俺が理解している部分は、能力を行使するということは、妹に求め請うということ。

 そして請われた妹は、俺を求めるということ。

 つまり、俺はこの俺を殺した女ヤンデレの相手をしなくてはいけなくなるということだ。

「しかし、風紀委員ちゃんもご愁傷様だな。お前にセクハラ三昧だったんだから」

「でも、攻撃することに託けて真っ先におっぱい触ったのって兄さんだよね」

「まあ、アレは仕方が無いだろ」

「あのまま召し上がりたかったと正直思った」

「それだけは断固阻止する。それに右手じゃないとダメだ言ったのお前だろ」

「そういうものだし。でも、ナイスおっぱいさんだったでしょ?」

「それは否定しない」

 お互いにあの時の話しから、おっぱいの話しにシフトしていく。

 エロい方面は気が合うからやるせない。

「――そうだ、おっぱいといえば桜河キーア。あのヒト、ココにきたんだった」

「マジか――って、アイツの能力ならできるだろうが、いつの事だ?」

「兄さんが引っ越しの挨拶をしに行った時、顔を合わす前のことだね。まぁ、私が門前払いしてやったけど」

 感謝しなさいと、無い胸張ってアピール。

 たしかに、コイツがおらずキーアがここに入っていたらと思うとぞっとする。

「だったらなんでキーアが俺に付きまとうのかわかるか?」

「んー、予想はつきます。でも、女として口にはしたくなーい」

「女として? 妹としてでは無く?」

「うん、女として」

 こういう言い回しをするときは、決まってめんどくさい方面なので聞き流しておくことにする。

「しかし、あの女の魂の侵略者ソウル・クラッカーの能力は私でも真似できないから気をつけておいたほうがいいよ」

「は? そうる……なんだって?」

魂の侵略者ソウル・クラッカー、私が名づけたキーアの異能」

 なるほど、いつものアレね……

 名称がないと分かりづらいからしょうがないか。

 でも、本人は『干渉』とか『接続』とか簡潔に読んでいた気が……

「――しかし、気をつけてって、お前に出来ないことは無いんじゃなかったのか」

「それはこの世界で、でのこと。アレはまた別の系統で繋がった道だから私には真似が出来ないの」

 また俺には理解できない言い回し。

「でも、お前がいるから大丈夫だろ?」

「もちろん。私はこの世界のカミなんだから」

「なら、問題ない」

 妹の屈託の無い笑顔。

 たとえ理解できなくても、今は、どこから来るか分からない妹の自信に信頼をおいておくことにする。

 どの道一蓮托生なんだから、じたばたしようが無いというのが本音なのだが。

「――さて、そろそろ満足したか?」

 ここは彼女の領域。断り無く立ち去ることが出来ない。

「えー。もっと話したいー」

「俺はしばらく顔も見たくない」

「でも、そんなこと言っても、また私を求めてしまう兄さんなのでした」

 この先、今日みたいなコトがまたありそうで、否定できないのが辛い。

「まっ、今日のところはいいでしょう。昨日も話したし。それじゃぁまた明日、ね」

「絶対ソレはない」

「ふふん。それはどうかな」

 そんな不吉な予言を最後に、世界は白んでいく。

 ここは俺の深層風景。自我と無我の境界線。

 しかし、ここの主導権を握られているのが毎度のコトながらムカツクと、醒めていく意識の中で思うのであった。

 


とりあえずここまで勢いで書いてますが、どうでしょう。

なにかしら一言でもいいので感想をくださいますと、作者は小躍りしながら喜びます。酷評だとたぶん泣きます。

でも、とにかくご意見・ご感想、誤字脱字の指摘など、なんでもいいのでよろしくお願いします。

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