妹ちゃんの今まで出てきた人物紹介――Sense of sister
黒い星が浮かぶ空。
朝と夜同時に存在しているその世界。
草原の海で寝転ぶ少女。
見上げた先に見るのは、いつもの空ではなく、浮かんでは消える幾つかの人の顔。
彼女は思う、新たな環境に変わり、兄が出会った人達のことを。彼らが兄にどのような影響を与えるのか、自身の望みにどのように影響を与えるのか。そして、思いの敵になるのかを。
彼女は瞼を閉じて再び思い浮かべる。兄の記憶から掘り起こし、自身の世界にかたどる人の姿を。
さてまずは――
■◇■◇■
萩島隆道。
能力名 裏方仕込の大舞台。
言わずもながらの人物、私の兄である。容姿は、本人は平凡普通などと抜かしているが、私と血を分けているだけあってイケメンの部類に入っている。もっとも、それを指摘したところで私の話しは聞いてもらえないのだが。
昔からおバカではあったが、頭の回転が悪いわけではない。ただ、意図的に理解しようとしないだけ。本当はすごいヒト。本当だよ。絶対だから。私が言うんだから間違いない――(この後つフォローにならないフォローが約ウン十行にわたって述べられるが、カット)。
私が住み着いてしまったことにより、感情の一部が欠損――と言うと語弊があるが、鈍いのは確かで、傍から見ると問題行動を起こしているように見えることがある。ちょっと反省。
マンガやゲーム大好きな二次元オタク。いつかは二次元で語られるような純愛をしてみたいと思っているが、一生こないと私は断言する。
織華との関係は、幼馴染と言うには付き合いが短く、三度ほどしか顔をあわせていないにもかかわらず、その内の二度は喧嘩(しかもその内一度はガチの流血沙汰)で、結局どうやって仲良くなったのか私には理解できない。
本当は異能者ではないのだが、私が住み着いているのでそう判定される。ちなみに能力は私の異能を行使できることである。しかし、多様すると私と融合してしまうため、兄さんとしてはイヤだろうし、私も避けたいところ。
桜河キーア
能力名 魂の侵略者
目下私の最大の敵。兄さんにストーカーを仕掛けている大迷惑人である。
金髪巨乳という、兄さん好みの容姿を盾にやりたい放題。兄さんも、嫌だ嫌だといいつつ、満更でもないところがまた何とも言えない。
性格はいまいちつかめないところがあるが、基本は一途。兄さんのためならマジ命賭けるほどだろう。だが、ひと目惚れ――というよりは、探究心に近い部分もあると私は感じるが……?
彼女の異能は他者の意識への干渉。一口に干渉といっても、記憶の共有に引出、さらには人格への操作、さらには意識の停止といった、まるでコンピュータウイルスの人間バージョンようなもの。でも、私の方が上位の存在なので、兄さんには効かない。ざまぁ。
伊頭巻日澄
能力名 異星へ書き換える力
目下私の最大の獲物。いつか喰ってやって、私がこいつの持つ異能に成り代わろうと思っている。
兄さんの友人である織華とそっくりな容姿。彼女はクローンであるが、遺伝子提供元が織華かどうかは定かではない。
性格は無駄な正義感を持った勘違バカ。煽り耐性が無いため、少しいじると面白いことになる。兄さんに抱きつかれたことはいまだに怒っているらしく、そのことを周囲に言いふらして兄さんのカブを下げている。粘着うざい。
イズマキ統合特設病棟で生まれたため伊頭巻の苗字をつけられている。病棟で育ったくせに病棟の連中とはソリがあわず毛嫌いしている。特に棟長とは特に仲が悪いらしい。
彼女に植えつけられている禁獣としての意思によって、この星を別の星の形へ変質・変換させる恐ろしい能力をもっていて、私はソレがほしい。
穂邑直純
能力名 空ろの殻
兄さん達が暮らす『神那荘』の管理人代理。兄さんがこの街で出来た始めての友達でもある。
兄さんはイケメンと言うが、私的には兄さんが一番である。
面倒見のいいあんちゃんな性格であるため、人見知りの兄さんも気楽に付き合うことができる貴重な存在。
兄さんと二次元のことで語り合えるイタい部分があり、更には愛犬に擬人化を望むヘンタイでもある。幼馴染がいるのに、彼女をないがしろにしているところが兄さんの恨みを買っている部分でもある。
夏海信子
能力名 紫煙の鉄猫
直純とは幼馴染。ついでにキーアの本性を知っていて尚友達付き合いができる変人。
容姿は、ロリ担当。以上。
なぜか兄さんは恨まれているし、口数少ないし、しゃべれば言葉は悪いしで、あんまりいい感じはしない。
ちなみに、両親が救世主教(ここで言う救世主は外のヒトを殺し、異能者だけの世界を作る悪魔的存在)の信者で、街で悪魔騒動が起こったことで救世主教が活発に活動をし始め、コレ幸いとばかりに家出を決行。思い人である直純の家に転がり込んだ。直純の愛犬とは文字通り犬猿。
雪風
能力名 幻視幻想
直純の飼っている白狼。兄さんは気がついていないが異能者である。
周囲には能力で犬として認識させているが、兄さんにだけはしっかりと狼としての姿が見えている。それは私の存在が、兄さんに直接干渉する能力は全てシャットアウトしているから。でも、なぜ周囲に犬として認識させているかは謎。
直純にだけでなく、兄さんにまでなついているため、信子の言うようにビッチの可能性がある。
秋村時矢
能力名 連結した蛇と熊
『神那荘』の住人。学園では生徒会長で、外では自警団員をやっている。しかも本部所属。でも悪魔騒ぎで支部に駆り出された。
髪の毛を赤に染めて、一見不良っぽくみえるが、物腰柔らかで口調も丁寧人当たりもよい。どうして髪を染めた。
婚約者もちで、兄さんはすごくうらやましがっていた。
東雲丹野
能力名 局地的災害
兄さんに喧嘩を売ってきた子。でも返り討ちにあってざまぁ。
学園で風紀委員長をやっており、三つあみおさげで、一見まじめっぽく見えるくせに、態度は悪いわ口は悪いわで残念感がすごく漂う。やっぱり眼鏡っ子じゃないのがいけないのか。
自警団本部所属だけ、時矢と一緒に支部へ。ちなみに時矢の婚約者はこいつ。
黒姫
能力名 空を切り裂く血の刃
『神那荘』の住人。日澄の友人でクラスメイト。
黒姫という名前は芸名らしく、ただいま売り出し中のグラビアアイドルをやっている。
シモネタ連発の下品な性格。酒が弱いくせに酒好きで、よく吐いている。
黒という名を使っているが、本人は白子ちゃん。病的なほどにガリガリな体格だが、それがマニアにはウケているようである。
■◇■◇■
黒い星が浮かぶ空。
朝と夜同時に存在しているその世界。
草原の海で寝転ぶ少女。
――ふぅ。
コレまで出会ってきた印象深い人物達を思い返し、少女は一息つく。
出会った人達の中で、まだいくつか思い返していないのもあるが、彼女にとってはコレで十分だった。
さて、この先、彼らはいったいどうなるのか。
少女にとってもまだまだ目の離せないことである。
各人物のプロフィールは全て妹ちゃんの主観で語っているため、本来の設定と食い違っている部分があります。
あと、能力名は妹ちゃんが勝手につけており、本人達(隆道以外)は別の呼び方をしています。