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[完]サンタ物語  作者: あいみ


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寒い国

 寒い寒い国。雪が降っています。


 寒い国の小さな村。辺りは雪景色。


 生まれたときから病弱で、5歳まで生きられない。


 優しい両親。優しい友達。少年は幸せでした。沢山の優しい人達に囲まれて。


 「うぅ…」


 みんなが泣いています。少年の命が終わろうとしていました。


 「僕ね。世界中の人を幸せにしたいんだ。それが僕の夢」

 「うん!出来るよ!きっと」


 少年の手を強く握ります。そこから伝わってくる温もり。


 すっかり痩せこけた頬。ほとんど見えない目。聞こえなくなった耳。弱くなっていく鼓動。動かない体。


 お迎えがすぐそこまできているのです。


 枯れていく声から、みんなもわかっていました。


 「ねぇ、みんな……。笑って、欲しいんだ。最後に見る…みんなの顔が、涙なんて悲しいから」


 みんなは涙を拭いて、笑顔を浮かべます。少年の最後の願いを叶えるために。


 少年は幸せ者でした。

 生まれてきたこと、友達と出会えたこと。

 こんなにも優しい人達に囲まれた人生。


 病弱のため、外に出ることは1度として叶わないませんでした。

 それでも。少年の人生は不幸ではありません。


 窓から外の景色が見られるだけで充分。

 なぜなら。家族が、友達が。いつでも傍にいてくれたからです。


 「あり、がとう。僕ね、みんなといられて、幸せ…だったよ」


 長い人生の中で5年と少ししか生きられなかった少年。

 病に蝕まれる体は常に痛みを伴っていました。


 それでも。弱音を吐くことなく、ずっと笑顔でした。


 心臓がとまり息をしなくなった少年はもう、人生の終わりを迎えたのです。


 病気が治り元気になったら、今度は自分がそういう人達を治したいと大きな夢を持っていました。


 夢は……叶います。


 天国に行ったはずの少年の意識はハッキリしていました。


 自由に動く体。脈打つ心臓。吐き出される白い息。

 全てが生きている証明です。


 窓に映っているのは紛れもなく少年でした。

 成長して大人になった。


 そうです。少年の清い魂は神様の力により、生まれ変わったのです。


 ただ残念なことに、人とは触れ合えない存在になってしまいました。


 1年間のうち、364日は小さな家で暮らし、誰もいない外に出ては空を眺めます。


 少年の家は雪に囲まれています。夏でも溶けることのない雪は、少年に幸せな時間を思い出させました。


 決められた日。きたる12月25日。聖なる夜。少年は赤い服を身にまといます。


 神様が与えてくれたのは新たなる命だけではありません。

 世界中の子供たちに幸せを配るため、ソリと空を飛ぶトナカイもです。


 「さぁ、行こうか」


 少年はトナカイと共に空を駆けます。鈴を鳴らして。

 音が聴こえると世界中の人は空を見上げました。


 降り注ぐ雪と一緒にキラキラと光る粒子が舞っています。触れると心が温かくなるのです。


 最初はそれだけでした。しかし、子供達が笑顔になればなるほど、力が強くなっていきます。

 今では奇跡を起こせるようになりました。


 昔の自分と同じく病で苦しむ人々を救える、まさに奇跡の力。


 少年はいつしか「サンタ」と呼ばれるようになり、幸せと奇跡の象徴となるのです。


 赤い服を選んだのは少年自身。真っ白な雪の中でも見つけられるように、目印になるようにと。

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