学園崩壊プログラム、発動
教室が沈黙した後、俺はただ茫然と立ち尽くしていた。周囲のヒロインたちは、まるで何かに呪われたようにじっと俺を見つめている。だが、さすがにこんな状態じゃ、どこから手を付けていいのか分からない。
「おい、ちょっと待てよ…!」
俺は思わず声を上げた。だが、ヒロインたちは一向に俺から目を離さない。それどころか、どんどん距離が縮まってきて、まるで俺を取り囲むような形になった。
「遼くん…」
愛美がまた一歩俺に近づいてきて、視線がじっと俺の目を見つめてきた。震えながらも、その目はやけに熱を帯びている。
「私しかいないわよね、遼くん…」
その言葉に、他のヒロインたちも我先にと同じように言葉を投げかけてきた。
「遼くん、私だってあなたを守りたいの!」
「私、絶対に遼くんを幸せにするわ!」
「遼くん、あなたが選んでくれるまで、待つわよ!」
「ふふ、私は待たないよ。あなたが選ばなくても、私は必ず…」
もう、何が何だか分からない。俺の頭の中は完全にパニックだ。こんなことになるなんて、予想もしていなかった。
「お、お前ら…!」
俺はひたすら後退りながら、なんとか言葉を振り絞った。だが、ヒロインたちの勢いに押され、後ろには壁が迫る。
その瞬間、教室の空気が一変した。
ガタン!
突然、空間が歪み、教室内に異常な感覚が走った。目の前で、何かが爆発したかのように空気が乱れ、ヒロインたちが一斉に後ろに飛び退いた。
「な、何だ…これは?」
俺はその異常に気づき、何とか冷静を保とうとしたが、どうにもおかしい。なんというか、今まで感じたことのない感覚が、全身を包み込んでいった。
その瞬間、天音が静かに言った。
「遼くん、これが学園崩壊プログラムよ」
「崩壊プログラム?」
「うん、学園の特異感情エネルギーが暴走して、これから学園が崩壊しちゃうわ」
「お前、何言ってんだよ…!」
思わず声を荒げるが、天音は冷静そのものだ。彼女の言葉が恐ろしいほど現実味を帯びてきた。
「ヒロインたちの感情が制御できなくなって、学園がその影響を受けているの。私が抑えていたけど、もう限界よ」
その言葉に、俺は目を見開いた。感情エネルギーが暴走している? それって、つまりヒロインたちの感情の高まりが、学園を崩壊させているということだろうか?
「なんで…こんなことに…!」
俺の心の中で焦りが膨らみ、さらに自分を抑えきれなくなった。こんな状況をどう解決すればいいのか、まるで見当がつかない。
その時、愛美がゆっくりと前に進み、俺に手を差し伸べた。
「遼くん、私があなたを救ってあげるから…」
その瞬間、俺の周囲がさらに揺れ、教室の中のものが次々と崩れ始めた。机や椅子が浮き上がり、天井の照明が揺れ動いている。
「止めろ! 愛美!」
俺は叫びながら、愛美を振り払おうとした。しかし、彼女の手は離れず、逆にその手に引き寄せられていった。
その時、みかが前に出てきて、力強く声を上げた。
「やめなさい! 遼くんは私が守る!」
「みか…!」
俺は驚いて振り向く。みかは真剣な表情で、俺に向かって手を伸ばしていた。彼女の周りに、奇妙なエネルギーが渦巻き始める。
そのエネルギーがさらに強くなった瞬間、ルクシアが叫びながらも魔法の力を使おうとした。
「私が! 私が遼くんを守らなきゃ!」
その瞬間、空間が歪んだ。魔法の力が空気を切り裂き、教室の中に異次元の風が吹き荒れる。
その強烈な風圧に、俺は身を守ることができず、壁に叩きつけられた。
「うっ…!」
その時、クラリスが冷静に口を開いた。
「遼くん、これ以上はダメよ。私が全部引き受けるわ」
彼女の手から、無数の金の力が現れ、教室内の空間を支配していった。クラリスの超財力が、今ここで発動している。
「お前、またそうやって…!」
俺は目を見開いたが、クラリスの目は冷徹だ。その手には圧倒的な力が宿っているのが分かる。
「私が全てを変えるわ」
その言葉を最後に、教室全体がさらに激しく揺れ始めた。ヒロインたちの感情エネルギーがどんどん膨れ上がり、学園内の全てが暴走していた。
「やっぱり…この学園、終わるのか?」
俺はふっと呟いた。その言葉が現実となり、学園は完全に崩壊の一歩手前にまで来ていた。