表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/13

大掃除大戦争 ~負けたら罰ゲーム(主人公が)~

「――というわけで、掃除当番は、対決によって決めます!」


学園のホームルームで突如発表された、謎の掃除ルール。


その名も「大掃除大戦争」。どうやら、各委員会ごとに掃除当番を決めるだけでなく、勝者には『掃除ではなく』お楽しみ特典があるらしい。その特典とは何か、聞くまでもない。


「何、特典って? 誰かとデートとか?」


「違う、もっと面倒なやつ」


「誰が得するんだこれ?」


学園全体がざわめく中、続々と参加者が現れる。


「遼くん。あなたが掃除の負けた側になったら――」


「大掃除大戦争、勝った者には、罰ゲームとしてお昼ご飯を一緒に食べてもらいます!」


これが発表された瞬間、全員の目がキラリと光った。


「ま、待って! 罰ゲーム!? 俺が負けたら、その罰が俺に!?」


「その通り、遼くん。君が罰を受けるのよ。覚悟してね」


その言葉に、遼くんは無理矢理ニッコリ笑顔を作る。


「じゃ、じゃあさ、俺はチーム代表として立候補する。仕方なくね、こういうの……」


そして、戦争の幕が切って落とされた。




その日の午後、体育館に設けられた会場で、各チームが集まり、早速掃除対決が開始された。


「チームリーダーは、遼くんよね」


「お前が引っ張れよ、せっかくの掃除なんだし」


俺がクラスの代表となった以上、責任は重く、でもめんどくさいというあたりが理不尽である。


「遼くん、私が使う道具、準備したわ。これであなたも完璧に掃除ができるわよ」


「な、何を……?」


クラリスが取り出したのは、さりげなく高級感溢れる掃除道具セット。まるで百貨店のセール品みたいだ。


「ふっ。無駄だ。お前には、汗と努力が必要だろう。さぁ、みんなで無駄に使ってやろう!」


日比野 みか、掃除の道具を拳で叩きつける。


「ちょっと待て!! それ、物壊すための道具か!?」


「言ったよね? 掃除道具って物を大事に使うって」


「それは本気で言ってたのか!!」


やり取りを見守っていると、他のヒロインたちがどんどん勝負に加わってきた。


「よし。これで完全無欠だ!」


ルクシアは、背後で実験道具を取り出し、何かを用意している様子だ。おい、それ、掃除道具じゃないだろう。


「絶対、やめろ、ルクシア! それが掃除に使えると思うな!」


「ちょっと待って。これが新しい魔法掃除術よ。完璧だわ」


掃除してるのか、魔法実験してるのか分からなくなったその瞬間、突如会場内に火花が散る。


「遼くん! 私がついていれば、もう何も怖くない!」


クラリスがその高級道具をどこかに投げつけ、魔法が発動した。たぶんそれは掃除用ではない、絶対に。


「え、いや、ちょっと待って!?」


「これが掃除の新しい流れよ!」


どんな流れだよ、この学園。


その後、ルクシアの魔法は少し暴走し、周囲の床を焦がし、日比野は気合いで手をあげ、なんとなく掃除のようなことをしている。


しばらくして、予想通りの事態が訪れる。




「何、これ……」


目の前には、大きな焦げ跡が広がっていた。


その隣には、クラリスの高級掃除道具がすでに焦げ、ただの炭のようになっていた。


「大掃除大戦争が……ちょっとヤバくない?」


「こんなにやる気出してるのに、無駄すぎる!!」


「何もかもがアホらしくなってきた」


俺の心は疲れ果て、意識がふわふわしている。だが、心の中では1つだけ、疑問が浮かぶ。


「そもそも俺、何でこんなに巻き込まれてるんだ?」


その時、ルクシアがキラキラした目で俺に寄ってきた。


「遼くん、今度は私の魔法で掃除してあげるわ!」


「やめろ! 他に頼め!」




気づけば、結局掃除は最終的に「チームで一緒に片付ける」方向になった。最初からやり直した方が早いのでは? という疑問を胸に、俺はチームメンバーを見渡した。


「こんな状態で、掃除しているとは思えない」


「私の魔法、たった今発動してしまったからね」


「あっち、みんな何してるんだ?」


他のクラスも似たような事態になっていたが、どうしてこうなるんだ。




放課後、ついに勝者が決まった。


「……あれ?」


「お前たち、何が一番やばいって、全部が分かってるのか?」


「勝ったのは、遼くん」


「どういうこと!? 俺、全然掃除してねぇぞ!!」


「君の無気力に、みんなが夢中になりすぎて……掃除の時間が乱れたってことだろうね」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ