最終決戦、選ぶのは誰じゃない、どう向き合うか
「――選べ、久我遼!」
その日、ついに宣戦布告は下された。
俺はなぜか、生徒会室のような、それでいてどこか異様に煌びやかな――そう、まるで、ヒロイン会議室とでも名づけたくなる空間に座らされていた。
向かいに並ぶは、5人の『公式ヤバい系ヒロイン』と、1人の『元・精神崩壊ヒロイン』
そして俺を挟んで、謎にテンションの高い司会進行役・謎の教師、志摩先生(♂)
「さてっ!本日の討論テーマはズバリ、久我遼は誰と将来を共にするのか!?で~す!」
俺「は!?」
志摩先生「視聴率が稼げるねぇ!」
俺「いや、放送してんの!? ていうか視聴率って何の話!?」
ルクシア(両手を高く掲げて)「ふふふ、ついに我と契約する時が来たか! 我が魂と交わりし真の賢者よ――!」
俺「お前はまず、語彙を高校レベルにしてくれ」
みか「な、なによ……!遼くんが誰を選んでも……わ、私は……///(拳プルプル)」
俺「殴らないで!フラグ立てたら殴るのやめて!」
クラリス「ちなみに、私が選ばれた場合、この学園は君専用に全面リフォームされるから」
俺「学園全体を持参金扱いするな」
愛美「私以外を選んだら、GPSの精度を衛星レベルに引き上げるだけです」
俺「もう既にレベル高すぎるから、やめて!?」
ナナミ「……我と交わした血の契約、忘れてはおるまい? ふふ、時は満ちた……永久なる愛の鎖を、今こそ再誓約するがいいッ!」
俺「お前とは一回、法的に話し合いたい」
天音「……茶番、終わった?」
俺「唯一まともそうな人が毒を持ってきたぞ!?」
――こうして、俺はなぜか最終選択の場に立たされていた。もちろん、俺は誰か一人を選ぶつもりなんかない。いや、できるわけがない。これだけ強烈な個性が揃っていて、しかも感情の爆弾を一人ひとりが抱えているんだぞ?
ただ一つ言えるのは――
「俺は、お前たちと『どう向き合うか』を、ちゃんと考える」
この言葉に、ヒロインたちが一斉に反応した。
愛美「……私、ずっと見守ってるからね。心の底から」
ルクシア「ならば我も、そなたと共に知恵と混沌を極めん!」
みか「は、はぁ!? そ、そっちがちゃんと向き合うって言うなら、こっちも本気で受け止めるし!」
クラリス「つまり、資本投資を長期視野で考えればいいのね。任せて」
ナナミ「ふふふ、契約条項の更新だね! 未来永劫の愛を次元超越に格上げしておこう!」
天音「……じゃあ、私ももう少しだけ、ここにいていい?」
俺「もう、みんな好きにしてくれ……」
志摩先生「ということで!選ばなかった男、久我遼くんには、新たな称号が与えられます!」
俺「まだあるの!?」
志摩先生「恋愛耐性:無限と、精神力:神域だ!おめでとう!」
俺「誰が嬉しいんだ、その称号ォ!!」
……こうして、俺の誰も選ばない選択は、奇跡的に全員を納得させ(たように見え)、一応、最終決戦は終了を迎えた。
が――
「今日の夜、寮の前に来て。個別面談だから」(愛美)
「うむ、我も個別に伝えねばならぬ未来予言があるのだ!」(ルクシア)
「べ、別に二人きりじゃなくてもいいけど!来てくれたら……その、嬉しいかも///」(みか)
「学園理事会を動かしたから、夜の時間割は変更済よ」(クラリス)
「ふふふ、血の祝祭は夜にこそ真価を発揮するのだ…!」(ナナミ)
「……順番は決めたほうがいいと思う。混ざったら危ない」(天音)
俺「……俺の平穏な生活、どこ行った?」