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第二章 幕間
薄暗い部屋の中、夜風に吹かれてカーテンがなびいている。
部屋を照らしているのは月の光のみだ。
月の光が照らすところまでしか見えないため、部屋の広さは分からない。
全てのものの輪郭がぼんやりとした部屋の中、男が一人。
彼の口元には、笑みがはっきりと刻まれている。
歩くのもおぼつかないと思われる中、彼はテーブルで手記を書き続ける。
しばらくして、彼の筆が止まる。
静寂の中彼は立ち上がり、なびくカーテンを潜り、開け放たれたドアからバルコニーへと出た。
聞こえるのは、彼の呼吸の音だけ。
今日は月が満ちている。
彼の目には月と、その周りの夜空が映っている。
夜空の星と、月。
彼は短く息を吐く。
あぁ、こんなにも上手くいくとは。
もうあの人が苦しまなくて良いのだ。
もう、終わるのだ。
終わらせるのだ。
「────ふむ、星魔戦争とは、良い字面ですな」
男はそう、独り言つのだった。