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職業【遊ぶ者】初イベントに緊張が隠せません

カリナは背があまり高くない。髪は短い緑で頬は意外にも柔らかい。服装は簡易的な鎧とぼろいズボンを穿いている。腰にナイフと背中にバールのようなものを背負っている。

【イベント《ランキング・ゼロ(Ranking:Zero)》があと1分で開始します。参加しますか?】



「いぇす」


 そういうと青いエフェクトと共に宙に浮いた画面が消えた。

 ここにいるみんながYesと答えると急に緊張感が湧いてくる。


「も、もうすぐイベントなんだね」

「このゲームで一番初めの全員参加の大型イベントだ」

「カリナ、そんなに緊張するな! 最悪私が助けてやるから!」

「だ、大丈夫だよ! 僕は一人でやり遂げるから!」


 へへっと笑うとフラムは僕の背中を叩いた。おそらく頼ってほしいのだろう、しかしここで弱音を吐くわけにもいかなかった。

 僕は何度か深呼吸をする。


「そう言えば全員参加の大型イベントって言うけど、会場はどうするのかな?」

「た、たしかに……普段は地域ごとにサーバーで分かれてるし、それこそマップ自体は広いとはいえ全員参加だとさすがに窮屈になりそうだね」

「その点は大丈夫だ」

「今回のイベントは第五階層突破が条件だっただろ?」

「つまり第五階層まで使うってことだね!」

「それにマップは拡大されている。人にすぐ会うとは思うがパンパンになることは無い」


 RCOのマップで人が窮屈になっているイメージをするとなんだかおもしろい。

 しかしそうなると様々な場所で戦いが起きるということだろう。その人にとっての得手不得手だってあるだろうし、あまり平等性に長けているわけではなさそうだが……


「そうなるとスポーン地点とかリスポーン地点はどうなるの? 固定だったら溢れない?」

「そこも人工知能を使っているらしい。人の少ない場所を計算で割り出して倒れた1分後にリスポーンって訳だ」

「じゃあスポーン場所は固定じゃないんだね?」

「あぁ、それに戦闘中じゃなきゃ階層の移動は自由、それでいて戦闘中でも初めの町から階層の移動ができる」

「すごい……ほんとに自由度が高いゲームなんだね」

「まぁ初リスポーン後は時間たたないと階層の移動はできないけどな! 故意にチーム作ったり人気のある場所での乱戦を避けるためだとか」


 そうなれば僕はできる限り三階層にいたい。

 他の階層であれば見晴らしがよく翼をもつプレイヤーに奇襲される恐れがあるし、【毒壇場】から逃げられる可能性も高くなる。

 なによりテイムモンスターは第三階層が産地のものが多い、場面を制する方法は地の利を生かすことだろう。



「例えばもし戦うとなればカリナは第三階層だろうな!」

「そう言うフラムはどこが向いてるんだろう?」

「私は四、五階層だろうな、空飛んで奇襲するのが手っ取り早い!」

「私も四階層だね! モンスターがいるかは知らないけど、フェニックスの子たちが生きるってものよぉ!」

「安心しろ、モンスターの自然湧きはボスに限り有効だ」

「えっ」


 できるだけ戦いたくないなと思う反面、ボスを味方につけた時の安心感は計り知れないだろう。

 ほら、フラムがにやにやと笑ってる。あの顔は絶対何か企んでいる、魔族と言うより魔王みたいだ……

 そんなことを考えていると、一つ疑問に思ったことが浮かんだ。


「ねぇフラム」

「ん? どうした?」

「フラムの種族って――」

「おい、イベント。もうすぐ始まるぞ!」

「え、あっ! うん!」


 アントは「頑張れよ!」とみんなを鼓舞すると、レッカは「任せといて!」と言ってウインクをした。

 フラムは「目指すは一位……」と殺気に満ちた表情を浮かべると、次の瞬間目の前が真っ暗になった。


「こ、ここは!」


 気が付くと、僕は第一階層の洞窟の中にいた。

 目の前には大きなモンスター。僕の五倍以上はある大きな体、全身青い艶のある綺麗な肌、何処を見ているのか分からない目線。


「おぉ、大スライム」

「……えっ?」


 それと、小さな少女がいた。



大スライムのとてつもない体力は、初心者の間で運営の設定ミスを疑われているそうだ……

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