職業【略奪者】戦闘を混沌に変える
ニーナは猫又、二本の尻尾を持っています。
砂埃が立ちレッカの姿が見えない、彼女は防御に関する技は持っていなかったはずだ。僕はそんなレッカを残しつつ二人の元へと戻っていく。
「あ、あれ……?」
「危なかったねー!」
「ドッペルゲンガーの能力は偉大ってやつだ」
アントは魔法攻撃を相殺しつつ話す。二人のもとにレッカがいた、おそらく【複製】で何かあった時の為に一人残しておいたのだろう。
「でも強さは二分の一だな……レッカはアントの後ろだ!」
「まて、あんたは戦うな! あんたは最終手段、勝手に動かれると面倒だ」
「その面倒を起こすのが私の仕事ってことで」
「……レッカ、バフを。カリナは逃した敵を投擲自爆でフラムのサポートだ」
「う、うん!」
「動物族の9人がなんだ! PvPで何人倒したっけな! 【翼飛行】【加速】」
一瞬にしてフラムの姿が見えなくなった。動物族がいる方を見るとすでに3人が倒れ、4人が宙でゆっくりと舞っている。モーションダガーの効果だろう。
魔法攻撃がフラムの方を向くがすでに遅い。
「【紙一重】」
「防御ペラペラじゃねぇか!」
気が付くと宙に浮いていた4人は地面へと叩きつけられ動物族はすべて倒れていた。それどころか杖を持った2人、本を持った3人をすでに倒している。
「下がれ! かみ――」
「させねぇよ!」
ニーナは不意に紙を持っていたが、それは一瞬にして粉々になった。フラムがニーナの胸ぐらをつかむ。
「【猫騙し】」
「おっ!?」
すると掴んでいたメイド服がひらひらと風になびく、ニーナはメイド服を着たまま後ろの方でたたずんでいた。
さらに魔法攻撃がフラムを包む。
「ド低能が」
「フラムっ!?」
アントが精いっぱい後ろから攻撃を相殺するが間に合わない、しかしフラムの笑い声が聞こえてくる。
「お前、俺を馬鹿にしてるな?」
「私のサイン入りだ」
そう言うとフラムは二つに裂かれた紙を地面に捨てた。フラムは【読者】を盗んでいるため【神契り】が使えるのだろう、一切の傷を受けずに現れた。
「まだ戦うか!? こっちは時間が経って大スライムが召喚可能だ!」
「そうだな、いい戦果を得た。引いてもいいけど……」
そう言うとニーナは剣を握った。
「一度正面から戦ってみたい」
フラムはカリナよりもゲームが上手いですが、勝負運はありません。




