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職業【読者】優位で魔法を連発する

メイド服は手元で本を開いてこちらをじっと見つめる。

 メイドの彼は杖や本を持った人たちに指示する、すると数多の攻撃がフラムのいる方へと飛んでいく。

 赤い火の攻撃や通常の魔法攻撃がいくつも飛んでいくのが分かる、しかしアントはそれに対し冷静に大きめの銃を構えた。


「な、なにしてんの……」

「相殺できるんだ、私のモーションダガーでもできるけどなー」

「すれすれまで引き付ける余裕はない」

「ちなみに魔法には魔法で打ち返すべし! 威力が負けると銃弾が消えちゃうことがあるからねっ!」


 そう言うとアントは引き金を引く、連続した発砲音がつんざくと同時に空中で何度も爆発が起きる。

 攻撃に攻撃を当てるというイメージはできない。それが銃でできるものなのだろうか?


「ちなみにこれは物理の銃だ」

「え……?」

「安心しろ、威力はこっちの方が高い」


 向こう側の魔法使いたちにどよめきが走る、やはり攻撃を攻撃で防御するということは普通じゃないのではないのだろうか……


「というかフラム、あのメイドの人知ってる雰囲気だよね」

「あぁ、『ニーナ』って名前。なんとなく絡んだら【略奪者】のスキル発動しちゃったんだよね」

「発動しちゃったって……」

「あんたはよく面倒を起こす」

「言い方が悪いよアント君、勇気があると褒めてくれ」

「何騒いでる、死にたいんだったら殺してやる」


 ニーナの声がこちらまで届く、それと同時に魔法の勢いが強まる。

 不安に感じつつも何もできない。するとレッカが肩を叩いた、それと同時に僕たちの周りにフェニックスの子が飛び回る。


「レッカの防御力バフで多少の攻撃なら無傷だろう」

「魔法攻撃力、魔法防御力共に『ツキ』のお手の物!」


 身体から薄く青い光が漏れているのが分かる、

 どこまで信用していいのか分からないが、受けきれるならば攻めに転じることもできる。

 そう考えていると途端に、攻撃が一瞬止んだ。


「あれは厳しいな」

「何あれ?」

「【紙一重】だな、読者のスキル。私も使えるけど」

「攻撃量で負けてる。こっちが使っても無駄なあがきになるな」


 ニーナの前線に薄く青い光を放つ透明な膜、おそらくあれが【紙一重】何度も壊される演出を起こしているがその度に再度展開されているが分かる。


「どんな威力の攻撃も受けきる代わりに一度で壊れる仕様だな」

「アント様のふるおーとじゅうってやつで壊し放題じゃないのか?」

「中途半端に攻撃して展開されて回復される、それに攻撃を受けきるので精いっぱいだ」


 実際話している間も攻撃を銃で相殺していた、しかし弾の補充がたまに必要なようでその時だけはフラムが攻撃を受けなければならない。

 ただ短剣を振り回しているように見える。フラム自身もにやにやと笑いながらやってのけるが、そこそこのスピードで飛んでくる攻撃判定のみの魔法に攻撃を与えるのは難しいだろう。


「カリナ、レッカ。数を減らせるか?」

「分かった」

「了解!」


 僕たちは途端に走り出すと同時に僕は剣をレッカはモーニングスターを構えた。いつもより走るスピードが速く感じるのはレッカのバフの影響だろう。

 それを見越してかニーナのチームから9人程度の動物族がこちらに走ってくる。手元には剣や爪など、物理に特化した人たちなのだろう。僕たちはそんな動物族をギリギリまで引き付けるとスキルを発動する。


「【毒壇場】」

「【模倣】」

「【テイム飢餓スネーク】」

「【複製】」


 僕がスキルを使うと同時にレッカがドッペルゲンガーの能力で数を増やす。

 毒壇場で相手が怯んだ隙を狙い、蛇が一人と逃さずに噛みつくことにより麻痺をうつす。気が付くと、全ての動物族が動けなくなっていた。


「少しは使えると思ったんだけどな」


 ニーナは猫耳を立てると目をつむった。


「【鈴音】」


 不思議な気分になりながらも周りを見ると動物族が立ち上がろうとしていた。

 おそらく一時的に状態異常を無効化することができるのだろう。レッカはそんな彼らにモーニングスターを振る。


「おあがりよっ!」


 僕もいい一撃を与えたと思えていた。しかし……


「えっ」


 剣で根元の鎖を押さえられた、音を立てて鉄球が地面へと着地する。レッカに隙ができてしまった!

 レッカに向かって動物族が3人ほど特攻する。


「レッカっ!」

「弱いな、亜人族」


 ニーナがそう言って微笑した。


動物族は基礎ポイントが高いため、攻撃力が普通よりも高い場合があります。

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