表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/69

職業【遊び人】所持金に悩む

種族ポイントでは初めに設定した種族の基本的な能力の向上に使います。

人間族では視力の向上、聴覚の向上。動物族では攻撃力の向上、特殊な攻撃スキル。

実は種族ポイントで一番得をするのは魔族だったりして……

「素早さ1でも3分とかからない距離、親切設計だねー」


 第一階層の町は広さによらず沢山の人で賑わっていた。それもそのはずリリースしてまだ五分と経っていないのだ。

 VRMMOの中では時間はリアルよりもゆっくりと流れている。そのためVRMMO内での一週間がリアルでは一時間なんてこともあり得る。こんな幸せなことを可能にしていいのか、VRMMO開発部は何らかの罪で捕まらないか。などと考え事をしていると、何やら人だかりができている場所を見つけた。そこへと向かうと大きな木造の看板が町の中央に立っていた。


「クエスト……要するにこれで力を貯めろってことね!」


 クエストと書かれた看板、そこまで行くと看板を見なくても何が張られているのかが理解できた。なんだか妙に気持ち悪い気分をよそにクエストを眺める。

 モンスターの素材集め、特定のスキルを使うクエスト、時にはプレイヤー同士での交渉などが見られた。しかしどれも推定レベルが5以上に設定されている。


「クエストは当分先か……」


 そう思い町の外へと行こうと踵を返した瞬間、大事なことに気が付いた。


「そう言えば、お金は?」


 慌ててステータス欄を開く。

 そこにはいつも通りのステータス画面。しかし画面の端に三角形のものを見つけた。それをタップすると画面がスクロールした。



【ステータス】


 カリナ

 Lv.2


 所持金    5

 基礎ポイント 0

 種族ポイント 0



 アイテム

【すべて:1】

【素材:1】

 スライムのコア



「基礎ポイント、ここに眠ってたのか!」


 ステータス画面に基礎ポイントの数が乗っていないと内心思っていたがこんなところにあったとは。

 しかしなんとも無様なステータスだ。基礎ポイントもなければ種族ポイントもない。唯一目立つ数字は所持金の5。これではポーションも買えないではないか。

 このままでは当分の間はスライムにぼこぼこにされるがままになりそうだ。しかしどうしようもない、この所持金はおそらくスライムを倒した際に得たものだろう。

 僕はとぼとぼと足を進めると初期リスポーンへと向かっていく。

 初期リスポーン近くまで歩を進めると、またもやスキルの取得音が脳内に鳴り響く。



 スキル

【持久力 LV.1 獲得】【歩行者 獲得】



 僕はステータス画面を開いてスキルの概要を見た。どうやら持久力の方は素早さが常時3上がるらしい、これは普通にありがたい。

 問題はもう一つの方だ。



 スキル

【歩行者】

 50歩歩くごとに所持金+5



「なにこれ? すごいお得じゃん! 取得条件は……?」



 取得条件

【歩行者】

 一度のログインで5000歩歩く



「五千歩……?」



 おかしい、明らかにおかしい。まだ初期リスポーン地点から町を往復しただけだ。それなのに五千歩なんて数歩いたわけがない。不思議に思い【七転び八起き】の取得条件も見る。



 取得条件

【七転び八起き】

 70回同じ敵に倒される。



「……」


 舐めていた。おそらく職業遊び人の効果なのだろう。しかしこんなにもハンデを与えてくれるのか! どんどん想像が膨らむ。

 スキルやスキルの取得条件は基本的に運営がベースを作り、人工知能がそれをもとに大量のスキルを作る。しかし理論的に言えば似たようなスキルは一つにまとまり、取得条件の甘すぎるモノや難しすぎるモノは基本的に淘汰される。つまりこのゲーム内にあるスキルは誰もが努力さえすればゲットできる設計なのだ。

 スキル【遊び人】は基礎ポイントや種族ポイントで得られる基本的なスキルをすべて無視する代わりに、皆が見つけられないような難解なスキルの取得を進めるスキルなのだろう。面白い、これを使えばいろんなスキルがゲットできるのではないだろうか? 誰もが見つけていないスキルをゲットしてそれを使いこなすことができればPVPでも強くなれる。


「胸が躍る……!」


 そうとなればスライムに攻撃されに行こう! 僕は駆け足でスライムを探し回った。

素早さではピッチが上がるわけではなく、歩幅が上がります。

つまり素早さを上げても【歩行者】で稼ぎまくることはできません。逆に言えば、上げすぎると一歩で目的地に着くため得しません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ