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職業【遊ぶ者】カウンター技を得たいです

チーム実装まであと3時間

「これは……」

「錬金術師ってほんとすごいね」

「うおぉおおお!!」


 レッカは全力で頭の上にある武器を振り回す。黒くて丸い鉄球に、幾本もの棘、鎖でつながれたそれは俗に言うモーニングスター。

 大きさはスライムと同じくらいでそこまで大きくは無いのだが、それ以上に恐怖感を煽る見た目をしている。

 アントは全力で引いているが、フラムは目をキラキラと輝かせてモーニングスターを振り回すレッカを見ていた。


「すごい、すごいな! すごいなレッカ!!」

「でしょ! どんどん褒めたまえ!」


 対人用と言うことで僕たちは作戦を練った。これと言ったテンプレートは無いもののなんとなくを構想を考えることができた。一番の要因は彼女がいることなのだが……



 スキル

【略奪者】

 プレイヤーやモンスターのスキルを複製し自らのスキルとする。ただし、自己的にスキルを得ることができない。



 説明文自体は変わっていないが、ようは承諾をスキップして奪うことが可能になった。


「【略奪者】のスキル、さすがに強すぎるよね……?」

「でも条件があってな、取得条件を私も達成しなくちゃならないんだよ」

「それ、二度手間になっただけだよね……」

「ま、それ以上にすごいことが発覚したので無問題!」


 そう言うとアントは目を背けた。何をしたんだろうか、途端に話が気になりだした。

 しかしゲームに対してこれ以上のない努力をするフラムにとって、これ以上ないスキルだろう。正直仲間にいるだけでも怖い。


「これまでどんなスキル取ってきたの?」

「【魔法使い】【商人】【読者】それと強くないのを3つくらいだ」

「だいぶとったね……」

「錬金術師は取らないでね!?」

「盗りたくても盗れねぇよ」


 頭を掻いて笑うフラムにレッカは頭をひねった。そりゃ大量のスキル使用が必要だからだろう。しかし本人は分かっていなさそうだ、まるでスキルを何度も使用するのが当然のように考えるのはやめてほしい……


「あとはカリナだけだが……」

「問題ない! この私がいるからな!」


 そう言うとフラムはこちらに向けて手を伸ばした。僕はそれをじっと見つめる。


「カウンター技、反射技って言うのは相手の攻撃を受けきりその技を相手に返す」

「それがどうした」

「つまり、相手のダメージを無効化しつつこっちが同じ技を出せばそれはれっきとしたカウンター技と呼べなくないか?」


 フラムの手のひらの先に魔法陣が現れこちらに謎の光が放たれた。そしてそれはエフェクトと共に消えていく。


「【商人】特有のスキル【売却】スキルを他人に与えることができる」

「メリットは……!?」

「なし!」



 スキル

【我慢 獲得】

 1ダメージの攻撃を無効化する


【模倣 獲得】

 相手プレイヤーの使う特定の行動(攻撃、魔法、スキル、ets……)を一時的に使用可能


「模倣……模倣!? それ私のっ!」

「ドッペルゲンガーの能力だ、他のやつから奪ったんだ」


 ニヤニヤと笑うフラムに頬を膨らますレッカ。とりあえずその重たそうなやつ振り回すのやめないのと言う茶々は、楽しそうな彼女にはとても言えない。


「なるほど、これなら魔法攻撃も跳ね返すことができる」

「天才と呼びたまえ」

「さすがだ、よくやった」


 フラムは褒められることを想定していなかったのか、驚いた表情をしたのち口角が徐々に上がっていった。分かりやすい奴だ。


「『チーム』実装まであと3時間、各々で対策でもしようか」

「了解! 私はカリナとアントの武器づくりー!」

「じゃあ僕はスキル集めかな……気になることがあるんだよね!」

「頑張れ頑張れ! 私は――」

「あんたはログアウトして寝ろ」

「えっ」


 そう言うとアントはインベントリから拳銃を取り出すとフラムの頭に突き付けた。


「0時再度ここに集合」

「どうしてそう脅すんだ……」

「別に、そうでもしないとあんたは飛んで逃げるだろ」


 そう言うとフラムは画面を開いてログアウトした。消える直前に手を振っていたため、なんとなく僕も手を振り返す。

 アントとフラムにはもう少し仲良くしてほしい。


「じゃあ行ってきまーす」

「あとそろそろその武器降ろした方が……」


 レッカはモーニングスターを振り回しながら歩いて行った。


「狂ってる」

「ほんとにね」


【我慢】は種族スキル、【模倣】は【略奪者】で奪ったものです。

ちなみに職業スキルは転職後ならその条件を、転職前なら転職の際の条件を参考に奪うことができます。

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