趣味【FPS】とんでもない罪悪感を感じてます
これは唯一ランキングに乗ってない彼のお話
俺はゴーグルを外すと傍に置いてあったエナジードリンクを一気に飲み干した。
「やってしまった……」
外を見ると暗く、なんとなく夜になったのだと理解する。
リアルで遊ぶ友達はいなく、たまにネッ友とFPSをする程度。正直何が楽しいのか分からなくなりつつあった。
FPSに飽きてきて初めてみたVRMMO、初めの方は意外に面白く汎用性も効くなと思っていた。
そんななか、VRMMOで合った二人の笑顔になんとなく惹かれてなんとなく行動を共にしていた。
正直ものすごく楽しかった。なによりカリナが自爆して敵を倒した瞬間は心が激しく鼓動を打った。
ゲームとはこんなにも楽しいのか、仲間と共に同じ目標を達成することがこんな気持ちなのかと感じた。
それからというもの、俺はできる限り彼女達に嫌われないようにした。
「失態だ」
いてもいなくてもいい、ただ粋がってるだけのFPSオタクに名前を呼ばれるなど屈辱だろうと思い、俺は思わず逃げてしまった。
「取り戻そう」
そう思いパソコンを開くとゲーム関連の情報をSNSで調べた……しかしそこには奇妙なことが書かれていた。
「チーム結成しませんか……PvP上位3プレイヤーの討伐に向けて……!?」
今日の晩から実装される『チーム』、言ってしまえばギルドのようなものだが当然メリットだってあるのだ。
しかしこれはまずい……
「たしか3位にフラムがいたはず」
調べていくうちにどんどんと分かっていく。チームは三つ、『勇者討伐パーティ』『天文学者討伐パーティ』『略奪者討伐パーティ』集まっている数で言えば断然『勇者討伐パーティ』の方が多いが、それでもフラム討伐には24人も集まっている。
おそらく24人までならフラム一人でも倒せる可能性はある。しかしそれ以上増えればフラムは目をこじ開けて発狂してしまうかもしれない。
つまりは俺達三人がフラムの手伝いをしなければならない。フラムとチームを組んだ4人のパーティで対抗すれば勝てることができるだろうか。
それ用のスキルや、対人用の武器を考えなければならない。カリナには武器などの装備を、レッカには相手をまとめたり拘束する用の武器が必要になりそうだ。俺はそれを後ろから牽制すれば……
「狂ったな、俺……」
とりあえず狙われているということをフラムに連絡しつつ作戦を考えなくてはならない……
それより先に、レッカに誤らなくては。
「心の中で名前を呼ぶ癖、やめないと」
そんなことを言いつつ、俺は再度ゴーグルをつけた。
レッカさんごめんなさい。錬金術師、すまん。錬金術師、名前で呼んだ件だが……
うーん……




