職業【上級銃士】スキル取得に熱を入れる
カウンター技……それとも魔法に対する特攻……
【周回 獲得】
周回5回目で名前そのまんまのスキルが手に入った。
二人はこちらを振り向くとこっちに駆け寄ってくる。
「何が手に入った」
「どんな効果があるの?」
スキル
【周回】
Lv.と基礎ポイントをリセットする代わりに一時的に攻撃力・魔法攻撃力をLv.×100%
「なんだ、攻撃系スキルじゃないじゃん……」
「まぁいい、次に行こう」
「ちょ、ちょっとまって!」
そういうとアントじっと僕の方を見つめる。
何となく見つめられると怖いが話を聞こうと真剣になっているのだろう、不器用な彼を見ているとなんとなくホッとする自分がいる。
「このまえ、僕の役割は『とどめを刺すこと』って言ったよね」
「あぁ、もし俺らがチームを組むならな」
「このスキル、役に立つんじゃないかな……?」
アントは顎に手を当てると黙ってじっと虚無を見つめる。
不思議そうにこっちを見つめるレッカに申し訳なくなるもののチャンスではないか心が高ぶる。
「レッカ」
「……え! はいなに!?」
アントが人の名前を呼んだ。
瞬間何も考えられなくなった。
「……すまん、錬金術師。カウンターをするときに倍率がかかる武器の作成、できるか」
「お、お安い御用よ!」
そう言うとアントは銃をしまって目を泳がせた。
「俺はカウンター技をゲットできないかリアルで調べてみる。すまんな」
エフェクトをまとって消えていった。自然とレッカと目を合わせてしまう。
「今……」
「名前呼んでたね」
別に名前を呼ぶことなんて普通のことだ。しかし、今となってはアントが職業ではなく人を名前で呼ぶことに対してなんとなく違和感を感じる体になっていた。
レッカはにやにやと口角を上げた。
「アントってもしかして」
「……?」
「意外と初心な男の子だったりして?」
「そうなのかな、正直不器用程度にしか思ってなかったんだけど」
レッカは階層ボスエリアの真ん中まで走りだした、僕はそれに付いて行く。
何となく楽しそうなレッカを見て僕も口角が自然と上がる。
「あいつ、カリナのスキルについて本気で悩むし! フラムとの職業進化に一心に付き合ってたし!」
「かっこいいってこと?」
「うんそりゃ最高にね! 実はできるやつなんだよアントは!」
そう言うとレッカは僕の腕を掴んだ。
小さい手が僕の腕を覆う感覚にいまだ慣れない。
「いこ! 先にカウンター技ゲットして、アントを驚かせちゃお!?」
「了解!!」
しまったしまったしまったしまった




