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職業【遊ぶ者】夢現を実感する

アントがカリナを「遊び人」と呼ぶ理由は「遊ぶ者」だと語呂が良くないからです。

 第四階層のボス討伐が開始された。


「……」

「行くぞカリナ」

「どうしたの?」


 その瞬間、赤い鳥が派手な演出と共に地面へと倒れた。

 どうなっているのだろうか? バグだろうか、それともこれが正規の登場演出?


「これって……」

「第五階層は一面海だ、しかし先に第四階層で火にかかわる技を――」

「倒したの?」


 僕は何も考えずにそう発していた。

 それもそのはず、赤い鳥はエフェクトと共に消えていく。そして派手な効果音が鳴り響いていた。


「あぁ、倒した」

「私の特攻のおかげー! ぶいっ!」


 そう言うとレッカはピースをこちらに向けた。目が点になるとは、おそらく今の状況を差すのだろう。

 僕は今やっとアントがスナイパーを使って鳥に一撃放ったことを理解した。


「そっか、レッカは錬金術師だもんね……」

「そうだともそうだとも! つまりは? 私の手にかかれば魔獣特攻も+2000%にまでなるのだ!」

「そもそも俺のスキルも高倍率だ、錬金術師の特攻があるおかげで一瞬で突破できることに感謝だな」


 そう言うとアントとレッカはハイタッチをした。こんなにも仲が良かっただろうか、笑みがこぼれてしまう。

 しかし、銃をインベントリにしまうアントを見て、なんとなく自分は何もできなかったとため息が漏れる。


「どうした、遊び人……」

「二人共すごいね、僕は何もできてないよ」


 二人はこっちをじっと見ると小さく笑った。

 何がおかしいのだろう、アント口角を上げたまま話しかける。


「仕方のない事だ、遊び人にはまだ戦闘系のスキルがほとんどない」

「【毒壇場】も攻撃技じゃないしね!」


 レッカは僕の腕を掴むとじっと目線を合わせてきた、なんとなく耳が熱くなる。


「私は錬金術師だから強い装備を作る! アントは銃士だから敵を撃つ!」

「じゃあ僕は……」

「遊ばなくちゃね! スキルをもっともっとゲットしなくちゃ!」

「俺から提案がある」


 アントは階層ボスが始まる敷地内へと入ってきた通路を戻っていく。


「遊び人には近距離と遠距離に対する技のカウンターや特攻を持たなければならないと思っている」

「他人事じゃないの……?」

「これまでのことを全てなかったことにしたいのか」


 眉間にしわをよせてそういう。全力で首を振るとアントはため息をついた。


「あんたにはこのゲームを楽しんでもらいたい。遊び人のしたいことがあるならそれを優先するのみだ」

「カリナ、どうする?」


 じっとこっちを見つめ続けるレッカに対し胸が激しく鼓動を打つ。

 二人はどうしてこんなにも親切なのか、僕は罪悪感と信頼を強く感じて胸が躍った。


「アント、レッカ! よろしく頼むよ」

「それじゃあまずはボスの周回でもしようか」

「……え?」

「何がゲットできるか気になるね!」

「……」


 もしかして、二人共僕で遊んでるのではないのだろうか。

 そんなことを思いつつも、僕はアントの後ろへと歩いて行った。



RCOの周回は、ゲームをやり込む人向けの所業です。

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