職業【銃使い】職業を進化させる
職業進化を行えば先は無いと言っても過言ではありません。しかし、プレイヤー次第でさらに強くなることが可能です。
「……YES」
そう言うと共に私は大スライムを召喚し翼を広げアントから距離を取る。
「どういうことだ!? 【魔法使い】は……」
「【先導者】のスキルはあまりにも弱すぎる、そう思ったことは無いか?」
「それは……」
「スキルは普通遊び人のようなペースで手に入るものではない、本来は一日に一個手に入れられるか入れられない程度。そしてそれがその人の戦い方に大きく関わる」
アントは大スライムから歩いて離れる。アントの話が気になり攻撃ができない。
しかし本来の強さを教えると聞いた今、興味が断然優先される。
「そんな希少な『スキル』と言う枠を無くして人の真似しかできない【先導者】はあまりにも弱い」
「しかし――」
「けど、それは大きく異なる」
言葉を遮られた。私はステータス画面に映るスキル【魔法使い】を見つめる。
「本来職業スキルというものはドッペルゲンガーの【模倣】でも他の複製魔法でも真似することができない、プレイヤー唯一のスキルだ。しかし【先導者】は人の職業スキルを得ることができる」
「……っ!」
「つまり、【先導者】本来の強さは相手の職業スキルを複製し使用が可能な点ということだ」
スキル
【魔法使い】
魔法使い特有のスキルの習得が可能。ただし、物理耐性-500%。
基礎ポイントを使うことによって魔法使いのスキルを習得できるようになっている、アントの言っていることは本当……しかし気になる点がある。
「お前は【銃使い】のはずだろ……?」
「そうだな……訂正しよう」
そう言うとアントは銃を捨て拳銃を装備した。途端に周りに赤やオレンジの派手なエフェクトが舞う。
「今、【銃使い】になった。そして……」
さらに大きな効果音と共に再度派手なエフェクトが現れる。しかし見たことのないエフェクトだ、しかしこの演出が何なのか理解してしまう。それはこのゲームをやり込んだ誰もが分かる、皆が目指し憧れるもの。
「職業を進化させ、【上級銃士】となった」
破裂音と共に大スライムがエフェクトをまとって消える。
ありえない、体力500の大スライムを一発で倒すなんてレッカのように特攻を詰まなければ不可能。
「そもそも【銃使い】は銃を握らなければ銃使いではないだろう?」
「でも銃を……」
「あれは杖だ、銃じゃない」
なぜ職業進化の条件を知っているのか、彼はこのゲームを理解しすぎではないのか。
不思議なことが多すぎる。しかし、戦闘の開始を飲んだことにより戦うことを強制されている。
私はさらに高度を取りアントの周りを円を描きながら飛び回る。少しでも狙いずらくしなければならない。
「よかったな、職業スキル【魔法使い】を手に入れられて」
「何がよかっただ! これも戦略の内か?」
「そうだな、強いて言うなら」
そういうとアントは口角を上げ拳銃を捨てると、スナイパーを手に取った。
「【魔法使い】を得たことで【上級銃士】を得れなくなった」
「どこまでが思惑……!?」
アントはスナイパーをこっちに向けじっと構える。
撃たれてしまう前に攻撃を仕掛けなければ。
「【赤い眼】【草色ミツバチ】」
「これは錬金術師と戦った時に得たスキル【ファントム・ショット】」
「……だせぇ名前」
蜂が一撃で消えた、それと共に負けを認めてしまった。
おそらく今このゲームで最も強いのではないかと考えてしまう程に絶望感を感じてしまう。
こちらに向けられた銃口からは、この世のものとは思えない気配を感じた。
「そしてこれが遊ぶ者と戦った時に得たスキル」
銃口が光り輝く。飛び回る私の方が断然有利のはずなのに、その弾が絶対に当たってしまうことを予感した。
「【百発百中】」
職業進化を達成したのはこれで8人目となります。




