職業【遊び人】仲間と共に腕を磨く
ステータスの+100%は二倍、+300なら四倍です。
「作戦会議」
アントは銃を取り出しそう言った。
「おぉ! なんだかゲームっぽい!」
「逆になんでここまで考えずに上ってこれた?」
「……」
ついレッカと目を合わせてしまった。
第一階層ではたまたま敵がスライムだったため、大した攻撃もせずにクリアすることができた。第二階層では毒で相手を弱らせて倒した。
しかしどちらもたまたまクリア出来たも同然、第二階層での攻略はほとんどフラムの案だった。何も言えなくなり沈黙が続く。
「まぁいい、とりあえずは第三階層のボス討伐だな」
「と言っても、どうするの?」
「俺がメインアタッカー、遊び人と鍛冶屋は後ろで魔法を使ってサポート」
「サポート?」
「順を追って説明する」
そう言うと銃を空に向けて撃った。連続した銃声が鳴り響く。
それと同時にアントから青いモヤが出ているのが分かった。
「俺の銃はMPを消費して打つ。つまり今回は魔法中心の遠距離で戦う」
「魔法っていうのは?」
「まずは俺が銃で敵の体力の削っていく、そして二人は後ろから【ファイア】で牽制を行う。【ファイア】で怯んだ敵に、俺が魔法を使いとどめを刺す」
「でも、僕MP少ないよ……?」
「それに、当たるか分からないじゃん!」
「ドッペルゲンガーのスキルを使う」
「【複製】ね!」
そう言うとアントは銃を上に投げた。その瞬間、レッカの手元が光る。エフェクトが消えるとそこには三つの銃が落ちていた。
各々がそれを拾う。銃なんて初めて持ったが意外にも重たい、それにこれから弾が出ると思うと少し怖くなる。
「【複製】の効果は?」
「プレイヤー、モブ、アイテムの数を任意の数増やす代わりにステータスがその分弱くなる、だって!」
「2つなら2分の1の強さに、3つなら3分の1の強さになるってこと?」
「そう! とはいっても実はそこまで有用なスキルじゃないんだよね」
そう言うとレッカは頭を掻いた。確かに鍛冶屋からすれば必須かもしれないが、攻撃する分に関しては一つで十分だと感じてしまう。
「この銃はMPを100%増やしてくれる、その効果は?」
「残ったままだね、もちろん効果は3分の1にもならない」
「じゃあ決まりだ、二人は後ろからその銃を使ってファイアを打て、消費MPは5だから……」
「8発撃てるね」
「同じく!」
「基礎ポイント振ってないのか」
「ほとんどHPに振ったんだっ!」
「保身に守る鍛冶屋か、まぁ無理もないな」
アントは腰に銃をしまう。まるで作戦は以上だと言わんばかりだが……
「作戦会議、終了……?」
「馬鹿言えこれから射撃訓練だ」
そう言うとアントは10m程離れた後じっとこっちを見つめる。
「俺を撃て」
「え!? でも……」
「大丈夫、初めの内は多分外す。当たるようになったら第三階層へボス討伐に行くぞ」
そう言われても銃の扱いなんて初めてだ。こんな鉄の塊を抱えて戦うなどできるわけがない。
そんなことを考え銃を持って立ち尽くしていると、突如大きな銃声が轟いた。赤い光の閃光がアントの頭上を一瞬で通過して消える。
「っ!!」
「筋がいい、ちょうど俺の真上だった」
「なにを! ちょうど私、あんたへの鬱憤を晴らしたいと思ってたんだ!」
「そうかそうか、それで鍛冶屋の気分が晴れるならもっと打て」
負けてられない。そんな意志を感じ僕は引き金を引く。
「ちなみに魔法が銃に当たると暴発する。気を付けろ」
「わ、わかったっ!! 【ファイア】っ……!!」
銃口が素早く輝き強い衝撃と共に魔法が放たれた。僕は衝撃に耐え切れずに尻もちをついた。
魔法ははるか上空を飛んでいく。こんなにも強い衝撃に耐えなければならないのか……?
「……のびしろがある」
「魔法は多少ホーミングしてくれる、だからこの調子で!」
そういうとレッカが手を伸ばしてくれた。共に共通の敵を倒そうと協力する感じ、心が躍る!
「ありがと! 二人共!」
そう言うと僕は銃を構えアントに狙いを定めた。
「【ファイア】!!」
銃は剣よりも強し。ところでフラムは今何をしてるんでしょうか……?




