職業【銃使い】FPSを開始する
銃の攻撃は銃口から魔法を打つことができます。また、銃は杖のような扱いをされておりMPを消費して打つことができます。
何発かの破裂音、そのうち二つの球を受けてしまった。もう後には引けない。
「隠れて!」
そう言われレッカと共に木の後ろに隠れた。しかし、後手に回ったと言わざるを得ない。
「こっちをじっと見てる」
「PVPはできないんじゃないの!?」
「それは町の中での正式な奴! そもそも今プレイヤー同士でキルしあってもメリットなんて無いのよ」
木の後ろに隠れ相手の出方を窺いたいが銃を使うとなると完全に成すすべがない。
有効だと思われるスキルは無く、正直逃げることが今できる最も効果的な選択肢。しかし、レッカはそうとはいかなかった。
「今しかない、仕留めるには……」
「でも……」
「ごめんね付き合わせちゃって、とにかく相手の攻撃は銃。だから目標を分散させるのが強い」
「なるほど! 【テイムスライム】【テイム飢餓イノシシ】!」
そう言うと僕は常に二つの能力を使い続ける。連続した発砲音が鳴り響き、召喚すると共にモンスター達は倒されていく。正直このままではキリがないが、こうでもしないと打開策が見いだせない。なんとかして彼に毒を食らわせることができないだろうか……そんなことを考えていると、急にレッカが僕の頬をつねった。
「れ、れっか……?」
「難しい表情して、『僕が倒さなくては』とでも考えてない?」
「それは……」
「これは私の問題、よって! 私が倒さなきゃ意味がない、でしょ?」
「できるの?」
「大丈夫任せて! 私は戦うこともできる鍛冶屋さんなのだ!」
そう言うと同時にレッカは隣の木まで走る。それを見逃さまいとまた連続した銃声がレッカを襲う。しかしそれを飢餓イノシシが庇って死んでいく。僕にできることはここまでだ。魔法が使えないだけ遠距離では苦戦を強いられる。レッカに心配の表情を送ると、彼女はこっちに気が付いたのか親指を立てて笑顔を見せた。額に汗をかくレッカにも対策の余地があるのか分からない。しかし、賭けるしかない。と、その時、レッカから仕掛けた。
「【模倣】」
「……!」
レッカの手元に銃が現れた。少し大きめの、中距離用の連続して球が出るタイプの銃。黒く輝くその銃口は彼の体を狙うが……
「見えてる」
「くっ……!」
素早く手を引いたが何発か当たったのだろう、眉間にしわを寄せている。少しでも相手の集中を乱すためにスライムを何体も出すがこれではキリがない。しかし、先ほどよりも銃声が多くなってる気がする。
「【複製】」
スライムの数が増えた。僕の出せる限界数は5体のはずだがスライムがここには15体もいる。相手も丁寧に打つことを諦めたのか銃声が途絶えることが無くなった。そんな隙をついてレッカは顔を出しつつ相手の様子を探る。そんなとき、後ろから声を掛けられた。
「カリナ」
「ど、どうしたの……え? え!?」
「カリナはそのまま隠れてるだけでいいから!」
後ろからレッカに声を掛けられた。しかし、正面を向くとレッカが彼に向かって銃を放っている最中。
「ど、どうして……」
「あれ? 言ってなかったっけ?」
「何を――」
「いつのまに!」
そう男の声が聞こえると同時に銃声が途絶えた。
そっちの方を見ると何人ものレッカが男に向けて銃口を向けていた。
「【鏡像】」
「私、ドッペルゲンガーなんだ」
FPSでは後手に回ると実質負け、どれだけ先に攻撃を与えるかが要となります。




