職業【遊び人】第三階層に姿を現す
モンスターの種族は、人工知能が先に設定してある種族に合うように割り振っています。
生い茂る木々の数々、風に揺れる雑草が風に揺られて躍る。木漏れ日から感じる太陽光の暖かさだけを唯一の救いとするここは第三階層。
「『大きな木の下』ってどこ……!?」
第三階層は辺り一面の森林だった。
『私のこと、探してみてね! 0時までに見つけられなかったら先に第四階層行っちゃうから!』
まるで僕が第三階層に着いたことが分かったかのようなタイミングでメッセージが届いた。例の如くフラムからだ。第三階層の大きな木の下、この情報だけを頼りにこの広大なマップから一人の人間を探すなんて苦労しないはずがない。幸いにも0時までには時間がある。まずは第三階層の敵の把握をしよう。そう考えると僕は真っ先にモンスター探しに繰り出した。
「モンスター! かかっておいで―!」
スキル
【挑発 獲得】
相手の攻撃対象を強制する。
不意にスキルを獲得しながらも、森の奥の方で何やら複数のモンスターが鳴き声を上げているのが分かった。僕は早速スキルを使ってみる。
「【挑発】!」
それと同時に僕は剣を構える。正直耐性系のスキルを得るため初めからダメージを受けるつもりではいたが、倒すことができるのならばそれ以上に嬉しいことは無い。
森の奥からやってくるモンスターは計二体。二つの大きな羽の下に二つの小さな羽、柔らかい印象を与えつつも自らの属性を物語る緑の模様、激しく羽ばたく姿はまるでこちらを警戒しているよう。
草色アゲハ
LV.15 HP 50/50 MP 25/25
全長1mほどの蝶の姿をしたモンスターは攻撃をするわけでもなく、ただただ周りのふわふわと飛んでいた。
しかし、厄介だ。
「えいっ!」
そう言ってレッカお手製のスライムの剣を振り回すも、それを軽々と避けてくる。そう思っていたら不意に後ろから強い衝撃を受けた。咄嗟に振り返るともう一体の蝶が華麗に羽ばたいている。
「何をする!」
そういってむやみに剣を振るうも当然当たらない。体が大きい割に剣が当たらないというのはどういうことだろうか? 僕は成すすべなくダメージを受けてしまう。
スキル
【虫耐性 Lv.1 獲得】
生憎防御力は高いためダメージは1で済んでいるがこのままでは僕のHPが危うい。しかし【ハイジャンプ】を使っての移動はこの森林の中では不可能、僕はこのままやられてしまうのか……
僕は恥も外聞も捨てて全速力で逃げ始めた。
「駄目だ、まともに戦えない! 【テイムスライム】【挑発】!」
そう言うと僕の背後にスライムが現れぷよぷよと体を揺らした。蝶の攻撃対象がそっちを向いている隙に、僕は町の方まで走り去っていった。
魔法は敵を若干追従します。




