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旧「職業【遊び人】」  作者: 和翔/kazuto
第二階層
16/42

職業【遊び人】第二階層攻略を開始する

ちなみに職業【テイマー】もあります。でも動物が趣味なんて、普段何をしているのだろう……

 東の森、正式には『フェオレの森』に入っておよそ五分。遠くから見た時よりも木々の密度は少なく迷うことは無かった。しかし生い茂る木々のせいで日光が直接地面を照らすことは無く、うす暗い中を一人僕は歩いていた。


「ここらへんでいいかな?」


【テイムスライム】を発動すると一匹のスライムが現れた。なんだか前召喚したときよりも薄紫色に染まっているのは【裏切り者】のせいだろうか。


「ここで待っててね……?」


 そう言うとスライムは何度か跳ねた。言葉が通じるのだろうか? 愛着が湧いてしまいそうで複雑な心境だ。

 僕とフラムは広野で作戦を立てた。それは第二階層のボスを倒すため。生憎ゲームオタクの彼女は一人でボスを倒したいと意気込んでいた。しかしそうとなると僕の戦闘能力はまるで乏しい。おそらく第二階層のボスはスライムではないため攻撃力のバフは乗らないだろう。そうなれば後はただやられるだけ、みっともないが基礎ポイントのない僕には普通の戦闘がまるでできなかった。

 だからこそフラムが作戦を立ててくれたのだ。とはいってもこれから得るスキルの効果が必要なのだが……

 僕は召喚したスライムを放って森の奥へと向かう。どうやらこの森には飢餓イノシシ以外のモンスターが現れるらしいのだが。


「――」

「おっ?」


 草のかき分ける音がした。それと同時に赤い光がこっちへと向かってくる。僕は身構える、防御力には多少の自身があるため正面から敵を迎え撃つ。


「チーーー!」


 甲高い声と共に現れたそのモンスターは灰色の毛、鋭い爪、赤い目をしたスライムほどの大きさ。



 赤眼ラット

 LV.8 HP 25/25 MP 7/7



「ネズミだぁ!」


 目の前にネズミの化身のようなモンスターが現れた。

 僕はフラムの言うとおりに戦いを始める。


「【テイムスライム】赤眼ラットに体当たり!」


 体当たりはスライムの攻撃手段。ダメージを与えると同時にそのダメージの数自身もダメージを受ける。

 スライムのステータスは僕のステータスを参照にするらしい。しかしほとんどのステータスが1の僕が召喚したスライムは紛れもない雑魚、HP攻撃力とともに1だった。

 僕はスライムを適当に投げると、途端にスライムは体を回転させ赤眼ラットに襲い掛かった。



 スキル

投擲(とうてき) 獲得】

 投擲の落下地点を自由に決めることが可能。(半径5mまで有効)



「ぐぎゅー」


 そしてスライムはあっけもなく倒れていく。しかし、スライムの召喚は一度では終わらない。


「【テイムスライム】まだまだ続けぇ!」


 一体を森の真ん中に放っているため、この戦闘で召喚できるスライムの数は4体。テイム系スキルはMPを消費しない代わりにクールタイムが設定されている。クールタイムはモンスターによって異なり、スライムなら1秒、飢餓イノシシなら3秒という具合だ。


 つまり25秒もすれば赤眼ラットは倒せる。気が付くとそこには最後のスライムが今まさに倒れようとしている所だった。



 スキル

【背水の陣 獲得】

 HPが1以下の時、攻撃力・魔法攻撃力+500%



「これがフラムの言ってたスキルか……強いのかな?」


【裏切り者】の効果によりスライムにも僕のスキルは乗る。つまり召喚されたばかりのスライムのHPは1のため【背水の陣】の効果がもろに乗る!

 そのとき、はじめて聞く効果音と共に画面が表示された。どうやらメッセージ画面のようだ。


『スキル獲得進んでる? 私は今から第二階層のボス討伐!! 夜の0時、第三階層の大きな木の下に集合ね!』


 フラムからのようだ、これもスキルの効果。と言ってもこれは遊び人によって手に入れたものではない。一度でも他のプレイヤーと会話をするだけで手に入れられるスキルらしい。僕は『OK』と入力すると、森の真ん中へと戻った。

 森の中で騒がしいのはどうやらさっきの戦闘だけだったようで、先ほど召喚していたスライムは生い茂る木々の真ん中にたたずんでいた。プルプルしていて可愛らしいが愛着を湧いてはいけない。僕はさっさとやることをすすめる。


「【裏切り者】解除!」


 そう言うとスライムは「ぐぎゅー」と声を出してエフェクトと共に消えていった。



 スキル

【毒殺 獲得】

 毒ダメージ+400%



 毒のみでモンスターを倒すとゲットできるらしい。しかし500回毒の効果を発動しなければいけないようで、普通では獲得に時間がかかってしまうだろう。

 しかしこれで準備は整った。


「【ハイジャンプ】」


 そう言うと僕は一瞬にして森の上空へと移動した。決戦は町の北側のエリアだ。僕はその方向へと向けてゆっくりと降下していった。


「さっきすれちがった子……」「間違いない、第一階層の草原で寝てた子だよ!」「あの子この森でなにしてんだろう」「レベル上げでしょ?」「でも噂じゃものすごいスキルを持ってるとか」「いやいや、低階層で獲得できるスキルで化け物級のスキルは無いんだよ?」「そう……だよね?」「……」

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