職業【先導者】毒を食らう
魔法は基本遠距離の攻撃手段です。射程は半径50m。しかし魔法の種類によって変化する場合あり。
町へたどり着くまでに、僕の職業についてやこれまでのことについて話した。するとフラムは鼻高々に言った。
「要は隠しスキルを簡単に手に入れられるわけってことだな!」
「それって、簡単にはできないんじゃ……」
「任せとけって! なにせ私は先導者なんだからな!」
そう言うと僕たちは道具屋へと入った。
「第一階層には武器屋と装備屋しかなかったよね?」
「二階層からはワールドの探索も必要になってくる、ちゃんとした準備が必要だろ?」
道具屋の中は100円ショップのような賑わいを見せている。色とりどりのポーションに、様々な大きさの指輪。小さな剣や、ボルトのイヤリングなど、何に使うか分からないものがたくさん。
そんななか、フラムは迷わず一つの小瓶を手に取った。中身は紫色、いかにも毒々しい見た目をしているが……
「それ……なに?」
「毒だ」
「予想通りだよ……それ買うの?」
「あぁ、たくさんな! 所持金いくらだ?」
そう聞かれ僕はステータス画面を開く。
【ステータス】
カリナ
Lv.16
所持金 5100
基礎ポイント 0
種族ポイント 0
「なんでそんなに持ってるんだ!?」
「多分【歩行者】のおかげかな?」
「このゲーム、なかなかスキルの種類が多いな……楽しめそうだ」
とりあえずカリナはこれ、と言って渡された小瓶は計10個。
ちなみに単位はGで小瓶は一つ10G。なかなかの安さに驚くも、普通毒を買う人なんていないと苦笑する。
道具屋を出ると次に町の外へと出た。
「準備は終わり?」
「あぁ、とりあえず私の言う通りにしてみてくれ」
「分かった」
そう言って頷く。
「じゃあまずは召喚したスライムをその剣で切ってくれ」
「え、いいの?」
「まぁまぁ、ここまでは準備段階ってことで」
僕はフラムを疑う余地もなくスライムを切った。するとスライムはべちゃべちゃと音を立てて消えていった。
スキル
【裏切り者 獲得】
召喚されたモンスターはカリナと同じスキルを持つ
「よし、この調子! 次にこれをひとつづつ飲んで」
そう言って渡されたものは先ほどの毒の小瓶。
「騙してないよね……?」
「デスペナルティは所持金を失うだけ、騙して私に特なんてないでしょ……」
「それもそうだね」
そう言って小瓶に入った毒を飲む。体力が失われる感覚がする。それになんだか頭がくらくらとする。
「回復!」
フラムがそう言うと気分が晴れる気がした。回復の魔法のようだ。
スキル
【毒耐性 Lv.1 獲得】
「まだまだ!」
「まって、ゆっくり……ゆっくり飲むよ」
僕は毒の小瓶をどんどんと飲み進める。
スキル
【毒耐性 Lv.2 獲得】
【毒耐性 Lv.3 獲得】
間もなくして、
スキル
【毒無効 獲得】
「これ? これが……と、取りたかったスキル……?」
「違う違う! まだ4個残ってるぞー!」
「ま、まって……待って……あれ?」
頭痛が引いてきた。それどころか毒が甘く感じる。
僕はこのまま毒を飲み干した。
スキル
【毒の体 獲得】
常時毒状態
毒無効
「きたーー!! これよこれ!」
「これの何がいいの……?」
「まぁまぁ、ともかく! 毒の体も貰っていい?」
「いいよ、有効に使ってね」
「もっちろんだ!」
【複製を行う】
スキル【毒の体】取得条件は毒ダメージを千回受ける。




