EP 42
「社長、」
「祐樹、でしょ?」
「ゆ、祐樹さん」
「なあに? 千景」
「あのお局さ……桂木さんはどうなったんですか?」
「あーね。連行するときに彼女、バケツを投げ捨てた(ww)もんだから、俺がちょっとお灸を据えてやったよ。でも彼女、最初はガンとして認めなかったけど。図太いねえ、あれはかなり。千景、あんなんにロックオンされててよく耐えたね」
社長への愛ゆえに……と言いたいところですが、トーマくん&高給&ボーナスが心の支えでした。←俗物
「で、投げ捨てたバケツ(ww)を俺が拾い上げて、これが動かぬ証拠でしょ? これ以上の証拠はないよね? もう異動でいい? って訊いたら、観念したのか素直にハイって」
「そうですか……」
「厳しい処遇かもしれないけど受付に。裏口のね」
これまた人気も花もない、地味な部署だ。秘書になりたかった身にはあまりにも酷というもの。
「大丈夫だよ。大人しくなったら、また事務に戻すから。それでも心配しないで。もし戻ってきても、千景には一切手出しはさせない」
「ありがとうございます」
「俺がちゃんと守るからね」
ちゅ。
「祐樹さん」
ちゅちゅ。
「千景、なんて可愛いんだ」
ぎゅうーっって社長!! 甘い……甘すぎます!!
「満足!! さあ、ベッドに行こうか」
「はい」
布団の中でもぎゅっと抱き合い、そしてキスを交わす。
「おやすみなさい」
私がアラームをかけようと、ベッドサイドのテーブルに置いてあるスマホに手を伸ばす。
すると、
「こら! 千景! これから俺との甘い夜が始まるんだから、トーマくん♡は、勘弁してくれよ」
「はあ。私はただアラームをかけようと……ややや社長。トーマくんの新しい動画が配信されているみたいなのですが、今は遠慮すべきでしょうか?」
そこで、うなじにキスが降りる。
「すべきです」
くすっと笑う。向きを変え、顔と顔を合わせてみる。社長の愛に満ちたニマニマな笑顔とキスに、身体中に震えが走る。
ちょ、これは新種の蛙化現象じゃね? 社長がこんなにも甘いからこれアマガエルか? ってね! やだ私ったらウマイこと言うね!! 山田くん座布団1枚持ってきてーー!!
「しかし、千景と俺にはカエルは全然関係ねーな」
そう言うと、「だが千景はトーマくんに対してカエルになるべきだ!!」と荒ぶる。むうと頬を膨らませ、可愛いのは社長の方。
「もうとっくに……」
私の心の中は、あなたでいっぱいです。
そう言いかけたら、大きな手が私の頬を包み込んで。
「うん知ってる。俺に夢中なんだろ?」
「ケロッ」
「え!? なに!?」
「そうですっていう意味です」
「ビビったぁ〜(;´д`)やめてよ千景っっカエル化したかと思ったじゃないか!!」
「大丈夫ですこれアマガエルなので(ドヤ)」
「???」
キスしながら笑い合った。
完