表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/42

EP 3

「あの……これはいったいどういうことでしょうか?」

坂下様が唖然とした表情で腰を浮かせ、立ち尽くしている。

そこで、ちょっと千景こっちこい! と腕を引っ張られた。社長だ。

「千景、この有様はなんなんだ!」

小声でヒソヒソとやり取り。

「社長が狙いを定めていらっしゃる女性を軒並みお呼びいたしました」

「なんでそんなことするんだ!?」

崖っぷちの商談でもあまり動じたことのない社長が微妙に焦っている。

まあそうか。そうだろうな。

「蛙化現象対策です。もしこの席で坂下様との縁談がまとまりましても、他の女性への対応をせざるを得なくなる状況をあえて作り、気を紛らわす作戦です。しかも、このように女性がたくさんいらっしゃれば、女性アイドルグループのa⭐︎b48のように、皆さん同じお顔に見えてきて、坂下様だけに嫌悪を抱くということはないのではと思いましてですね」

「木を見て森を見ずの逆バージョンってわけだな」

「その通りです」

「千景、おまえめっちゃ頭いいな。なかなか良いアイデアだ」

「ありがとうございます。それでは私はこれで失礼致します」

腕時計を確認すると、時間は夕方の6時5分過ぎ。仕事の勤務時間は18時までと決まっている。

「ええぇもうちょっとここに居てよ。残業代つけるから」

「社長なら大丈夫でしょう」

この社長。アジア系のイケメン。35歳で少し(とう)は立っているが(←何気に失礼)、モテるし女性の扱いには相当慣れている。企業が集まる懇親会パーティーなどでもその才を発揮して女性の間をひらりひらりと蝶のように飛び回っている姿をよく見ているから知っている。

「なんとお美しい。あなたほど素敵な女性はおりますまい」

バラの背景を背負って、おええぇと吐きそうに甘いセリフ(個人的見解)を惜しげもなくバンバン排出。隣に控えていると、寒ボロ地獄な目にあうこと必至。

けれどこれも仕事のうち。

誰でもいい、どなたかに早く社長の恋人になって落ち着いていただきたいのだが、カエルが邪魔してなかなか話が進まない。

(確かにこんなにモテるのに、カエルのせいでお付き合いのその先に進めないって哀れの極みだな)

「失礼します」

さっさと部屋を出て、帰路に着いた。

「どうでしたか?」

「どうもこうもないよ!!」

月曜日。出社すると社長はカンカンだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ