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4:他校のエースに誘われる

 部活終わりのくたくたな体で帰宅して、まずは風呂。汗まみれの体をさっぱりさせたら、次は夕食。弟の斗真とだべりながらテレビを観て、次は一緒にゲームをやろうとひっついてくる斗真を引っぺがして部屋に戻ったら、めちゃくちゃベッドに飛び込んで休みたくなる気持ちを押し殺して、勉強机に備え付けた椅子に一直線に座る。こうでもしないと、くたびれた体は課題に取り掛かれないのだ。

 今日の課題は数学と現国、英語の三つ。とりあえず得意な数学を片付けて、現国のプリントに移ろうとした時、充電器を差しているスマホが短く震えた。


『やっぱり颯真に似てる』


 メッセージの送り主は橘。その一言とともに送られてきたのは、橘に抱えられた猫のモチだった。モチ、相変わらず可愛い。モフりたい。猫を飼ったことがないので聞いただけだが、猫吸いなるものもしてみたい。……それでもって、モチとともに写っている橘の顔面の良さよ。イケメンは写真写りも完璧なんですね、そうですか。


「……」


 たぶん、その時の俺は、どうかしていた。部活で溜まった疲労と、課題への心労が重なって、思考回路が故障したのだ。橘が自分を写した写真を送ってきたのだから俺も返さねばなるまい。でなければフェアじゃない。とかなんとかおかしい方向に。

 俺はモチと同じ角度になるようスマホのカメラに自分を映して、シャッターボタンを押した。そしてあろうことか自撮り写真を橘に送ってしまった。


『似てねーよ』


 メッセージも送って、五秒。正常になった思考が己の愚行を客観的に捉え、俺は顔を真っ赤にして送った画像を取り消した。

 自撮り写真送るとか、なんつー恥ずかしいことしてんだ俺は!


『間違えた。今の忘れて』

『間違えたって 笑

 なんで消しちゃうの』

『恥』

『いい写真だったのに。モチそっくりで』


 いい写真て。いい写真てなんだよ……!慰めてくれてるのかもしれないけど逆に居た堪れないわ!そりゃあお前ほどの顔面があればマジでいい写真だけどな!?

 机に突っ伏して羞恥心に悶えていると、さらにスマホが震えた。


『今度』

 今度?

『モチ見にくる?』

 もちみにくる?

「……へっ?」

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