その8
目を開けるとそこは光の満ちた別世界になっていた。
少数の瓦礫と一緒にまた岩のようなものが周囲に散乱している、というかそれに私達は埋もれている。
なんとなくそれで何が起こったのかを理解した。
アイツが天井をブチ破ったらしい、まぁそれとは別に街やタワーまでぶっ壊れてるようにも見えるが…
「眩しい…」
アイツの中で見覚えがある、これが太陽というやつか。
考えていたら近くの瓦礫を砕きながら誰か出てきた。
「なんとか…なったか?いや眩しっ」
「O2…コイツを取ってくるだけが、ずいぶんな仕事になっちゃったな…まさか空を開くことになるなんて」
「『ソラ』?」
「天井の上、果てしなく広がる青いヤツ…つまり今見えてるアレ」
「名前あったんだあれ」
果てしなく綺麗でで二人はしばらく無言で空を眺めていた。
不意に何かが近くに落ちた音が聞こえる、二人が音のした所に行くとそこには力なくオリジンが横たわっていた。
「オリジン…」
「ゲッ…コイツ…!」
それを見てO2は後退る、まぁさっきボッコボコにされてたし当然か。
オリジンがだんだんと光の粒子へと化していく、それと同時に私達の中に声が聞こえた。
〘裁定は終わった〙
オリジンの体が不明瞭になっていく。
〘道は開いた、世界はまだ進む〙
すべてが光となり、それが一つとなって小さな種となった。
〘空を頼んだ〙
声が途切れたと同時にその種が急激に成長して巨大な大木となった。
「…なんだったんだ今の?裁定とかワケわかんないんだけど」
「うーん…蓋は開けたから上に行けってことだったりするんじゃ?」
「上ねぇ…結構気に入ってるんだけどここ…うおっ!?なんだ!?引っ張られる!」
話していると突然O2の体が街の方に引き寄せられているみたいな動きを始めた。
「…何やってるの」
「いや知らねぇよ!…まさかこれ、体に戻ろうと!?い…家…家だ!」
体ってなんだ
そう聞こうと思ったときにはもうO2の姿はなかった。
とりあえず言われた通りにO2の家に向かう事にした。
道中、特に街はひどかった。
建物が一部壊れているのはまだわかるからいいとして、何か異様に臭いとにかく臭い。
ぶっちゃけまともに呼吸ができない。
とにかく最短で足早に街を抜けてO2の家の前についた。
ベルを鳴らしてドアが開く、その瞬間街と同じ臭いが私の鼻を襲った。
「あっ、ごめん今掃除中で…」
思いっきりドアを閉めてやった。
仕方がないので近くに腰掛けて空を見上げる。
どこまでも透き通る青、吸い込まれそうなそれは自分と一つになっていくようだった。
「ごめん、終わったよ。ちょっと臭うかもだけど…」
そんな声が聞こえて私は家の中へ入っていった。