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その3

落ちた先はなにかの研究室のようなところだった。

尻から着地したが不思議と体が痛まない、結構な高さから落ちたような感覚だったのだが…

立ち上がって辺りを見渡すと奥のドアが開いた。

「おやおや、これはこれは」

「ゲッ…」

そこにいたのはここで一番会いたくなかったやつ…プロフェッサーと呼ばれている天狼のトップにしてここの研究主任だった。

どうにもコイツの無駄にねっとりとした話し方が好きになれない、ていうかなんか無性に腹が立つ。

というか、前回の失敗も8割方コイツのせいな訳で…

「君も懲りないねぇ。ま、今回の目的はわかってるこれだろ?」

プロフェッサーは腕につけた時計をこちらに見せてきた。

「まったくちょうどいいよ君。コアプランターの性能テストといこうか…着装」

時計についたボタンを押すとプロフェッサーの周りに金属のようなものが生成されて体に装着された。

「ふーむこの曲線美…やはり素晴らしい!」

「コレが…」

どうやら私は、かなり無茶な仕事を振られたらしい

というかあの依頼者、これで何する気だったんだ…考えても仕方がないか

「多少は耐えてくれよ?」

プロフェッサーは腕を機関銃に変化させてこちらに向ける、私それに一瞬遅れて机の影に飛び込んだ。

機関砲が発射され、私の隠れた机が粉々に粉砕されていく、なんとか銃に捕まらないように隠れ場所を変えて行くもそれはどんどん無くなっていく。

「素晴らしい威力だ…ちょっと弾が足りないのがネックかね」

おいおいおい、これで少ないってどんだけ撃つ気だよ…多分今500はブチこまれんじゃないか?

どうするか…対抗武装は自衛に持ってきたハンドガンのみ

でもあの装甲、多分この銃程度じゃビクともしないよなぁ…

〘右の膝の後ろ〙

また何か聞こえる…えぇい、他に作戦も思いつかないしこれに乗っかるか!

「さて遠距離武装はこんなもんでいいだろう。そろそろ近接武装のデータも取りますか」

プロフェッサーは腕の機関銃をナイフに変化させてこちらに向かって歩きだす。

私はポケットからもしものための撹乱用手榴弾を取り出してピンを抜き、プロフェッサーの前に転がした。

「残念だけど爆弾程度じゃ…おっと!」

刹那、手榴弾が炸裂して部屋が煙で充満した。

「目くらましとは無駄な抵抗を…私の作品を舐めちゃいけないこの程度なら、追える。それに」

プロフェッサーが腕を一振りすると煙がかき消された。

「さて、どこにいったかな?」

「こっちだ」

その声にプロフェッサーが振り向く寸前、右膝に向けて銃弾が発射された。

〘まかせて〙

「…!?」

その瞬間、緑の翼の生えた少女の幻影が私の前に現われて消えると同時に銃弾が着弾した。

「そんなn…うわっ!」

突然足が爆発と共に破裂してプロフェッサーは膝をついた。

「引火した…?まさか…貫通だと…!?ありえない…!?こんな…!」

「今…何が…!?」

私の銃だと、多分あの装甲は貫けない…そのはずだ。

何が起こったんだ…今、この場所で…

〘おいで〙

そんな声が聞こえて、その方向を見るとさっき現れた幻影の少女がそこにいた。

「君は…」

私の言葉を待たずに少女は部屋の外に出ていった、私もそれを追うことにした。

ただせっかくだから目の辺りの光が灯っているところに一発銃弾をブチ込んでから研究室を後にした、スッキリした。



少女を追って廊下を駆ける、ようやく追いついたと思って顔を上げると少女の姿はなくやたら厳重に閉められた扉があった。

「入れと?」

レバーを回して扉を引く、思いの外簡単に開いて部屋に入ると何かの実験施設のようなところだった。

いかにも!って感じで悪趣味極まりないが、あの主任ならやりかねないというか…

「な…!?」

一番奥にあったカプセル、そこにはなにかの溶液の中に緑の外套を纏ったさっきの少女と同じ顔をした女性がそこにいた。

「おめでとう、君は成し遂げた」

入り口から拍手と友達にそんな声がして振り返るとあの依頼者がそこにいた。

「…なぜお前がここにいる」

依頼者はカプセルの少女に跪いて答える。

「簡単だよ、全てはオリジンの意思だからだ。君も、私もその歯車の一つでしかない」

「オリジン…?」

もしかして、『コレ』か…?

「時は来た!我々は再び一つとなる!私や君の母たるこのオリジンと!」

「コイツが私の母!?ありえない!」

第一、こんなのは知らない

知るはずもない

依頼者は立ち上がってカプセルの前の機械を操作し始めた。

「いいや、君は彼女から作られたいわばクローン…あの主任が生み出した彼女のダブル」

カプセルの中に満ちていた水が減り始めた。

「だが、彼はそれを作り、顔を変え、記憶を弄り、下に放逐した…だが彼は君を『そう』認識できない、全てはオリジンの御業」

情報が洪水のように押し寄せてくる、その情報の処理で私の頭は手一杯だった。

「私が課したあの依頼…君はあの携帯以外に何か持ち帰ったはずだ、あれを君は口にした。それが合図、覚醒したのだ器として」

溶液のなくなったカプセルを少女が吹き飛ばし、緑の外套が翼となって展開された。

その姿はまるで、天使のように美しかった。

「人は進化する…君が最初の一人だ!」

足が動かない、コイツはヤバい…どっちもだ

そう直感が告げている、これが本能からくる恐怖というものか?

早く逃げなきゃ…そうしないと何かが手遅れになる…

 ど こ に ?

私の体が光の粒子になっているのが見える、そこで私の意識は途切れた。



地下世界のコアタワー上空、この日地中から太陽が登った。

その太陽の光は等しく世界に降り注ぎ、人々はその神々しい光に耐えかねて頭を垂れるしかできなかった。

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