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その2

当日、私はトラックの荷台にいた。

別に作業を手伝っているとかそんなんじゃない。

私は荷物だ、今ダンボールの中にいる。

明日は週1の食料配給日、配給っていっても市場みたいな感じなんだが

今回は配達の荷物に便乗しようってわけだ。

「じゃ、行くど〜」

時計がないからどれだけ経ったのかわからないが手筈通りなら現在8時半、おっちゃんのその声でトラックが発進した。

…それにしても、なぜか乗り込んでから頭痛が止まらない

こういうことは初めてだ

ダンボールの中で少しぐったりしていると耳につけた通信機が声を上げる。

『あー、あー、テステス。聞こえるか〜?』

通信が入ったってことはもう9時か…

「…うるさい、ちょっと音量下げろ」

『おけおけ………こんなもんか?』

「あぁ、大丈夫」

そこからO2と最終チェックをしていたらトラックが止まって荷台のドアが開く音がした。

「よーし、ついたど」

「O2ついた、後はそういうことで」

『任せろ』

外ではおっちゃんが警備員と話している声が聞こえる。

ここはベルトコンベアに乗せたら検査、包装を自動で行ってくれる…便利なことはいいことだ、私にとっても。

「じゃあ流していきましょう」

「わかったど」

おっちゃんが箱を流す、私の箱を掴んだとき小声で

「次だど」

その言葉を聞きながらコンベアに乗せられてまんまと私は侵入に成功したのだった。



さて、ここで気を付けるべきはX線だ、さすがにあれは人間一人見分けるくらいわけない。

ギリギリ見える外を確認しながら中から箱を倒し、私はコンベアから外れた。

頭からいった、ちょっと痛い…

箱から出てみる、目の前に検査の機械があってかなりギリギリのタイミングだったようだ。

「O2、入った」

『確認した、そこら辺のルートのカメラはもう抑えてるからゆっくりでいい。非常階段まで行ったらまた連絡して』

手際の良さはさすがだな…

一応いる警備員に気をつけてながら下に降りる階段まで移動した。

大体の警備員が眠そうな顔していたのですり抜けるのはかなりのイージーゲームだったのはよかった。

「移動した」

『ほいほい………ほー、カメラ5か…多分1個5秒止めるのが限界だ、駆け抜けてくれよ?』

「配置は?」

『各踊り場に2個、出口に1個。画角的に階段降りるとバッチリ映るから合図で駆け出して』

頭に叩き込んだ地図を思い出す、ここはそんなに長い階段じゃない。

「OK、いつでも行ける」

『それじゃあカウント、ジャストで出てくれよ?3…2…1………行け!』

ほぼ同時に飛び出す、なんか無線から聞こえたような気がしたが無我夢中で走って下のドアを閉めて一息つく。

「どう?」

『あー……ごめん、なんか補足されたわwww』

「ハア!?」

笑い事じゃないんだけど!?

『いやwwwなんか強制的に割り込まれてねwwwコイツすげぇやwww』

いや笑いすぎだろ…

「お前…」

『大丈夫www大丈夫wwwそこの十字路の右から来てるからwww左に進んでwwwなんかよくわからん部屋あるからwww』

こんな笑われていても、すげぇざっくりした変な指示でもカメラ握られている以上、従うしかないのが腹立つ。

どうにでもなれと私は左に駆け出す。

〘そこじゃない〙

「なんか言った!?」

『え?俺は何も?』

気のせいか?これで疲れてるのか私は?

それとも、腹が立ちすぎてってことか?

『ストップ、そこの部屋!そこに入って』

少し振り返るとたしかになにか部屋がある、私はそこに飛び込んだ。

「入った」

『よしよしよし……おけ、ロックした。連中もしばらくはここに入ってこれないよ』

とりあえず部屋を見渡す、コンテナがところ狭しと積まれていて迷路みたいになっていた。

『あちょっ、マジかよ…!』

「O2?」

『なんか-------電-------な------』

そこで無線が切れた。

「クッソ…」

まぁ、トラブルはつきものだからいいとして

潜入がバレたこの状況、どう切り抜けるか…

〘おいで〙

「え?」

宙に浮く感覚、気がつくと床が消えていて私はそこに落ちていった。

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